この記事をまとめると
■今の時代、さまざまなボディタイプのクルマが売れている



■昔はトヨタ カローラのような大衆セダンが人気だった



■この時代から既にトヨタ同士のライバル対決が始まっていた



トヨタの同系車種のライバル関係は今も昔も変わらない

いまどきの売れ筋モデルを探るべく販売ランキングをみると、ホンダN-BOXとトヨタ・ヤリスがトップ争いを繰り広げている。ボディタイプで見れば軽自動車も含むコンパクトカーやミニバンそしてSUVが新車販売の中心となっている。



カローラはサニーやシビックとだけ争っていたワケじゃない! ト...の画像はこちら >>



しかし昭和から平成初期にかけて人気モデルというと、トヨタ・カローラクラスなどの、いわゆる“大衆セダン”であった。

カローラに対し、日産サニー、ホンダ・シビック、マツダ・ファミリア、三菱ランサーなど、各メーカーはこぞってライバル車をラインアップしていた。一般的にはカローラをメインとし、他メーカーライバル車との間で激しい販売競争が行われていたのだが、カローラから見て最大の強敵は身内、つまりトヨタ車にいたのである。



カローラはサニーやシビックとだけ争っていたワケじゃない! トヨタの仁義なき「同門バトル」は30年以上前から続いていた



歴史の長いカローラであるが、そのなかでとくによく売れたモデルとしては、1979年にデビューした4代目と、1987年にデビューした6代目を挙げる関係者が多い。6代目が新車として販売されていた当時を知っているA氏いわく、「とにかくスーパーホワイトⅡ(カラーコード040)のセダンがよく売れました。中間グレードのXEと上級グレードのSEサルーン(それらをベースとした特別仕様車がとくによく売れた)が販売の中心でしたね。少し暗めな赤系統色ともいえる“マルーン”の内装色が当時爆発的に売れていたスーパーホワイトⅡのトヨタ・マークⅡ系と同じ内装色というのもウケていたようです。もちろん、サニーやシビックと商談で競り合うこともありましたが、それより厄介だったのが、カリーナとコロナの1.5リッターモデルでした」と語ってくれた。



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ラインアップのヒエラルキーが販売に大きく影響

トヨタ・カリーナ、同コロナはカローラの格上になるモデルで、“ミドルセダン”クラスに属していた。1.8リッターエンジン搭載車が車種構成の中心であったが、1.5リッターエンジン搭載車もラインアップしていた。もちろん格下のカローラとは装備内容などで差別化されていたのだが(わずかな差だがその差は商談では大きく響く)、自動車税がカローラと同じ1.5リッター(カローラは1.3リッターや1.6リッターもあったがメインは1.5リッター)、しかも当時は買い得で装備充実の特別仕様車もバンバン設定されていた。カローラも特別仕様車をラインアップしていたのだが、カリーナを扱うトヨタ店や、コロナを扱うトヨペット店の猛烈な値引き販売も加わり、カリーナやコロナの1.5リッター車に商談でカローラが競り負けることもしばしばあったと筆者も聞いている。当時はカローラ→カリーナ、コロナ→マークⅡ→クラウンというヒエラルキー(上下関係)が明確にあった時代なので、よりカリーナやコロナの1.5リッター車が注目されていたのである。



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2020年5月より専売車をやめ、どのトヨタ系ディーラーでもすべてのトヨタ車が買えるようになり、いまではトヨタ車同士で値引きなどを競い合わせて買う人も多くなっているが、それは何もここ最近始まったことではなく、昔からトヨタ車は身内同士の争いがシビアに行われていたのである。



その後、カリーナはアリオン、コロナはプレミオという後継モデルへ引き継がれたが、それでも1.5リッター車のラインアップを続けた。ただすでにセダンが勢いを失っていたので、カローラとの熾烈なバトルは起きなくなったが、プレミオ&アリオンの1.5リッター車は“隠れたリセールバリューの高いクルマ”として、知る人ぞ知るクルマとなった。パキスタンやバングラデシュ、スリランカなどで、比較的裕福な人たちの間で日本から中古車として輸入されるプレミオ&アリオンが大人気となったのだ。しかも、1.5リッター車指名なだけでなく細かいグレードやオプション指定などもあったりしたようで、それに合致した仕様の下取り査定額は驚くほど高かったと聞いている。そのため、一時はプレミオを扱うトヨペット店のセールスマンなどでは1.5リッターのプレミオに乗る人が目立っていたとの話も聞いている。



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そのプレミオ&アリオンもすでに絶版となっている。そうなると、今後はカローラセダンが隠れた高リセールバリュー車となっていくのだろうか。それもあって、カローラセダンは(ツーリングも)一部改良でガソリン車を1.8リッターから1.5リッターに載せ替えたのかもしれない。気になる人でカローラセダンの購入を検討する時は、寒冷地仕様を選びリヤワイパーを装着することを忘れずに。リヤワイパーは輸出先においてマストアイテムとなっているようだ。



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