
不動産投資といえば高年収の方の資産形成手段のイメージがあり、年収500万円で不動産投資はできるのかどうか気になる方も多いと思います。
そこで本コラムでは、年収500万円でも不動産投資ができるのかについて解説します。
■年収500万円でも不動産投資はできる!
(画像:PIXTA)年収500万円でも不動産投資は可能です。しかし、金融機関は融資を決定する際に年収だけでなく、勤務先や雇用形態など本人の属性となるさまざまな要素を考慮します。そのため、不動産投資を検討する際には、自分の属性を正確に把握し、それに合わせた投資計画を立てることが不可欠です。
●いくら融資を受けられるのか?
一般的に融資の限度額は年収の7~10倍が目安といわれています。年収500万円であれば、融資限度額の目安は3,500~5,000万円となります。
ただし、これはあくまで一般的な目安であり、実際の融資額は借り手の状況や個々の金融機関の審査条件、購入物件の評価などによって異なります。特に自己資金の有無や個人信用情報などが融資額に影響を与えるため、実際に金融機関に自分がどのくらい借りられるのか相談してみましょう。
●必要な自己資金はいくらなのか?
必要な自己資金は、購入する物件や本人の属性によって異なりますが、一般的な目安としては物件価格の1~2割程度を自己資金として準備しておく必要があります。
また自己資金の額が大きいほど、将来への計画性が評価されるため、融資が通るかどうかに大きく影響します。また、金融機関にとっては必要な融資額が減り、貸倒リスクを抑えることができるため、自己資金を多く用意することはプラスの要素になります。
■融資の判断材料になる「属性」とは?
属性とは、融資を受ける人の勤務先や年収といった経済的・社会的情報です。属性には以下のような項目が含まれており、金融機関はこれらを判断材料にして融資をしています。金融機関によって判断材料は異なるため、ここでは一部を紹介します。
審査項目説明家族構成同居している家族の有無や扶養家族の人数であり、返済能力や生活環境を示す重要な要素です。居住情報居住情報では、持ち家か賃貸か、そして居住年数などが評価されます。返済状況や月額家賃を基に、安定した生活基盤や居住環境を示すものとして重視されます。また、持ち家だと物件の資産価値も評価の一部になります。年収年収は、個人の収入を示す指標です。個人年収だけでなく、夫婦合算年収も考慮されます。返済能力や生活水準を把握する上で重要な要素です。勤務先と勤続年数勤務先と勤続年数では、勤務先の企業名や規模、雇用形態、そして勤続年数が評価されます。■年収500万円の方が購入可能な不動産
先ほど融資の限度額は年収の7~10倍が目安であり、年収500万円の方であれば融資限度額の目安は3,500~5,000万円となると解説しました。この融資額を活用する際の投資対象としては、主に以下のような物件が考えられます。
- 中古の一棟アパート
- 新築または中古の区分マンション
融資限度額が3,500~5,000万円であれば一棟ものの中古のアパートも検討の対象となりますが、物件の構造や立地、管理状態などによっては、区分マンションの投資が適している場合もあります。
不動産投資を始める際、区分マンションは比較的少額なので、多くの人が購入を検討します。そのため、需要が高く売却しやすいメリットがあります。また、区分マンションであれば自己資金を抑えた不動産投資を行うことができます。
地域の賃貸需要が低い中古の一棟アパートよりも都心部で賃貸需要が高いワンルームマンションを購入する方が賃貸収入の安定を見込めることがあります。
■年収500万円で不動産投資を始める手順を解説

ここでは、不動産投資を始める以下のプロセスを紹介します。
- 条件の整理をして実際に物件を探す
- 不動産会社に問い合わせる
- ローンを契約する
- 火災保険や管理会社との契約をする
- 不動産投資開始
●条件の整理をして実際に物件を探す
まずは具体的な投資額や物件選びの方向性を定めるために、以下の項目を整理しましょう。
- 準備できる自己資金額
- 返済期間
- 既存ローンの状況
- 購入を検討している不動産のエリア
- 不動産のタイプ
