この記事をまとめると
■横転の発生頻度は意外に高い



■車両相互事故の15件に1件は車両が横転している



■万が一の際の対処方法について解説する



軽ハイトワゴンは横転しやすい

見た目も派手で、被害も大きそうに見える横転事故。滅多に起きることはないと思っているかもしれないが、意外に発生頻度は高く、(財)交通事故総合分析センターが公表している資料によると、車両単独事故の22%、およそ5件に1件、車両相互事故の15件に1件は車両が横転していることがわかっている。



また、車両が横転した事故形態別に見ると、車両単独事故が59%と約6割を占めている。

残りの41%が車両相互事故で、内訳は側突が29%ともっとも多く、次いで前面衝突(前突)8%、後面衝突(後突)が4%だ。



車両が横転する要因としては、単独事故の場合、横滑り状態から片輪が浮いてそのまま転倒、横滑りから縁石などに引っかかって転倒、横滑りから凹みにはまって転倒といったパターンや、縁石や法面への乗り上げ、あとは道路脇への落下などが上げられる。



じつはかなりの頻度で発生している! クルマが横転しそうになっ...の画像はこちら >>



クルマが横転するリスクは、「重心が高いほど」「旋回速度が速いほど」「旋回半径が小さいほど」大きくなる。



車種でいえば、単独事故だと軽自動車、SUV、普通貨物、大型貨物の転倒事故が多く、車両相互事故だと、軽自動車、1BOX、ミニバン、SUV、軽貨物の転倒事故が目立つ。とくに車体が軽くて、全高が高い軽のハイトワゴンは横転しやすいので要注意。



片輪が浮きかかったらハンドルはできるだけ直進状態に戻す

日本交通化学学会の学会誌にも、「軽ハイトワゴンと呼ばれる車高の高い軽乗用車が流行しているが、このような車種は重心が高いため、交差点等で低速度で衝突しただけでも容易に横転する。車両が横転した場合、乗員が車室内に強く二次衝突したり、割れた窓部から車外放出されるなどして死傷することが多い。



実際に調査した横転死亡事故をもとに、実車を用いた衝突実験やコンピュータシミュレーション解析により事故時に軽ハイトワゴンが横転するメカニズムを解明した。その結果、横転には衝突後のヨー回転速度やローリング共振周波数等が影響することが判明し、さらに走行速度が低いほど横転しやすい可能性も示された。



このため、軽ハイトワゴンが横転しやすい車両であることを周知させるとともに、横転に備えてカーテンシールドエアバッグの装着を義務付ける等の方策が必要であろう」と、「軽微な事故で横転する軽ハイトワゴンの危険性」を取り上げており、警鐘を鳴らしている。



じつはかなりの頻度で発生している! クルマが横転しそうになったら何をすべきか?



そうした特性を踏まえて、転倒しかかったときに何ができるかを考えてみよう。まず前述のとおり、旋回半径が小さいほど転倒のリスクは増えるので、片輪が浮きかかったらハンドルはできるだけ直進状態に戻すようにして、旋回半径を大きくしてみよう。



このときカウンターステアまで行くと、一気に横滑りが止まり、躓いたようにロールオーバー=転倒することもあるので要注意。また旋回速度も低いほうが安全だが、急ブレーキは不安定さを増すだけなのでNG。アクセルを全閉にしてキープするしかない。あとは車体が浮きかけた側に身体を倒して、少しでも内輪側に重心をかけるぐらいしか……。



じつはかなりの頻度で発生している! クルマが横転しそうになったら何をすべきか?



クルマが滑りはじめたときカウンターを切り、そのあとオツリをもらって、蛇行運転になるのも横転につながるし、荷崩れや過積載も横転の原因に。重たいものは高い場所に積まないようにして、しっかり固定しておくことが非常に重要。



実際のところ、クルマがコントロールを失って、横転しかかったら、できることは「神に祈るのみ」。そうならないために、クルマの特性をよく知って、荷物の積み方などに十分気を配り、急のつく操作をしないで済むよう車間距離を十分確保しておくことが肝要だ。もちろんESC(横滑り防止装置)はつねにONで!

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