特徴的な排気音はボクサーサウンドと呼ばれた

今でもスバル車を語るときに出てくるのが「ボクサーサウンド」という言葉。雑誌のタイトルなどでも見かけるが、実際にボクサーサウンドが出ていたのは2000年を少し越えたころまでだから、すでに20年弱の時間が経っていることになる。つまり、免許を取った年齢として、実際にリアルタイムで聞いていたのはだいたい40歳以上ということになる。

具体的にはインプレッサでは2代目の前中期まで。レガシィは3代目までがボクサーサウンドを奏でていた。



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聞いたことがない人に紹介しておくと、水平対向エンジンならではの排気音で、文字で表現するのはなかなか難しいが、ドロドロドロとか、ドドドドといった野太い音が響く感じ。アクセルを踏み込めばその感覚は短くなって、高揚感あふれるサウンドが鳴り響いた。



相変わらず「水平対向」なのになぜ消えた? 今なおスバリストを熱狂させる「ボクサーサウンド」の正体とは



このボクサーサウンド、他メーカーのクルマでは鳴っていないし、すでに紹介したように今ではスバル車からも消滅してしまっている。では、あの独特のサウンドはなんだったのだろうか。



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不等長のエキマニが独特の音を生んでいた!

音の原因は排気干渉。読んで字のごとく、各シリンダーから出てくる排気ガスがぶつかるもので、通常であればエキゾーストマニホールド(排気管)の形状を工夫して各シリンダーからパイプがつながるまでの長さを等長化して干渉しないようにしつつ、逆に流れをうまく利用することで排気効率を上げるようにしていたりする。



一方のスバル車は水平対向にこだわるのはいいのだが、エキゾーストマニホールドの取り回しという点ではスペース的に大きなハンデがあるため、不等長になってしまい、排気干渉を解消できず、ボクサーサウンドが出てしまっていたのが理由だった。簡単に言うと、長さが同じだと排気ガスをうまく流せて4→1になる場所で順番に排気されていくが、長さが違うとタイミングがずれて排気がぶつかってしまうからだ。



その後、取り回しを変更して等長化することでボクサーサウンドは消滅して、一般的な排気音になったのはご存じのとおり。ファンにとっては寂しい限りだが、当時、関係者に聞くと一般ユーザーからは「耳障り」や「うるさい」といった声が多かったために解消したという答えがあって、世間的にはそういうものかと思った覚えがある。



現在では、排気干渉を抑えて、逆にうまく利用して効率を上げつつ、ボクサーサウンドが楽しめるマフラーが発売されている。STIからもレヴォーグやフォレスターの1.8リッター用でリリースされていたりするので、興味がある方は装着してみるのもいいだろう。



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