この記事をまとめると
■2007年に100万ユーロ(当時約1億6000万円)で発売されたランボルギーニの限定車



■当時のフラッグシップであるムルシエラゴをベースにF-22ラプターをモチーフにした意匠が与えられた



■クーペ20台を販売した2年後に670馬力にパワーアップしたロードスター15台を追加発売



スーパーカーのプライスがついに100万ユーロに達した

ランボルギーニから100万ユーロという驚異的な価格を掲げた限定車、「レヴェントン」が発表されたのは2007年のフランクフルトショーでのことだった。その限定台数は20台。このうち10台はアメリカ市場へと輸出され、日本へも1台が上陸を果たしたとされる。

また、2009年の同ショーでは、ロードスター仕様のレヴェントンも発表され、こちらは15台が生産され、日本にも1台が輸出された。ここでは最初に誕生したクーペモデルを中心に、その解説を進めていくことにしようと思う。



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まず触れなければならないのは、やはりレヴェントンという車名の意味だろう。これは1940年に誕生したドン・ヘリベルト・ロドリゲス牧場の闘牛の名で、1943年に著名な闘牛士であるフェリックス・グスマンと文字どおりの死闘を演じたと記録されている。そのレヴェントンの名を車名に掲げるにあたっては、やはり相応のパフォーマンスを持つモデルでなければならない。ランボルギーニはデビューの約1年前から、すでにLP640にマイナーチェンジされていたムルシエラゴをベースに、レヴェントンの開発プロジェクトをスタートさせていた。



レヴェントンのスタイルは、ラプター(猛禽類)の愛称で呼ばれたF-22ステルス戦闘機などからインスピレーションを得たものとされ、そのシルエットは基本的にはムルシエラゴのそれと共通するものの、シャープなラインでより直線的に面を切り出した独特な造形でまとめられているのが特徴だ。そのダイナミックな面構成はきわめて斬新で未来的な印象。



味わえるのはたった35人! 1億6000万円のランボルギーニ・レヴェントンは地上のステルス戦闘機だった



ボディパネルのメイン・マテリアルはもちろん軽量かつ強固な複合カーボンファイバーだが、ルーフと左右のドアには剛性確保の観点からスチールが用いられているのはムルシエラゴと同様の構成となる。



数多くの専用アイテムを採用した特別なスタイリング

デザイン的にもっとも大きなインパクトを与えるのは、やはりフロントセクションの造形だろうか。大きなエアインテークを持つフロントスポイラーは、もちろんレヴェントンのための専用デザインで、バイキセノンとLEDによるヘッドライトのデザインは、ムルシエラゴLP640とガヤルドの中間的な雰囲気でまとめられている。ちなみにこの一連のモディファイによって、レヴェントンの全長は4700mmにまで延長されることになった。



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ほかにもさまざまな独自のフィニッシュを持つレヴェントンだが、ランボルギーニがそれに設定したボディカラーは、その名もレヴェントンとネーミングされた、半透明グリーン&グレーの専用色のみ。また、一切のオプション装備も用意されない。



ミッドに搭載されたエンジンは、ムルシエラゴLP640から10馬力のエクストラを得た、650馬力仕様の6.5リッターV型12気筒自然吸気。10馬力の増加分は吸排気システムやECUの見直しによって得られている。シングルクラッチの6速セミATであるeギヤを組み合わせること、またセンターデフにビスカスカップリングを使用した4WD機構を持つことなども、ムルシエラゴLP640と変わらない。



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前後のサスペンションはレヴェントンのためにセッティングを見直したダブルウイッシュボーン形式。ホイールは前後ともに18インチ径を採用したが、そのデザインもまたレヴェントンのみに供給されるもので、タイヤも同様にピレリによって専用開発された、フロント245/35ZR18、リヤ335/35ZR18サイズのPゼロ・コルサが装着される。



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インテリアに目を向けると、まさにジェットファイターのグラスコクピットのように3分割式のメーターパネルがドライバーの心を熱く刺激するが、それを体験できるのは、前でも触れたとおりクーペ、ロードスターの両方を加えても世界で35人のカスタマーのみ。参考までにその0-100km/h加速は3.4秒と、ムルシエラゴLP640のそれより0.4秒速く、また最高速も340km/hを主張している。



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レヴェントンの価値は、もちろんいまも変わることはない。ちなみに2009年に発表されたロードスターは、さらに強力な670馬力仕様のエンジンを搭載し、ボディカラーの色調も微妙に変化している。

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