クラウンのレーシングマシンが活躍
全9クラスで争われるスーパー耐久シリーズは豊富な車種ラインアップを誇っており、ST-Xクラスに参戦するGT3、ST-ZクラスのGT4、ST-TCRクラスに参戦する国内外の国際規定モデルのほか、ST-2クラスからST-3クラスに参戦する国内規定モデルまでさまざまなマシンがエントリー。
世界的に見ても多彩な車種バリエーションとなっているのだが、それゆえにスーパー耐久でしか見ることのできない“珍車”も多く、他のカテゴリーでは見られないマシンが最前線で活躍している。
なかでも特筆すべき一台がST-3クラスに参戦する52号車「埼玉トヨペットGBクラウンRS」だと言えるだろう。

同マシンがデビューしたのは2020年の開幕戦として開催された富士24時間レースで、同チームのチーフエンジニア、近藤收功氏が「レースには不向きなクルマ」と語れば、ドライバーのひとり、平沼貴之選手も「ドライビングが難しい」と語っていだが、富士24時間を制し、デビューウインを飾ったほか、最終戦のオートポリスでシーズン2勝目を獲得したことは記憶に新しい。

2021年も第2戦のSUGOを制するなど、話題性だけでなく、パフォーマンスでも抜群の実力を見せているだけに、今後もスーパー耐久の名物モデルとして注目したい。
超珍しいKTM X-BOW GTXも走行!
またST-1クラスに参戦する2号車「シンティアム・アップルKTM」も日本では珍しい一台といえる。ST-1クラスはST-2クラスからST-5クラス以外の車両で争われているクラスで、K’sフロンティアKTMカーズがKTM X-BOW GTXを投入。同マシンはオーストリアのKTMが手掛けたロードゴーイングのスポーツカーで、カーボンボディにアウディ製の2500cc直列5気筒ターボエンジンを搭載。
同チームのエンジニア、渡邊信太郎氏によれば「燃料タンクを変更したぐらいで、ほぼノーマルの状態です」とのことだが、ドライバーのひとり、加藤寛規選手によれば「剛性が高いし、ボデイも軽い」と好感触で、第1戦のもてぎを制したほか、第3戦の富士24時間、第4戦のオートポリスを制するなど素晴らしいパフォーマンスを発揮している。

同マシンはニュルブルクリンクを舞台にしたシリーズ戦、VLNのなかにワンメイクレースが設けられるほか、アメリカなどでもワンメイクレースが争われているものの、日本ではロードゴーイングカーが未だ発売されていないことから同マシンを拝めるのはスーパー耐久だけとなっていることから、まさにKTM X-BOW GTXも同シリーズを代表する珍車と言えるだろう。

もちろん、メーカー開発車両を対象にしたST-Qクラスでは既報のとおり、トヨタおよびROOKIE Racingが水素エンジンを搭載したカローラH2コンセプト「ORC ROOKIE Corolla H2 concept」を投入するほか、次期GT4車両として開発するGRスープラ「ORC ROOKIE Racing GR SUPRA」が参戦。いずれも世界で唯一の開発モデルとなっているだけに、この2台もスーパー耐久の名物モデルだ。

このようにスーパー耐久では、マニアックなマシンが活躍しており、それらの“珍車”も同シリーズの魅力となっている。