この記事とまとめると
■なぜ高額車はハイオク仕様が多いのかについて解説する■高級車やスポーツカーは高出力・高効率のエンジンを積んでいるため
■輸入車はオクタン価の規定によってハイオク仕様となっている
レギュラーだとノッキングが起きやすくなるクルマも
高級車やスポーツカー、そして輸入車など、比較的車両価格が高額なクルマは、ガソリンもハイオク指定が多い。ハイオクはレギュラーガソリンに比べ、1リットルあたりおよそ10円も高いので、ランニングコストを考えると、レギュラーガソリンのほうがありがたいのだが……。
ではなぜ高額車はハイオク仕様が多いのか。
エンジンの出力を上げるには、燃焼効率を向上させることが重要で、そのためには燃焼圧力を上げる、つまり圧縮比を上げるのが基本。
圧縮比を上げれば、熱効率がよくなるわけだが、圧縮比を上げれば上げるほど、燃焼室が高温高圧の状態になるので、ノッキング(異常燃焼)が起こりやすくなる(ターボで過給をかけるのも、実圧縮比のアップと同じ)。
このノッキングを防ぐには、発火しづらい燃料を使うのが非常に有効で、エンジンからより多くのパワーを引き出すために、発火しづらい燃料=ハイオクが必要となるわけだ。
欧州のレギュラーガスのオクタン価は95以上という規定
逆にいえば、そこまでパワーを必要としない実用車や軽自動車などは、圧縮比もほどほどなので、レギュラーガスでOKとしている。とくに軽自動車は64馬力の自主規制があるので、圧縮比を上げてまでパワーを追求する意味がなく、より経済性が重視されるので、レギュラーガスが標準になっている。
一方、輸入車の場合はちょっと事情が異なってくる。輸入車、とくに欧州車の場合、コンパクトカーや実用車でもハイオク仕様が基本。

というのも、欧州のレギュラーガスのオクタン価(RON)が95以上という規格になっているからだ(RON91というガソリンもあるが、いまではほとんど使われていない)。
それに対し、日本国内のガソリンは、JIS(日本産業規格)で、オクタン価89以上が「レギュラー」、オクタン価96以上が「ハイオク」と決まっている。そのため欧州車に日本の「レギュラー」を入れるとオクタン価が不足することになり、必然的にハイオクが指定されることになってしまった……。
ちなみにアメリカの場合、州によってオクタン価の違いがあり、日本のレギュラーガスと同程度のレギュラーガソリンが販売されている地域もあるので、日本に輸入されたアメリカ車も「レギュラー指定」になっている車種が珍しくない。