この記事をまとめると
■日本市場において輸入車は一定のシェアを維持している



■輸入車のデザインには個性があると言われるが、それは事実なのだろうか?



■具体車種を挙げ、輸入車のデザインの魅力を検証した



突飛なことをせず各部の磨き上げによって個性を発揮しているクルマも

輸入車の魅力は「豊かな個性」と言われますが、それって本当なのでしょうか。日本車もそれなりに個性を打ち出しているいま、日本市場で輸入車が一定のシェアを維持するのはなぜなのか? 今回は、デザインの面から輸入車の魅力を検証してみます。



コンパクトカーといえばやっぱり欧州車?

近年の輸入車は大型化が顕著ですが、そんななか、Aセグメントで輝いているのがフィアットの「500e」とルノー「トゥインゴ」です。いつの間にか3ナンバーになってしまった「ミニ」に対し、この2台はそのサイズ込みで独自性を放っていると言えそうです。



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BEVとなった500eは、従来の「500」と見分けがつかないほどソックリですが、よく見ると、張り出しの大きくなった前後フェンダーや立体的になったリヤパネルなど、より「大人な表情」に変化しています。ほとんど変わらないサイズのなかで、現代化を果たしたセンスと見識はさすがです。



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トゥインゴの魅力は、近年の柔らかなルノースタイルに「ルノー5」のエッセンスを調和した独自性に加え、そこに4枚のドアを持たせたデザイン力です。さらに、サイド面のピークに沿ってアクセントラインを引くという発想と、ブラックパネルを施したリヤビューの先進感もまた巧妙です。



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王道セダンにも独自のエッセンスを

セダンを中心としたラインアップではドイツ御三家が鉄板ですが、デザイン的な視点では「DS9」という選択肢もあります。「匠の技と美学」を謳い、実用より装飾を正面から語る姿勢はフランス車ならでは。もともとのクーペライクなフォルムも美しいのですが、各所に施されたクロムパーツのアクセントも見所です。



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最近はSUVのラインアップも充実しましたが、セダンとしてジャガーの「XF」「XE」シリーズもじつに魅力的です。スタイリングとして何か突飛なことをするのではなく、プロポーション、ボディ面、パーツを徹底的に磨き込み、吟味することで独自の個性を発揮させるという手法は、逆に極めて高いデザイン力のなせる技です。



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流行のSUVも輸入車ならではの魅力がある

人気のSUVをとびっきりスタイリッシュに

流行のSUVは日本車でも個性を競っていますが、たとえばランドローバーの「ディフェンダー」や「レンジローバー」のスタイリングに追い付くことは並大抵ではありません。ディフェンダーは基本を滑らかな面としつつ、シャープなラインやオリジナリティのあるパーツ類で、高い悪路走破性や堅牢性を感じさせるところが秀逸です。



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一方のレンジローバーは、オンロードも意識したとはいえ、徹底したフラッシュサーフェスで個性を生んでしまうデザイン力が圧巻です。もちろん、そこに置かれるミニマムでメカニカルな表情のランプやグリル類、近未来感溢れるリヤのガーニッシュなどもまた高いセンスによるものです。



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伝統のスポーツカーも日々進化中

スーパースポーツはもともと輸入車の独壇場であり、フェラーリやランボルギーニの他、ポルシェやマクラーレン、マセラティと個性派揃いです。

ただ、どのメーカーも決してそこに胡座(あぐら)をかいているわけではありません。



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たとえばフェラーリの「ローマ」は、1960年代のGTをモチーフに「フォーマルなミニマリズム」として、新たなエレガントさやピュアな表情を打ち出しています。また、限定モデルとはいえ「カウンタック LPI 800-4」で往年の名車を復活させたランボルギーニも、また歩みを止めていません。



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さて、あらためて最新の輸入車デザインを見てみると、実用車やSUV、セダン、スポーツカーなど、それぞれのクルマは自社の歴史や伝統に裏打ちされたものであることがわかります。器用であるが故に、思いつくまま多種多様の商品を作り続けてきた国産メーカーとの違いはそこにあるようです。



ブレがないことの魅力。それによる独自の文化の醸成。ここに価値を見出すユーザーがいる限り、輸入車デザインの魅力は発揮し続けると思えるのです。

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