この記事をまとめると
■日本車では4社からハンズフリー運転可能なクルマが発売されている



ホンダのみレベル3を実現しており、それ以外の3社はレベル2となる



■手放し時のドライブには、クルマによって安心感に大きな差が感じられる



レベルや作動範囲に違いはあるが技術的な内容はいずれも同様

ハンドルから手を放して走行できることを最初に実現した日本車は日産自動車だった。スカイラインに搭載されたプロパイロット2.0がそれだ。次に、ホンダが100台限定のレジェンドでホンダ・センシング・エリートとして実現し、トヨタもMIRAIとレクサスLSでアドバンスド・ドライブと名付けて採用した。

SUBARUも、レヴォーグのモデルチェンジに際しアイサイトXで実用化している。



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それらには若干の違いがある。日産、トヨタ、SUBARUの場合は、運転支援の基準でレベル2での採用である。ホンダだけレベル3での実用化だ。また、日産、ホンダ、トヨタが高速道路や自動車専用道路で制限速度の範囲で利用できるのに対し、SUBARUは高速道路や自動車専用道路内の渋滞でという低速域での採用となっている。



スカイラインにレヴォーグにLS! 広がってきた「手放し運転機能」の「安心感」に差があるワケ



レベル2とレベル3の違いは、レベル2があくまで走行中の責任は運転者にあるのに対し、レベル3は使用中の責任はクルマ側が担う。道路条件や、天候など周辺環境の影響でクルマの自動機能が損なわれそうな場面では運転者に責任が戻されるが、条件が整っている間はクルマが責任を負う点で、レベル2とレベル3の違いがある。



それでも、ハンズフリーの技術的な内容はいずれも同様で、高精細地図やGPS、そして車載の複数のカメラやセンサーを駆使し、道路を外れずに直線路のみならずカーブも含めてハンドルから手を放して走行することができる。



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手放し時にもっとも安心感があるのはスカイライン

同じ手放しの走行状況でもっとも安心感があるのはスカイラインだ。手を離した瞬間からクルマに任せていい、クルマの走りを信頼していいという安心が、身体全体に伝わってくる。自ら運転しているときの様子で表現すれば、タイヤのグリップ感がきちんと伝わっている状態に似ている。



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レヴォーグの場合も、渋滞中とはいえスカイラインに通じる安心感がある。

そこは、レベル2の運転支援機能のなかで、ステレオカメラ(2眼カメラ)のみでの実用化にこだわってきたアイサイトが基本的に備える安心感に通じる。クルマも自分と同じように一緒に前を見てくれている感触だ。



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レクサスLSは体験していないが、燃料電池車(FCV)MIRAIとレジェンドの仕上がりも、機能として不都合があるわけではない。だが、スカイラインのような盤石の安心感は伝わってはこなかった。たとえレベル3でも、ハンドルから手を放すことに対し緊張感が残った。



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ホンダの技術者は、クルマの基本性能としての操縦安定性の作り込みに差があるのかもしれないと答えた。トヨタからは、あまりにも安心感があると使用条件でない場面で利用され、不都合が生じてしまう懸念への対応に苦慮していると耳にした。だが、機能として信頼性が高いことと、誤用されることへの危惧は別問題だ。積極的に利用してこそ、不足する側面も発見できる場合がある。また、誤用を防ぐ手立てを考え、実行するのも技術開発の内だ。



技術者が、自らの開発に対し深い知見を背景に真摯に取り組んでいることに疑う余地はない。だが、手動であろうと自動であろうと、それを利用する人間の心理がどう働くか、人が状況に対し何を根拠に信頼したり、安全だと思ったりしているのかという検証が、必ずしも十分ではないように思う。



スカイラインは伝統的に操縦安定性に優れた車種であることが求められてきた。アイサイトは、人が目で見るのと同じようにステレオカメラにこだわってきた経緯がある。「人を中心に」とは、どのメーカーも語る言葉である。だが、操縦安定性も運転支援も、人の感性とともにあることを軸に積み上げられていくものであり、機器としての性能や効率が第一ではないという目的意識や優先順位の違いが、ハンドルから手を放したときの手応えの差になっているのではないか。



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自動運転への道のりは、単に技術が優れているかだけではなく、運転の上手な人のクルマに同乗するかのように、運転を任せられると思える乗員の心理に寄り添えなければ完成とはいえないだろう。

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