アメリカの人たちにとっては「セミトラック」が当たり前

長年のアメリカ生活のなかで、アメリカ人に対して「それって、なに言ってるの?」と思ったことが何度かある。そのうちのひとつが、「セマァ~イ・トラック」だった。



サウンドとして「狭いのか?」とは、なんとも日本人的な表現で恐縮だが、「セマァ~イ」とは、SEMIのことだ。

アメリカ英語では、これを「セミ」ではなく、「I」を「アイ」と発音して、さらに抑揚がつくので、「セマァ~イ」と聞こえる。



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このSEMIトラックとは、いわゆるトレーラーヘッドのことだ。このヘッドとは、まさにトラックの「頭」の部分を指す。つまり、アメリカの大型トラックは牽引車なのだ。



欧州でも、こうしたトレーラーヘッド型のモデルはあるが、アメリカの場合は、ケンワースなどの大手がキャブオーバー型も開発はしてきたものの、市場での人気はボンネット型が主流となっている。



日本の四角いトラックとは違う! なぜアメリカは「ボンネット型」が主流なのか?



NASCARやインディカーなどのレーシングチームのトランスポーターも、そのほとんどがボンネット型のSEMIトラックを使用したトレーラーけん引タイプである。



以前、そうしたレーシングチームの専属ドライバーに、SEMIトラックの良さを聞いたことがあるが「いいも悪いも、これは俺たち、アメリカの当たり前なんだよ」と笑い飛ばされたことがある。



将来トレーラーの自動運転が始まるとみられる

まあ、アメリカの場合、日本や欧州と比べて、なんといっても国土が広く、巨大なトレーラーを駐車するスペースが十分確保されている場合も多い。



また、トラックの車両規定や、港湾施設や大型トラック配送施設での荷物の積み下ろしを見据えた実質的な車両サイズの共通化なども含めて、トレーラーけん引型が主流になっている。



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こうした、SEMIトラック+トレーラーという仕組みによって、アメリカでは新たなるビジネスモデルの本格的な稼働が始まりそうだ。それが、トラック配送施設内での、トレーラーの自動運転だ。つまり、自動のSEMIトラック(トレーラーヘッド)がトレーラーを動かすのだ。



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まるで、アマゾンや楽天の物流センター内の商品棚で、自動選別機が動くような感じで大型トレーラーが適時適所で移動する。



日本で大型トラックの自動運転というと、国が進める事業として高速道路でのトラック追従走行がある。直近では2021年3月上旬に新東名で行われた最新の実証試験として、先頭車両が有人、また後続2台は助手席に保安要員がいて運転席が無人の状態で走行した。



こうした未来の技術についても、アメリカのSEMIトラックと、日本のキャブオーバートラックでは方向性が違う。

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