伸び悩む給料に、急速なインフレ…。とうとう国が「投資による資産形成」を促す時代になりました。

国が推奨する選択肢に「新NISA」がありますが、一体どのようなものなのでしょうか。改めておさらいします。本連載は、FP資格を保有する経済ジャーナリストの酒井富士子氏の著書『マンガと図解でよくわかる新NISA&iDeCo&ふるさと納税[増補改訂2版]』(インプレス)より一部を抜粋・再編集したものです。

物価高の時代、資産づくりには「投資」を組み合わせよう

◆インフレ時代の資産形成には投資が必要

毎月お給料をもらい、さほど無駄遣いをしているわけではないのに、なぜか思ったほどお金が貯まらない…と思っている人もいることでしょう。

実は、日本人の実収入はこの数年でようやく上昇の兆しが見えてきたものの、長い間横ばい状態が続いています。これに追い打ちをかけているのが、税金と社会保険料の負担割合の上昇です。実収入は大きく増えないのにもかかわらず、税金などの負担は増えているため、手取り収入は減っていることになるのです。

さらには、日本でもインフレの波が押し寄せており、ここ最近の物価の著しい上昇に頭を悩ませている人も多いはず。貯蓄ができない人が増えていても不思議ではありません。こうした社会変化から、お金が貯めにくい時代になっているといえます。

物価上昇の局面では、相対的にお金の価値が下がるため、資産のすべてを預貯金に委ねてしまうと、資産が目減りするリスクが大きくなります。そのようなリスクに対応するには、投資によって資産形成を行い、お金を増やしていく必要があるわけです。

個人の投資による資産形成を促すため、国はNISAiDeCoといった非課税制度の利用を強く推奨しています。

2024年から、これまで以上に使い勝手が増した新しいNISAもスタートしました。大切な資産を守るという意味でも、インフレ時代の新たな資産形成法として、今こそ投資を始めてみてはいかがでしょうか。

◆収入は横ばい・負担増で手取り収入は減っている

国が「投資を強く推奨する」ほど、時代は変わった…国が提案する...の画像はこちら >>

「グラフを見ると、30年間実収入はほとんど増えていないんだね…」 

「少子化・高齢化が進むと、さらに税金や社会保険料の負担が増えるかもしれないね…」 

物価が上昇するとお金の価値が下がります。それに対応するには、現金でなく株式などの金融資産で持つことが必要になります。

新NISAの「6つのすごいところ」とは?

◆年間360万円の非課税枠で、一生涯保有OK

これまで以上に使い勝手がアップした新NISA。まずは知っておきたい6つのポイントを、図表2の①~⑥の順に見ていきましょう。

①新NISAの非課税投資期間は一生涯(無期限)です。

それによって、ライフステージに合わせて柔軟に積立投資が行えるようになりました。

②新NISAでは、制度が恒久化され、期限を気にする必要もなくなるため、好きなタイミングでいつでも口座開設できるようになりました。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を1つの口座で併用することができます。そのため、つみたて投資枠で投資信託の積立投資を行いながら、成長投資枠では株式投資にチャレンジするなど、幅広い活用方法が可能になります。

非課税投資枠が大幅に拡大され、つみたて投資枠では年間120万円、成長投資枠では年間240万円まで非課税で投資することができるようになりました。

非課税保有限度額が拡大され、生涯にわたって1800万円(うち成長投資枠は1200万円)まで非課税で投資することができるようになりました。

新NISAの節税メリットをこれまで以上に享受できます。

⑥新NISAでは非課税枠の再利用ができるも大きな特徴。商品を売却するとその分が非課税枠として復活します。

国が「投資を強く推奨する」ほど、時代は変わった…国が提案する資産形成の選択肢「新NISA」ってどんなもの?【FPが助言】

※ 本連載では、旧NISAと比較する場合は「新NISA」「新しいNISA」などと表記しています。公式ではたんに「NISA」と呼ばれていますが、わかりやすさを重視して文脈に応じて使い分けています。

酒井 富士子経済ジャーナリスト、FP