「自宅を少しでも快適にしたい」と考えている人は多いでしょう。とはいえ、やみくもな片づけ作業はストレスも疲労も溜まります。

そこで、『イツカを手放してイマを身軽に生きる方法』(エムディエヌコーポレーション)の著者で整理収納アドバイザーのみや氏が、快適な暮らしを手に入れるための「片づけの本当の目的」について、実体験をとおして解説します。

ものを減らすことで生まれるメリット

「来客があるから片づける」。それが、以前の私のスタイルでした。お客さまが来る直前までバタバタ片づけて、結局どうにもならず、隠し部屋にものを押し込んで…。

そんなことだからイライラするし、ものはなくなるし…。いつしか、人を招くこともおっくうになっていました。

ものを減らしはじめてからの生活で、こんなことがありました。

その日は10時から来客の予定があったのですが、朝から家族で虫捕りに行くことになっていたんです。以前ならば、私だけ家に残り、ひたすら片づけと格闘。でも、この日は出かける前にさっと片づけて、お掃除ロボットをセット。私も一緒に虫捕りに行き、一緒に楽しむことができました。

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まず、ものが少なくなれば散らかるものも少なくなります。だから格闘しなくても、ちゃちゃっと片づくようになったのです。

そしてこの日私は、「求めていたのはこれだ!」と思ったんです。すぐ片づく家ならひとりで残る必要もない。家族と一緒に出かけられるし、一緒に楽しい時間を過ごせるんですよね。

これまでの私は、「家族と過ごせたはずの時間」を、片づけに捧げてきたんだな…。本当にもったいない! 家族と出かけることを第一にしたいなら、割り切って「散らかったままお客様を招く」というのも一つの方法です。でも、それは気持ち的に受け入れられない。

私にとっては、「きれいにしてお客様を迎える」ことも、ゆずれないこだわりだったんです。

「ものを減らせばOK」ではない!?…快適な暮らしを手に入れる「片づけの正解」とは【整理収納アドバイザーの実体験】

片づけたり管理する時間を“ほかのこと”に使いたい

私がやりたいことは「片づけ」ではないのです。むしろ、片づけはしたくない(笑)。ホテルのように誰かが片づけて、掃除してくれたら、いいのになあ。でもそうはいかないですよね…。

散らかった部屋では心地よくないし、使い勝手も悪い。お客様も汚部屋で迎えたら楽しくないし落ち着きません。

だから、片づけます。

でも、その片づけに時間を取られて、家族との時間や楽しい時間を犠牲にしたくないので、すぐ片づくようにものを減らしています。

片づけも、ものを減らすことも「目的」をかなえるためのプロセスなんですよね。自分の生活が整ってくると、だんだんそのことがわかってきました。

いまは、こういった目的が見えるようになったけれど、片づけをはじめた当初は「変わりたい」という漠然としたことしか頭にありませんでした。だからいつしか「手放すこと」が目的になってしまったんです。

私が得たかったのは、「家族との時間」です。そして、家族が心地いい空間、お客様を気持ちよく迎えられる空間。それを失わないための片づけだから、別にピシッと整えたり、とことん減らすことが正解じゃないんです。

だって、“ピシッ”にこだわったら、それがストレスにもなってしまいます。ものを捨てすぎて不便になったら、「快適」のための片づけなのに本末転倒です。

だから、自分のちょうどいい「快適」を見つけながら進めることが、大事だと思っています。

私はものが少ないほうが「自分らしく」「ラクに」生きられる

私にはものをたくさん管理するほどのキャパがなかった。これも、片づけをしてわかったことの一つです。

私はもともと、「ものを管理する」ことが得意ではないのだと思います。たくさんものがあると、うまく収納できず散乱させたり、山積みにしたり。そうなってくるとイライラするし、いざ片づけようものなら疲労困憊…。ものに自分の身も心も振り回されてしまうタイプなんですよね。

でも、ものを管理する能力が高かったり、増えたものに振り回されない人ならば、多くてもいいのかもしれません。

私にとって、「増えすぎたものは苦しみの種」だった。それは減らして「快適」を知ったときに、はじめてわかったことでした。それにその人にとっての「適量」というものがあるのだと思います。

それはライフスタイル、家族構成、性格、趣味嗜好などによっても違うだろうし、私とは反対にものに囲まれているほうが心地いい人もいるはず。私はものが少ないほうが「ラク」だし、気持ちも穏やかにいられます。

とはいえ、やはり必要なものはあるし、生活を便利にしてくれるもの、心を豊かにしてくれるものもあります。でもそれが管理できないほど増えてしまうと、時間が奪われ苦しみを生んでしまうんです。

それから、以前の私は「クローゼットを開けたくない」と思っていました。好きなものならば、そんな気持ちにはなりません。結局、「好きではない」ものを抱えて、それに苦しんでいたのです。

みや整理収納アドバイザー