この記事をまとめると
■EVが安くなるかどうかはテスラがモデル3で証明して見せた■モデル3が上海工場で生産されることで日本での販売価格は約80~150万円値下がった
■バッテリーやモーターに使われるレアメタルの代用が研究されている
テスラ・モデル3によりEVの値下がりが見えてきた?
電気自動車(EV)が、安くなるかどうかは、米国テスラ・モデル3が明らかにしている。2018年に中国・上海にモデル3の工場を新設し、それによって昨2021年から日本で販売するモデル3の車両価格が約80~150万円も安くなった。値引き額は破格だ。
値下げできた理由は、モデル3専用工場(モデルYも製造予定)で、単一車種のみを生産することで無駄が省かれ、効率がよくなったこと。もうひとつは、日本までの輸送距離が短くなったことだ。これにより、標準車の位置づけとなる後輪駆動車(RWD)は、400万円台で買えるようになった。
その結果、とくに東京都内などではモデル3を頻繁に見かけるようになった。なかでも、白いモデル3をよく見かける。理由は、白の車体色は標準仕様で、ほかの車体色は注文になるので十数万円追加料金がかかるからだろう。追加塗装料に、登録手数料を加えると、支払合計額が500万円を超えてしまう。
500万円以下で買える新車は車種が豊富かつ多彩だ。日本車では、レクサスNX、アウトランダーPHEV、スバルWRX S4などがあり、輸入車ではフォルクスワーゲンのゴルフ、ボルボXC40、アルファロメオ・ジュリア、アウディA4など、ほかにも数多く存在するはずだ。そうしたなかで、EVのモデル3が選択肢に加わったといえる。日産リーフe+も400万円台だ。
EVの値下がりには輸送コストやレアメタルなどが大きく影響する
EVに車載されるリチウムイオンバッテリーは、ワッセナー協約の対象品目であり、かつてのココム協約と同じように部品での輸出入に制約がある。
次に、リチウムイオンバッテリーについても、全個体電池への期待が高かったが、量産性に課題がありそうだ。同時にまた、既存のリチウムイオンバッテリーについても、電極に使われるニッケルの価格が上昇し、コバルトは資源量が限られる。一方、マンガン酸やリン酸鉄など、別の金属リチウムを電極に使う道もあり、フォルクスワーゲンは車格によって電極材料を使い分けることを表明している。適材適所で材料を選択することにより、車格にあわせた値下げの道が拓かれるだろう。
ほかにも、多くのEVが使う永久磁石式同期モーターは、希土類元素(レアアース)の金属が使われている。これによって、一般的なフェライト磁石の10倍の磁力を活かし、小型高性能モーターなっている。しかし、EVの普及が進むと、希少金属の値が上がる懸念がある。
すでに希土類元素の使用量を減らすことが行われているが、あわせて、テスラはもちろん、アウディやメルセデス・ベンツは誘導モーターの採用を始めている。誘導モーターとは、鉄芯に銅線を巻き付けた電磁石を使う。
日本は高度な技術で高性能を出すのは得意だが、既存であったり汎用だったりする技術で商品性を高める工夫が苦手だ。しかし、今後は誘導モーターの活用も視野に入れるべきだろう。
自動運転と通信技術を合体した自動運転EVによる共同利用により、保有台数を減らすことも未来を拓く一手だ。既存の市場形態だけを見て物事をはめ込もうとすると無理が出る。未来は、別の自動車社会が現われると考えるべきだ。

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