この記事をまとめると
■クラウンクロスオーバーが発売後約1カ月で2万5000台を受注した



■個性が際立ったモデルは発売直後に販売台数を稼ぐが、その後は販売数を減らす傾向が強い



トヨタにとってクラウンクロスオーバーは本命ではなく新旧クラウンを繋ぐ架け橋的モデルと言えそうだ



まずは好調な滑り出しの新型クラウンクロスオーバー

クラウンクロスオーバーが、発売後約1カ月で2万5000台を受注したとニュースになった。



1カ月で2万5000台を受注してもクラウン・クロスオーバーは...の画像はこちら >>



ただしこの台数は、クラウンにとって驚くほどの受注実績ではない。2018年に登場した先代型は、歴代クラウンの中では販売が低調だったが、発売から1カ月後の受注台数は3万台に達していた。



しかも新型のクラウンクロスオーバーは、従来型に比べると取り扱い店舗数が急増した。従来型はトヨタ店だけが販売したから、全国に約1000店舗だったが、2020年5月以降はトヨタの全店が全車を扱うようになった。したがって、クラウンクロスオーバーも、従来型に比べると4倍以上の約4600店舗で購入できる。社用車や試乗車を含めて、1店舗当たり6台を契約すれば、2万5000台を達成できる。



そこも考慮すると、コロナ禍による需要の停滞を差し引いても、クラウンクロスオーバーの受注台数は妥当な数字だ。好調でも、不調でもない。



クラウンクロスオーバーは、従来型に比べて外観を大幅に変更した。ボディタイプは、後部に独立したトランクスペースを備える従来と同様のセダンだが、外観は車名が示すようにクロスオーバー、つまりSUV風だ。



1カ月で2万5000台を受注してもクラウン・クロスオーバーは「バカ売れ」じゃない! 本命はこの先に続く車種だった



従来型のユーザーは、新型クラウンクロスオーバーに乗り替えているのか、販売店に尋ねた。「クラウンクロスオーバーのお客様は幅広い。先代型からの乗り替えはそれほど多くはない。ハリアーのようなSUVを使っていたお客様が目立つ。

BMWなどの輸入車もある。クラウンクロスオーバーは、全車が4WDだから、雪道を走る機会の多いお客様も注目している」。



販売数が落ち込むところで別モデルを投入するしたたかさ

問題は今後の売れ行きだ。クラウンクロスオーバーのように外観の個性が際立って強い車種は、好みに合うユーザーの購買意欲を強く刺激する。したがって、発売直後には売れ行きを急増させるが、その後は一気に下がりやすい。



C-HRはこのパターンだった。2016年12月に発売され、発売後1カ月の受注台数は、クラウンクロスオーバーの2倍近い4万8000台に達していた。2017年上半期(1~6月)には1か月平均で約1万3000台を受注して、小型/普通車販売ランキングの順位は、プリウスとノートに次いで3位に入った。



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しかし、その後の販売下降も早く、2018年の1カ月平均は約6400台だから半数に減った。2019年はコロナ禍前ながら約4600台だ。発売から2年間で、C-HRの売れ行きは3分の1に下がった。スポーツカーを含めて、外観が個性的な車種には、このような商品特徴がある。



メーカーが設定したクラウンクロスオーバーの月販基準台数は3200台だが、今後も長くこの台数を達成するのは困難だ。SUV風だが、セダンボディだから、走行安定性、乗り心地、静粛性で有利な代わりに荷室の使い勝手は悪い。



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そして、セダンを購入するユーザーの多くは、メルセデス・ベンツやBMWのようなフォーマルな雰囲気を好む。SUV風のクラウンクロスオーバーは選ばれにくい。したがって1年以上を経過すると、クラウンクロスオーバーの受注台数は低下する。



そこも踏まえてクラウンは、これからスポーツ/エステート/セダンという複数の車種を追加する。スポーツとエステートはリヤゲートを備えたSUVスタイルで、とくに後者は3列目のシートを備えた仕様も用意するから、SUVの本命として好調に売られるだろう。4車種で「クラウンシリーズ」の売れ行きを保つ戦略だ。



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それならなぜ最初にクロスオーバーを投入したのかといえば、エステートでは、従来のクラウンとはイメージが大幅に異なるからだ。逆にセダンを最初に投入したら、クラウンが変化したことを表現できない。



「SUV風セダン」のクロスオーバーは、新旧のクラウンを結ぶ架け橋として最適だから、真っ先に投入された。決して本命ではない。

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