この記事をまとめると
■3年ぶりに北米国際自動車ショーが開幕された■出展メーカーはアメリカンブランドが多かった
■コロナによってオートショー離れが進んでいる
3年ぶりに開催された北米国際自動車ショー
現地時間9月14日より、北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)2022が開幕した。2019年1月の開催を最後に、多くのブランドがブースを構えて魅力的な新型車を会場で発表するなどのオーソドックスなトレードショー形式の開催をやめ、2020年よりデトロイト市の中心市街地全域を会場に見立てた新しい試みをふんだんに採り入れたショーに変更。開催時期もデトロイト市にとってもっとも温暖で快適な時期とされる6月としたが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大により開催中止。
しかし、出展ブランドはGM(ゼネラルモーターズ)、フォード、ステランティスグループのおもにクライスラー系ブランドといったアメリカンブランドに加え、トヨタとスバルのみとなっており、驚いた。
デトロイト市中心市街地を会場に見立てたというのも、筆者のイメージがオーバーだったのかもしれないが、結局いままでの会場であったハンティントンプラザ(旧コボセンター)と、近くの公園のような場所を一時的に封鎖するなどした場所でのモンスタートラックショー、そしてコボセンター内のかつてはメディアセンターとなっていた場所は、なぜか等身大の恐竜の像が置いてあった。新しい試みというよりは、出展ブランドが少ないのでほかのことで盛り上げようとしているようにしか見えなかった。
出展メーカーが激減した理由はおもに2つ
事情通は「そもそもデトロイト市とその周辺は人口が少なく、ここ数年は集客力を疑問視する声が目立っていました。かつては技術力も高く“ビッグ3”ともいわれたアメリカンブランドが衰退してからはショーの勢いも急激になくなっていきましたね」としている。
また毎年2月にはデトロイトに比較的近いシカゴでオートショーが開催されている。シカゴ市とその周辺の人口は多く、全米のオートショーでもトップクラスの集客力を誇るとされている。世界初公開のような派手なニューモデルがほとんどないなかでの集客力の高さなのでシカゴショーのほうが優先されているとの声もある(デトロイトからも比較的距離は近い)。

※写真は2019年のシカゴショー
また前出の事情通は新型コロナウイルス感染拡大も完成車メーカーのデトロイトショー離れを加速させたのではないかとしている。
「新型コロナウイルスの感染拡大により、多くのオートショーが開催中止になるなど、リアルでの新車発表が難しくなりました。そのなかで、多くのブランドがショーに頼らない、リモート発表などによるニューモデルリリースのノウハウなどが構築でき、コロナ禍前からあった、オートショー出展についての“選択と集中”がさらに加速したようにも見えます」(事情通)
新興国ではまだまだ盛んなオートショーであるが、先進国では急速に“オワコン”化しており、出展メリット(情報発信力や集客力)が高いとされるショーのみへの集中的な出展がさらに目立っていきそうだ。