この記事をまとめると
■カウンタック50周年を記念してカウンタックの名を冠した限定モデルを発表



■最高出力800馬力超のハイブリッドモデルで限定112台



■0-100km/h加速は2.8秒、最高速度は355km/h



最高出力800馬力超のHEVでカウンタック復活

スーパーカーのファンにとって、今年の夏のもっとも大きな話題といえば、それはモントレー・カー・ウイークの始まりを告げる、ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリングでワールドプレミアされた、ランボルギーニの「カウンタックLPI800-4」ではなかっただろうか。



スーパーカーの王「カウンタック」が最新モデルで復活! 世界で...の画像はこちら >>



そのプレスリリースの中には、長年我々を悩ませてきた「Countach」の発音が「Coon-Tach」であることも明確に表記されていたが、1970年代のスーパーカーブームで「カウンタック」の存在を知り、以来それを究極のスーパーカーだと(もちろん単純な性能の比較等によるものではない)意識してきた筆者にとっては、今日からそのクルマは「クーンタッチです」と言われても、感じるのは違和感のみである。したがってここでは今までどおり、日本流に「カウンタック」の表記を用いさせていただくことにしよう。



カウンタックLPI800-4は、残念ながらプロダクションモデルではなく、生産数は112台に限られた限定車だ。112台という数字は、初代カウンタックの開発時に与えられた社内型式がLP112であったことに由来するもの。ちなみにそのLとはエンジンの縦置き搭載、Pはリヤミッドシップを意味している。



スーパーカーの王「カウンタック」が最新モデルで復活! 世界で「112台」だけの「LPI800-4」の中身とは



前身となったミウラが、長大なV型12気筒エンジンを横置きミッドシップしたために、コーナリング時の安定性や熱、あるいは騒音などさまざまなハンデを背負うことになったため、カウンタックのチーフエンジニア、パオロ・スタンツァーニは、V型12気筒エンジンと5速MTからなるパワーユニットを、後方からキャビンの位置までインストールするという独自の手法で縦置きミッドシップを実現したのだ。



一方、L112のデザインは、当時ベルトーネのチーフスタイリストの職にあった、鬼才マルッチェロ・ガンディーニの作である。その強いウエッジシェイプは、見る者の目を釘付けにし、誰の目にもそれは斬新な、未来を予感させるスタイルに映った。クーンタッチ(カウンタック)とは、イタリアのピエモンテ地方で使われるという感嘆詞。日本語に訳せば「なんだこれ」的な意味を持つ言葉だというが、確かにそれを最初に見たものがそう叫んだとしても、それは不自然なことではないだろう。



スーパーカーの王「カウンタック」が最新モデルで復活! 世界で「112台」だけの「LPI800-4」の中身とは



伝説のスーパーカーの数々のディテールを継承する

ランボルギーニのCEOとして、ステファン・ヴィンケルマン氏が復帰してから、車名は再びそれだけでメカニズムの概要が分かるものになった。



スーパーカーの王「カウンタック」が最新モデルで復活! 世界で「112台」だけの「LPI800-4」の中身とは



今回のLPI800-4は、最高出力で780馬力の最高出力と720N・mの最大トルクを誇る、ランボルギーニ曰く最後の自然吸気V型12気筒エンジンを縦置き(L)、ミッドシップ(P)。それに48Vのエレクトリックモーターを備えるマイルドハイブリッド機構を備え(I)、必要時には34馬力の最高出力と35N・mの最大トルクでエンジンをフォローする仕組みだ。単純なトータルの最高出力は814馬力という計算になるが、800という数字を掲げたのは、800馬力級という意味なのだろう。



スーパーカーの王「カウンタック」が最新モデルで復活! 世界で「112台」だけの「LPI800-4」の中身とは



バッテリーは、すでにランボルギーニが世界のリーディングカンパニーとなりつつあるスーパーキャパシタと、パワーユニットの構造はシアンFKP37のそれに等しい。



スーパーカーの王「カウンタック」が最新モデルで復活! 世界で「112台」だけの「LPI800-4」の中身とは



1970年代から1980年代を生きたカウンタックが、剛管スペースフレーム構造を採用していたのに対して、現代に復活を遂げたカウンタックLPI800-4の基本構造体となっているのは、もちろんカーボンファイバー製のモノコックタブだ。そのデザインはアヴェンタドールにほぼ共通していると予想されるが、ディテールでは新型に独自のデザインが採用されている可能性もある。



ボディも同様にカーボンファイバー製で、結果、車重は乾燥重量で1595kgと非常に魅力的な数字を実現している。デザインは、かつてのカウンタックのイメージを巧みに採り込みつつ、しかしながらシンプルにレプリカを作るような安易なものではなかった。長方形に近い、細長い形状のフロントグリルや、ヘッドライトまわりのイメージ。あるいは左右のドアに設けられた、さらに大型化されたNACA式のエアダクト、Cピラーに整然と刻まれるエアインテークもまた、特徴的なデザインといえる。



スーパーカーの王「カウンタック」が最新モデルで復活! 世界で「112台」だけの「LPI800-4」の中身とは



0-100km/h加速はわずかに2.8秒。最高速では355km/hに達することが可能だという、カウンタック生誕50周年モデルの、カウンタックLPI800-4。それはランボルギーニの伝統を守り、ブランドのDNAを尊重しつつ、新しいデザインやテクノロジーの可能性を追求したモデルと結論づけてもよいだろう。



そのキーを手にすることができるのは112人のカスタマーのみ。争奪戦は、もしかするとモントレー・カー・ウイークの時点ですでに終了していたのかもしれない。



そしてランボルギーニは、2022年までにはこれまでのアヴェンタドールに代わるニューモデルを発表する予定だ。

編集部おすすめ