この記事をまとめると
■電動キックボードで公道を走る社会実験が拡大している■公道を走るには常時点灯のヘッドライトやテールライトなどの保安基準を満たす必要がある
■セグウェイは機械ブレーキがないために保安基準を満たしても公道走行はできない
電動キックボードでの公道走行には保安基準を満たす必要がある
新しいモビリティとして電動キックボードが注目を集めている。すでに、原付バイクとしてナンバーをつけて公道走行を楽しんでいるオーナーも少なからず存在しているし、社会実験として電動キックボードのシェアリングサービスも始まっている。
一部の特区では、原付バイクであれば装着が義務付けられているヘルメットも不要にするという実証実験も行なわれている。
このように、かなり特例的な扱いを受けている電動キックボードだが、それでも公道を走るのであれば原付バイク相当の保安基準を満たすことは大前提だ。
具体的には、常時点灯のヘッドライトやテールライト、ブレーキランプ、ターンランプ(ウインカー)を備えていることは最低条件となる。社会実験の映像などを見ると、そうした保安部品を装着していることが確認できるだろう。

そのため、いわゆる私有地での使用を前提にした、保安部品をまったくつけていない電動キックボードで公道を走ることはNGとなってしまう。そもそも公道を走るためには、自賠責保険にも加入していなければならず、その条件にも違反しているケースが多いようだ。
ところで、この手の電動パーソナルモビリティといえば、2000年代前半に生まれたセグウェイが象徴的な存在として知られている。その誕生当時、日本でも公道を走らせて大きな問題になったこともある。

電動キックボードが保安部品をつけることで公道走行可能になるのであれば、セグウェイにも同様にウィンカーなどをつければ公道走行は可能なのだろうか?
現時点での答えはノーとなる。
まずセグウェイについては出力が原付バイクに分類される600W以下を大きく上まわってしまっている。そのため電動キックボードのような扱いを受けることは難しい。
さらにセグウェイはモーターの逆回転による電気ブレーキのみで、機械式ブレーキが存在しないという問題がある。
公道走行には急制動に対応できる機械式ブレーキが必要
実際、電動キックボードなどをみると、通常の使用においてはアクセルを戻すことで減速するが、リヤタイヤにフェンダーを押し付けるカタチの急制動用ブレーキが備わっていることが多い。いずれにしても電気ブレーキ以外の仕組みを持っている。

さらに、セグウェイは構造的に急制動がかけづらいという欠点がある。
セグウェイおよびセグウェイ的なモビリティに乗ったことがあればわかるが、減速をする際には体重を後ろにかけるという動作をしなければならない。
そうして姿勢を変えるためには、どうしてもいったんハンドルを握る力を強くする必要であり、その瞬間にわずかに加速してしまう傾向にある。日常的な利用であれば問題ないレベルの速度変化といえるが、急制動には向かない操作系になっているといえる。
こうした部分を改善しないかぎりセグウェイ的なモビリティについては、保安基準の観点から公道走行は難しいといわざるをえない。

結論をまとめると、新しいカテゴリーのパーソナルモビリティであっても公道走行をするためには、急制動に対応できる機械式ブレーキが必要になる。
そのほか灯火類についても保安基準を満たす必要があり、ナンバーをつけて走らせるのであれば自賠責保険への加入も必須だ。
そうした部分で法律(主に道路交通法と道路運送車両法)をクリアすることに十分に配慮すべきだ。