かつては高級車のステレオタイプが存在していた
高級車という表現、最近あまり耳にしなくなった印象がある。これに代わって、プレミアムカーとか、プレミアムモデルという言い回しが一般的になっている。こうした傾向は2000年代に入ってから広がったのではないだろうか。
1990年代までは、高級車の条件は、端的に価格が高いこと。その理由として、ボディサイズが大きいこと、エンジンの排気量が大きいこと、加速が良いこと、最高速度が高いこと、一般的なクルマとは一線を介するような独特のボディスタイルをしていることなどが挙げられると思う。
トヨタでいえば、クラウンが高級車の代表格だった。「いつかはクラウン」というキャッチコピーが示すように、庶民にとってクラウン購入を目指して日々一生懸命に働き、自らの生活状況が向上するたびに、高級車クラウンに向かって、エントリーモデルのカローラから、コロナ、マークIIといった”高級車への階段”を登っていった。
こうした、いわば単純な発想での高級車感が、いまはなくなってしまったといえる。
新車価格の高騰やライフスタイルの多様化が高級車の壁を崩した
背景にあるのは、ライフスタイルの多様化ではないだろうか。
たとえば、軽自動車でも走りの良さと使い勝手に定評があるホンダN-BOXは、軽自動車のなかでは高級車と呼べるようなクオリティの高さがある。また、スズキ・ジムニーは唯一無二の存在感を放ち、ジムニーと共に充実した生活を送っている人は大勢いる。
一方で、登録車を全般的な価格帯でみると、90年代ごろと比べて日本車の価格はかなり上がっている。コンパクトカーでもフル装備にすれば300万円近くになり、中型SUVでは500万円台に手が届いてしまうようになった。
さらに、もっと上をみると、もはや1000万円台でも高級車と呼ぶのが難しいかと思えるほど超高級車が次々と登場するようになった。数千万円は当たり前で、数億円、はたまた数十億円の新型車が出まわるようになり、庶民の高級車のイメージも随分変わってきていると思う。
とはいえ、「お隣、レクサスお買いになったのよ。高級ね」という感じで、国産ブランドではレクサス=高級車というイメージが定着しているのは間違いない。
また、「ベンツに乗っているなんて、お金持ちだ」という庶民感覚はまだ消えていないと思う。
クルマに関心の高い人でなければ、レクサスもメルセデス・ベンツも、モデルやグレード、または新車中古車を問わず、価格が高くて高級車という印象を持っている人が多いのではないだろうか。
そのため、新車価格がいくらから上が高級車、という発想で高級車という表現をするのは難しいと思う。

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