この記事をまとめると
■道路につくタイヤ痕はブラックマークと呼ばれる■ゴムが固いタイヤほどブラックマークがつきやすい
■ブラックマークが残る理由を詳しく解説する
削れたゴムの粒子がアスファルトの溝に残って黒くなったもの
急ブレーキや急発進で道路につく「ブラックマーク」。警察が交通事故の原因調査をするときなどにも、「ブレーキのタイヤ痕(ブラックマーク)が何m残っていた……」などと調べることでもいられている(ABS付のクルマでは、ブレーキのタイヤ痕はわかりづらい)。
このブラックマーク、タイヤがある一定のスリップ率を越えると、タイヤの表面が路面との摩擦で削られ、削れたゴムの粒子がアスファルトの溝に残って黒くなったものだと思えばいい。
色が黒いのはタイヤのゴムが黒いからで、タイヤのゴムが黒いのは、ゴムの強度を高めるためにカーボンブラックを加えているから。
紙に鉛筆で字が書けるのも、鉛筆の芯に含まれる黒鉛(グラファイト)の粉が紙にくっつくからだが、道路のブラックマークも原理は同じ。
タイヤの場合、きれいに転がっているときは基本的にブラックマークがつかないが、急ブレーキでタイヤをロックさせたり、アンダーステアを出したり、ドリフトしたり、ホイルスピンさせたりすると、タイヤが滑ってブラックマークを残すことになる。
逆にいえば、スリップしなければブラックマークはつかないので、ABSやTCS、ESCなどが働くと、ブラックマークはつきづらい。
ゴムが固くて減らないタイヤほどブラックマークがつきやすい
一方で、表面が滑らかなコンクリートの駐車場や、地下駐車場やショッピングモールの立体駐車場のように、コンクリート表面保護材(二液型のウレタン塗料やエポキシ塗料、あるいは水性の塗り床材)が塗られているところは、床のミュー(摩擦係数)がかなり低いので、ちょっとハンドルを切っただけで「キュルキュル」と音がする。この「キュルキュル」音はタイヤが滑っている証拠なので、こういう路面はブラックマークがつきやすい。
タイヤの種類でいえば、ハイグリップタイヤほど柔らかいゴムを使っていて減り(摩耗)も早いが、その分滑りにくいのでブラックマークはつきにくく、タクシーのタイヤや軽トラのタイヤなどゴムが固くて減らないタイヤほど、グリップが低く滑りやすいのでブラックマークはつきやすい。

ちなみにサーキットでは、走行中、熱を持ったタイヤが溶けて路面にくっつき、ペタペタしてくることがあるが、これはいわゆる「ラバーがのってくる」状態で、ブラックマークとはちょっと違う。溶けたゴムの粘着力でグリップが増すので、ラバーグリップと呼ばれ、ラップを重ねる毎にグリップがよくなりタイムも出しやすくなるので、こうした路面の変化を「トラックエボリューション」という。