この記事をまとめると
■材料費の高騰により一部輸入車では装備の見直しと価格改訂による値上げが行われている



■クルマの場合、単価が高いため値上げされるとその差額が大きくなる



■当面の間、日本車の新車価格に対して厳しい社会状況が続きそうだ



日用品だけでなく新車価格が値上げされる日も近い?

餃子の王将」が2022年5月14日から値上げする。たとえば、定番の餃子は、通常品の税込み242円(東日本価格264円)が、264円(286円)に。また、ラーメンが528円(550円)が550円(572円)へと価格が改訂される。



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値上げの理由について、運営会社の王将フードサービスは、小麦や食用油など調理に使う原料価格の高騰や、原料などを輸送する運送費でもガソリンやディーゼル燃料価格の上昇の影響があるとしている。



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その他、ビールやコーラ、パン、お菓子など、毎日の生活に直結する食料品関連の値上げが続いている。また、家電も値上げする。メーカーによって違いがあるが、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、オーディオ、レーザープリンターなど多岐に渡る。



こうなってくると、新車価格も上がるのではと、心配になってくるのは当然だろう。実際、一部の輸入車メーカーでは、すでに価格改訂を行い、事実上の値上げとなっており、今後の社会情勢によっては日本車の新車価格が上がることも十分に考えられる。



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クルマの場合、単価が数百万円から数千万円なので、同じ1割値上げでも、餃子なら数十円なのに対して、数十万円から100万円超え、という単純計算になる。



半導体の供給がクルマの価格が上がるか下がるかの鍵となる

では、具体的に自動車に対する値上げの根拠はどこにあるのだろうか? 材料については、車体、ボディ、エンジン、トランスミッションなど使う各種の鋼板では各種原料が値上がりしている。そのほか、各種樹脂など、自動車に関わる数万点の部品それぞれで使われる材料に対して、生産国の社会情勢や物価状況によってさまざまな影響を受ける。



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コロナ禍となり、さらにロシアのウクライナ侵攻に起因した国際情勢不安から、金属などの市況の動向や、輸送のトラックや船舶での燃料高騰による運輸費用の上昇に対して先が読めない状況が続いている。



また、新車価格上昇の可能性については、ここ1~2年で耳にすることが増えた半導体不足問題も根強い。半導体不足は、コロナ禍で世界市場における半導体の需要と供給が乱れたことが原因とされている。



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こうした状況について、「自動車には最近、自動運転技術を活用した高度運転支援システムや電動化などが進んだことで、高性能な半導体の需要が増えていたところに、コロナ禍での巣ごもり需要によってスマートフォンやゲーム機などの需要が増え、半導体市場全体の受給バランスが崩れた」という解釈をする場合がある。



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ただし、自動車で使う半導体とスマートフォン向け半導体が同じものが多いというのではなく、半導体メーカー側の製造能力の問題として、どのような半導体の生産を優先させるか、という視点が大きな問題だといわれている。



こうした見解を、自動車メーカー各社の経理担当役員らが、自社の決算報告などで報道陣向けに説明している。いわゆるサプライチェーンの問題として、中長期的な課題に対して自動車メーカー各社が独自の解決策を模索しているところだ。



半導体の需給関係が乱れれば当然、半導体の価格高騰に結びつき、今度ますます半導体の利用が増えると予測されている自動車産業界にとっては、新車価格を値上げせざるを得ない状況に追い込まれるかもしれない。いずれにしても、当面の間、日本車の新車価格に対して厳しい社会状況が続きそうだ。

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