この記事をまとめると
■筆者はナンバープレートのサイズ変更を提案■韓国は2006年に欧州サイズに変更した
■サイズを変えることにより新車が売れることも考えられる
サイズも含めた抜本的な変更を提案
いまクルマを運転していると、ご当地ナンバーが続々登場しているように見える。東京都内はもともと、品川、足立、練馬、多摩、八王子ぐらいしかなかったのだが、いまや江東、葛飾、世田谷、杉並などが加わっている。限られた地域の話で馴染みの薄いひともいるかもしれないが、千葉県では千葉、柏、野田、習志野、袖ケ浦のほか、市川、松戸、船橋、市原とナンバープレートが増えており、「東京隣接県のひとでも、地名を聞いて“どの県の街なのか”すぐわかるひとは少ないのでは?」と感じてしまった。
かつて品川ナンバーは憧れの的でもあった。しかしご当地ナンバーにより、世田谷区が世田谷ナンバーとなった。すると、港区在住者は品川ナンバーのままなので、同じ高級車に乗っていても、“港区セレブ”と“世田谷区セレブ”とが鮮明にわかるようになり、新たなヒエラルキーが発生しているとも聞く。
ご当地ナンバーとして新たな地名が増えている背景には、地域振興などもあるようだが、日本のナンバープレートが抱える深刻な“番号不足”解消という意味合いも大きいと聞く。すでに希望ナンバーで人気の高い“一桁”や“1122(いい夫婦)”や“1188(いいパパ)”といった番号では、“品川●●●”の“●●●(自動車の種別による分類番号)”の部分に数字以外にアルファベットが入っているのを見かけることも多くなってきた。
3ナンバーサイズのクルマばかりとなり、5ナンバーと3ナンバーを分けることへの形骸化というものも強く感じるので、思い切ってナンバープレートのサイズも含めた抜本的な変更をしてみてはどうだろうか。2012年に日本でも横長サイズの導入が検討されたのだが、パブリックコメントでも反対意見が多いこともあり見送られている。しかし、それから10年が経過している。電動車の本格導入も始まることでもあり、周辺環境は大きく変わっているので、再度検討してみる価値はあるものと考える。
サイズを変えることにより新車が売れる可能性も
お隣韓国では、かつて日本のサイズに近い縦横比のナンバープレートだったものを、2006年に欧州サイズの横長タイプに変更した。またそれまでは日本の事業者用プレートと同じ、緑地に白文字だったのが白地に黒字となったので、当時かなりスタイリッシュなナンバープレートになったと感じた。それまでの韓流ドラマを見ていても、主人公が格好いい欧州車に乗っていても、ナンバープレートの“ダサさ”が気になっていた。

ナンバープレートの変更は新車販売にも影響を与える。30年ほど前に埼玉県において“春日部ナンバー”が誕生した。いまでこそ人気アニメの聖地として有名なのだが、当時はそれほど有名でもなく、近くに県内最大都市となる大宮もあるので、決して“華やかな街”ではなかった。そして東京のベッドタウンとして住宅開発が盛んだった久喜市が大宮ナンバーから春日部ナンバーに変わることとなった。すると、春日部ナンバーへ代わる直前に「大宮ナンバーのうちに」と、ちょっとした新車の特需があったとのこと。

好むと好まざるとにかかわらず、プレートサイズが抜本的に変更されれば、それまでのナンバーのついているクルマは古臭さが増してくる。そうなると、「それじゃ新車に乗り換えるか」といった“特需”も生まれやすい。幸いにしてというのもなんだが、いまは世界的サプライチェーンの混乱による生産遅延で、新車の納期も大幅に遅延しており、いますぐ導入するにはタイミングはいまいち。少し時間がかかるかもしれないが、生産状況が改善するころにプレートサイズ変更が実施できるように話し合う時間ができたと前向きに考えることができるだろう。
中国では、白地と緑字のグラデーションとなる新エネルギー車専用プレートを用意している。日本では電動車普及への動きはHEV(ハイブリッド車)を除けば、すべてにおいて出遅れ感が目立っているので、新しいナンバープレートは電動車普及に弾みをつける一助になるはずである。
日本は社会が硬直化し、“出る杭は打たれる”ではないが、新しい意見や、目立つことを行うと、“つぶされる”ことも多い。ただ、制度が形骸化していたり、付け焼刃的に延命させるのであれば、勇気をもって全面変更すべきものと考える。