アメリカのクルマの「ド真ん中」に大きな変化

アメ車と聞いて、あなたはどんなクルマをイメージするだろうか。V8エンジンを轟かせるシェルビーチューンのマスタングや、HEMIエンジン搭載のダッジ・チャレンジャーだろうか。それとも、日本でもすっかりお馴染みとなったSUVの本家本元として、シボレー・サバーバンなどのフルサイズSUVかもしれない。



ところがアメリカ人にとって、アメリカで販売されているクルマのド真ん中にあるのは、長年に渡りC/Dセグメントセダンであった。



Cセグメント、Dセグメントとは、グローバルで見ると中型、または中型よりやや大きい乗用車に属する区分である。



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これらふたつのセグメントへの対応車種は、90年代以降には車体やエンジン・トランスミッションを共通するモデルが多いことから、自動車メーカー各社は車両開発の内部資料などでC/Dセグメントという表記を使うようになった。



とくにアメリカのC/Dセグメントは、市場でもっとも数多く売れる、いわゆるボリュームゾーンとされてきた。



具体的なモデル名を挙げると、90年代は、トヨタ・カローラ、カムリ、ホンダ・シビック、アコード、フォード・フォーカス、トーラスが人気だった。こうしたアメリカ市場での常識が2000年代に入ると大きく変化した。SUV市場の拡大である。



SUV全盛のいまでも北米で生き残る日本のセダン! フォードは撤退するも「売れる」トヨタ&ホンダの戦略



アメリカでもっとも売れているのはフォードFシリーズ

そもそもは、90年代中盤から後半に始まった、Jeepチェロキー、シボレー・タホ、サバーバン、フォード・エクスプローラーなどの乗用での使用の拡大と、フォードF150、シボレーC/K1500(当時)、ダッジ・ラム1500(当時)などフルサイズピックアップトラックで乗用・実務用の兼用が、のちのSUVシフトのきっかけだ。



当初は、SUVシフト拡大はフルサイズとミッドサイズが中心であり、C/Dセグメントセダンへの影響はあまり強くなかった。



ところが2010年代になると、C/Dセグメントセダンから、同じプラットフォームを持つコンパクトSUVへの大幅なシフトが一気に進んだ。



そうしたなか、フォードは2018年にC/Dセグメントセダンからの撤退を発表し、経営資源をフルサイズピックアップトラックのFシリーズや、各種SUVに集約させる戦略に出た。



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一方、トヨタ、ホンダ、日産マツダなど日系メーカーは、C/Dセグメントセダンの販売数が減少傾向となっても、一定水準の販売台数をキープしつつ、コンパクトSUV重視という二兎を追う戦略を維持しているのが現状だ。



ちなみに、2020年アメリカ市場でのモデル別販売台数ランキングTOP20は以下のとおりだ。



1位:フォードFシリーズ
2位:シボレー・シルバラード
3位:ラム・トラック
4位:トヨタRAV4
5位:ホンダCR-V
6位:トヨタ・カムリ
7位:シボレー・エキノックス
8位:ホンダ・シビック
9位:GMCシエラ
10位:トヨタ・タコマ
11位:トヨタ・カローラ
12位:日産ローグ
13位:フォード・エクスプローラー
14位:トヨタ・ハイランダー
15位:Jeepグランドチェロキー
16位:テスラ・モデル3
17位:Jeepラングラー
18位:ホンダ・アコード
19位:フォード・エスケープ
20位:スバル・フォレスター



と続く。

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