この記事をまとめると
■クルマの解説などで「プラットフォーム」という言葉を良く聞く



■駅のものなどと同様、クルマにおいても「土台」を表す



■「プラットフォーム」が示す範囲や役割について解説する



駅のものと同じくクルマにおいても「土台」を表す

クルマのモデルチェンジやメカニズム解説の記事中で「プラットフォーム」という言葉を見たり、聞いたりしたことがあるかと思う。なんとなく理解できているが、正確に何を指す言葉なのかはわからない、という人も少なからずいることだろう。プラットフォームとは何か、について探ってみよう。



とは言うものの、プラットフォームという単語自体は耳新しいものではない。駅で乗客が列車との乗降に使うコンクリート製の土台、あれがプラットフォームだということは、おそらく誰でも知っていることだろう。また、この駅のプラットフォームから、何かの土台となる部分をプラットフォームと表現する、と漠然と捉えている人もいることだろう。



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プラットフォームとは、まさにこの「土台」という意味で、クルマの場合には、フロアパネルのことを指しているが、エンジンマウントやサスペンションといった機能部品も含めた状態でプラットフォームと表現している場合が多い。



もちろん、この表現基準だと、独立したシャシー、フレームもプラットフォームと表現できるのだが、一般的に使われている例は、モノコックボディのフロパネルまわり、という意味で使われる場合がほとんどだ。記事中でよく使われている例を挙げれば「今回のモデルチェンジにあたり、プラットフォームは前モデル○○系のものをキャリーオーバー」という表現などだ。新型車として外観は新しいデザインを採用したが、土台となるフロアパネル(サスペンションやエンジン搭載位置、搭載方法など)=プラットフォームは、前モデルからの発展型(まったく変化のない進化例はない)となっている、という意味だ。



ホイールベースやトレッドの値を変えた共用も可!

この前モデルと共通するプラットフォーム(フロアパネル)に、新たなデザインのボディを組み合わせて新型車を作り上げる、というのが自動車メーカーに共通したモデルチェンジの手法となっている。逆に、新型車(4~5年サイクル)を企画するたびにプラットフォームを新設計していたら、開発時間も増えるし、開発コストも上がってしまう。また、新型車を企画するたび全面刷新が求められるほどプラットフォームの性能は短期的なものでもない。もちろん、時代にあった改良は必要だが、新たなプラットフォームをひとつ開発すれば、2世代分、場合によっては3世代分を賄っているのが現状だ。



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また、多くの車種をラインアップするメーカーでは、ボディサイズが近似した車両同士でプラットフォームを共通とするのは、常識化した車両作りの手法となっている。

なお、共通のプラットフォームを使いながら、ホイールベース値やトレッド値は、必ずしも同一値になることはない。組み合わせるボディサイズ(車種)に応じて、50mm程度の仕様変更は容易に行えるからだ。



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FF車が主流を占める現在の乗用車体系にあって、基本的にプラットフォームは3タイプ(大、中、小)あれば広範な車種への対応が可能で、これはFRの場合も同じと考えてよい。また、基本は同じプラットフォームでも、サスペンションの違い(熟成、進化)によって、まったく異なるハンドリング性能を確立することも可能だ。実際、モデルェンジによって熟成の度合いを深めたプラットフォームが功を奏し、その車両自体の評価を高めた歴史事実も存在する。



言ってみれば、プラットフォームはクルマの土台。これの良否で車両の性能、ハンドリング特性が大きな影響を受けることになる。こうした意味では、プラットフォームは自動車メーカーにとっても自動車にとっても生命線、まさに土台と言える存在なのである。

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