この記事をまとめると
◼︎シビックのハイブリッドモデル「シビックe:HEV」に試乗



◼︎ハイブリッドモデルながらエンジンは新開発されている



◼︎エンジンサウンドコントロールの搭載など、走りの楽しさが魅力だ



タイプR登場前夜のシビックe:HEVはエンジンが主役

ホンダシビックにe:HEVが加わった。



すでに内燃機関搭載のモデルを紹介している。若者を惹きつける6速MTのラインアップも確認できていた。

そのシビックに、今回新たにハイブリッド仕様が追加となったのだ。この後には待望のタイプRも控えているというから、ホンダがシビックにかける思いは熱い。そしてそのシビックe:HEVも、とんでもなく熱かったのである。



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シビックe:HEVの先行試乗会が開催されたテストコースには多くのエンジニアが集まってくれていた。シビックe:HEVに携わった部署からの精鋭が集結したのではあるが、それにしても人数が多い。というのも道理で、シビックe:HEVには、詳細を説明しなければならないエポックな技術が豊富なのである。

それぞれの専門家に集まっていただいたら、とんでもない数になってしまったというわけだ。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



だが、エンジニアの口からポロリと、本音とも冗談とも解釈できる意味深な言葉が溢れた。



「このシビックで最大のポイントはガソリンエンジンを熟成させたことにあります」



耳を疑った。今回デビューしたのはシビックe:HEVである。2モーター内蔵のCVTを備え、バッテリー駆動をこなす環境車なのだ。内燃機関は単なる発電機として機能するシリーズ式ハイブリッドであり、それでいて時にはエンジンと電気モーターを併用するシリーズパラレル式となる。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



高速巡航ではエンジンを駆動輪に直結させ、いわゆるエンジン車としての走行もこなすのだが、基本はハイブリッドである。電気モーターを高出力化し、ユニットを軽量コンパクトに整え直し、搭載性と性能を大幅に高めているのに、キモはエンジンだというのである。真意を納得するのに時間が必要だった。



ハイブリッドというのを忘れる内燃機関チックな絶品の走り

内燃機関の効率を大幅に高めている。それでいて、エンジンの剛性を高めることによって走りの爽快感を追求していた。実際に走り始めて度肝を抜かされることになる。

ノーマルモードではごく穏やかなハイブリッドの走りである。静粛性が高いのはノイズキャンセラーが組み込まれているからだ。ノイズと逆位相の音をスピーカーから流すことで、人間の耳に聴こえなくしているのである。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



しかも、アクティブサウンドチューニングがなされている。アクセルオンによりエンジン回転が高まる。それは駆動輪に直結しているわけではないのだが、パワーに同調して回転が高まる。

そのエンジン音に、電子音を重ねているのだ。これがとてつもなく躍動感がある。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



ミッションの精度も絶品で、まるで2ペダルMTであるかのように小気味よく回転が上がり下がりする。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



ドライバーに正対するメーターは、アナログ的に上がり下がりする速度計が右に、駆動力を指し示すパワーメーターが左に組み込まれている。そのパワーメーターはまるで内燃機関のタコメーターであるかのように軽快に盤上を踊るのだ。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



これがハイブリッドだと聞かされなければ、スポーティなガソリン車だと錯覚してしまうかもしれない。



低回転域でトロトロ走っている限りはモーター駆動だから静かである。電気モーターらしくモリモリと力強い。それを手がかりにハイブリッドだと気がつくのだが、ひとたびアクセルを強く踏み込むとエンジンが始動し、ガソリン車ゾーンに叩き込まれるのである。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



シビックe:HEVのグランドコンセプトは「爽快シビック」だという。それも納得する。加速感は紛れもなく爽快だったのだ。



ハンドリングも秀逸である。もともとガソリン仕様で新型シビックのボディ剛性感が整っていることを確認しているが、バッテリーを低く搭載したことで安定感が際立った。乗り心地は悪くはないのに、サスペンション系が硬く感じられないのは、バッテリーのウエイト増を巧みに操縦性に利用しているからにほかならない。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



強く旋回Gを与えると、タイヤの接地が曖昧になる瞬間がなくはないのだが、全体的なフットワークも爽快なのだ。すでに販売が始まっているガソリン仕様は、狙いどおりに若いジェネレーション「Z世代」のハートを掴み、受注は好調だとか。あとを追うように誕生したハイブリッドは、やや年齢層の高いゾーンを狙っているという。



【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい



だが果たしてそんな都合よくことが運ぶだろうか。新型シビックe:HEVの走り味はとても軽快であり、上質な内燃機関を走らせているかのような爽快感がある。こんな快感を流行に敏感なジェネレーションZ世代が放っておくだろうか。あるいは世代を超えて支持される可能性が高い。それほど新型シビックe:HEVは爽快だった。