この記事をまとめると
■11月12日~14日に「セントラルラリー」が開催された



■CAST RACINGのマシンはフージャーのタイヤを装着



■フージャーのラリータイヤの性能を解説する



日本のラリー競技に装着されるのは今回が初めて

2022年のWRC第13戦「ラリージャパン」のテストイベントとして、11月12日~14日、愛知県および岐阜県を舞台に国際格式のラリー競技「セントラルラリー」が開催。全日本ラリー選手権で活躍したトップランカーがカテゴリー1に参戦したほか、数多くのヒストリックカーがカテゴリー2に参戦するなど総勢61台が集結し、激しいタイム争いを展開していたが、その中に“日本初”のプログラムに挑んだ1台があった。



それがカテゴリー1のR2クラス(1600cc~3000ccの2WD車両)に参戦したCAST RACINGの国沢光宏選手/大西恵理選手にほかならない。

マシンは2021年の全日本ラリー選手権でJN2クラスのチャンピオンに輝いたヘイキ・コバライネン選手/北川紗衣選手と同様にFIA-R3規定モデルのトヨタGT86 CS-R3だが、国沢選手/大西選手の駆る19号車はアメリカのタイヤブランド「フージャー(Hoosier)」を装着。同タイヤが日本のラリー競技に装着されるのは今大会が初めてで関係者の注目を集めていた。



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セントラルラリーも全日本ラリー選手権と同様にタイヤの銘柄指定がなく、コンペティションで争われることから、数多くのチームがヨコハマおよびダンロップのハイグリップラジアルタイヤを採用したほか、シュコダ・ファビアR5を駆る福永修選手/斎田美早子選手は全日本ラリー選手権と同様にミシュランタイヤを装着。そこに国沢選手/大西選手が新たにフージャータイヤを投入したことでタイヤ競争がクローズアップされることになったのである。



それにしても筆者が不勉強なこともあって、フージャータイヤがラリー用タイヤをリリースしているとは知らなかった。しかも、福永選手/斎田選手が使用しているミシュランと同様にFIAレギュレーションに準じた本格的なモデルで、ターマック用のラリータイヤに至ってはソフト、ミディアム、ハードと3種類のコンパウンドをラインアップ。さらにウエット用のパターンも用意されている。



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フージャータイヤといえばドラッグレースをイメージしがちたが、ターマックのみならずグラベル用の本格的なラリータイヤもラインアップされているようで、一部のラリー選手権で使用されているという。



ラリーでの感触は良し! ワンメイクでの使用も良いかも

そんなフージャーのラリータイヤだが、気になるパフォーマンスはどうだろうか? ステアリングを握る国沢選手は好感触で、次のようにインプレッションしている。



「今回はソフトコンパウンドを選択したんですけど、コントロール性もいいし、耐久性に関しても、まったく減らないのでワンメイクとかにすればお金がかからなくていいですよね。たしかに、ヨコハマやダンロップのハイグリップラジアルは縦溝のあるSタイヤみたいなもんだから、それと比べると絶対的なグリップは落ちますけど、フージャータイヤはFIA格式のタイヤなので、十分にラリーのSSを走ることができる。しかも、地方選手権ぐらいの距離なら1シーズンを戦えるぐらいライフも長いので初心者にはいいと思う。

タイヤの温まり方はハイグリップラジアルと比べると遅いほうだけど、冷えている状態でもいい仕事をしてくれるので本当によくできていると思いますよ」



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残念ながら国沢選手/大西選手はレグ2のファーストステージとなるSS19でコースアウトを喫し、そのままリタイアすることになったが、SS1でクラス4番手タイムをマークするなど、まずまずの走りを披露。国内ラリーシーンにデビューしたばかりとあって、エア圧やライフ、日本の舗装路とのマッチングなどデータ不足が否めないものの、同タイヤは全日本ラリー選手権でも使用できるだけに今後もフージャータイヤの動向に注目だ。



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なお、セントルラリーではGRヤリスを武器に2021年の全日本ラリー選手権でJN1クラスのチャンピオンに輝いたトヨタGAZOOレーシングの勝田範彦選手/木村裕介選手が好タイムを連発。スバルWRXを駆る新井大輝選手/小坂典嵩選手を抑えて、今季二冠目となるビッグタイトルを獲得した。

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