この記事をまとめると
■「スーパーカーは運転が難しいのか?」という真相をオーナーが語る■動かすくらいなら基本的に誰でもできる普通のクルマとして仕上げられている
■ただし、クラッチが重すぎたり、後ろが見えなかったり、実用性皆無のモデルも
運転もやっぱり現実離れしてる?
一般的に、「スーパーカーは運転が大変」だと思われている。値段が高いというだけで多くの方は緊張するだろうし、それだけで大変と言えば大変だ。しかし、現代のスーパーカーは猛烈に乗りやすくなっていて、ただ動かすだけなら、ものすごく簡単だ。
ただ動かすだけでも大変なのは、ある程度古いスーパーカーである。で、具体的には何が大変なのか?
その1)パワステがない
その2)クラッチが重い
その3)ギヤが固くて入れずらい
その4)ブレーキサーボがないので強く踏まないと止まらない
その5)視界が悪く、車両感覚がつかめない
こんなところである。
フェラーリで言うと、パワステがついたのは94年発表のF355から。それ以前のモデルには、ほぼついていなかった。ATも、4人乗りの旦那フェラーリ(412や456GTA)を除くと、F355のF1マチックから(97年)。それ以前のモデルはすべて、1、2、3に該当する。

「クラッチが重い」というのは、どれくらい重いかというと、現在の我が愛車である328で計ったところ、踏力18kgだった。コンパクトカークラスのMT車で10~12kgくらいなので、「そこそこ重い」というくらい。フェラーリの場合、多くのモデルがだいたいこれくらいのレベルにあり、重いことは重いが、それほど大変でもない。

「ギヤが固くて入れずらい」というのは、ほぼ慣れの問題だ。確かに普通のMT車のシフトのように軽くは入らないが、よほどのクラシックモデルでない限りシンクロはついている。BBだろうがテスタロッサだろうが、力を込めれば、あのステンレス削り出しのシフトゲートにちゃんと入る。

「ブレーキサーボがない」というモデルは、ものすごく限られる。そして最後の「視界が悪い」というのは、人によってはすべてのスーパーカーが該当する。フェラーリの場合、斜め後ろが全然見えないのは共通しているが、それを除けば、極端に視界の悪いモデルはない。

本当にヤバいスーパーカーはクラッチが踏めない!?
ただ、この5つの条件すべてに該当するモデルがひとつだけある。フェラーリF40だ。
F40にはパワステがない。あるわけない。パワーウインドウもない。ヘタすると前後スライド式だ。クラッチは超重い。328は18kgだけど、たぶんその2倍以上(計ったことはありません)。

ブレーキサーボもない。ブレーキペダルも壁かと思ってしまう。そして最後の視界。前と横は割合よく見えるが、問題は後ろだ。リヤウィンドウは左右に分割されたスリット入りのポリカ製。中央にはスリットはないが、その部分が歪んでいてよく見えない!! これが大問題で、高速道路で真後ろのクルマがわからない。つまりパトカーが見分けられないのです。

フェラーリのなかでは、F40が断然運転が大変だ。BBだってF40に比べたらとってもフレンドリーである。そのF40に対抗できるのは、ランボルギーニ・カウンタックだけだろう。

カウンタックもパワステはない。車庫入れはとっても大変だ。パワーウインドウもLP400にはない。後期モデルにはついたけれど、ほんのちょっとしか開かない。クラッチ踏力は、自分のアニバーサリーで計測したところ30kgだった。328の18kgの2倍近い重さで、多くの方はフットレストと勘違いする。ただ、クラッチに関してはF40のほうがもっと重い(たぶん間違いなく)。

カウンタックには、ブレーキサーボはある。この点でもF40の勝ちだ。しかし視界はとても悪い。とくに真後ろはまるで見えない……と言われているが、カウンタックの場合、リヤウインドウはガラスなので歪みはなく、真後ろはハッキリ見える。

ではトータルでは、どっちが大変なのか!? たぶん、F40だ。

F40は、普通に前進させるだけなら、そんなに大変じゃないとも言えるが、やっぱり真後ろのクルマが何なのかわかんないのは本当にコワイ。クラッチの重さもたぶん世界一だし、雨の日はF1ドライバーでもスピンする(らしい)。カウンタックは、スピンの気配を感じたことは一度もない。そういう心配はあまりないので安心だ。

つまり運転が大変なスーパーカーの第1位は、フェラーリF40。第2位はランボルギーニ・カウンタック。3位以下は遠く離れていて、よくわからない。
最後に付け加えると、私は非常に体が弱く、体力も筋力もない。