特に自己資金額は、物件価格の1~2割程度を用意するのが一般的であり、準備できる自己資金額の確認をすることで、現実的に購入できる不動産の価格を把握することができます。
また、不動産のタイプとしては、新築と中古、区分所有と一棟所有の4つの大きなカテゴリがあります。これらの違いを理解し、自身の資金やリスク許容度、投資目的に合わせて適切な不動産投資を選択することが重要です。
特徴メリットデメリット新築物件・都市の中心部や郊外の駅周辺で分譲されるケースが多い。・家賃を高めに設定できるため、利回りが比較的高い。・設備や構造のトラブルが少ない。
・入居者が集まりやすい。・売却時には新築のプレミアムが失われる。
・定期的な修繕やメンテナンスが必要。
・購入時の費用が高い傾向にある。中古物件・築年数によって価格や状態が異なる。・購入時のコストが低く、リターンが早く得られる場合がある。
・地域や立地条件によっては利回りが高い。
・新築より価格が安い。・修繕やリフォーム費用がかかる場合がある。
・新築物件より入居者が集まりにくい場合もある。区分所有・マンションやアパートの一部を所有する形態。
・共用部分の管理は管理組合や管理会社が行う。・単価が低く、初めての不動産投資に適している。
・好立地の物件を選定しやすい。・家賃設定の自由度が低い。
・共用部分の問題が影響することがある。一棟所有・アパートやマンション全体を所有する形態。
・全体の管理や運営を担当する。・収益性が高く、利回りが比較的高い。
・全室空室になる可能性は低いため、毎月ある程度の賃貸収入を得られる。・運営や管理に関わる責任が大きい。
・空室が発生した場合のリスクが他のタイプより大きい。
実際の物件は、不動産会社のポータルサイトや紙媒体の広告で見つけることができます。直接不動産会社に相談してみることも考えられます。
●不動産会社に問い合わせる
興味を持った物件については、その物件を取り扱う不動産会社に対して問い合わせを行うことが一般的です。不動産会社は、市場動向や物件の詳細情報、取引手続きなどに精通しており、専門知識を有しています。
そのため、物件の購入にあたっては、不動産会社のアドバイスや提案が非常に有益です。
不動産取引においては、信頼できる不動産会社との良好なコミュニケーションが成功の鍵となります。物件に関する要件や希望条件、予算などをしっかりと伝えることで、自身のニーズに最適な物件を見つけることができます。
●ローンを契約する
不動産投資ローンを契約する際には、主に不動産会社からの紹介や自身で金融機関を探すことが一般的です。不動産会社からの紹介では、その物件に適したローン商品や金融機関を紹介してもらえる場合があります。
一方で、自分で金融機関を探す場合は、比較検討を行って自身に最適な条件のローンを選択することが重要です。
また、融資を受ける際には、クレジットカードの解約や不要な借入の整理を行うことが有益です。使用していないクレジットカードを解約することで、借入限度額が減少し、ローン審査において不要な借入額がないことが好ましいとされます。また、自己資金を多く準備することも重要で、自己資金が多いほど、金融機関からの融資を受けやすくなります。
●火災保険や管理会社との契約をする
ローンの審査が通ったタイミングで、火災保険や管理会社との契約をしましょう。火災保険や管理会社については、不動産会社に相談すると適切な保険商品や提携先を紹介してもらえます。初心者であれば、不動産会社に相談して信頼性の高い保険プランや管理会社を選ぶのも良いでしょう。
諸費用を引き下げたい場合には、保険や管理会社についても自分で契約可能で割安な選択肢を探すことが重要です。特に管理会社については、物件の所在地や規模によって適した会社が異なるため、しっかりと比較検討を行いましょう。
●不動産投資開始
物件の引き渡し後、不動産投資がスタートします。この時点から、賃料収入や物件の価値の変動など、投資に関わる様々な要素が動き始めます。しっかりとした運用計画を持ち、管理会社や専門家のサポートを活用しながら、投資の成果を最大化するための努力を続けましょう。
■年収500万円の方が不動産投資をする際のシミュレーション

ここでは、実際に年収500万円の方が不動産投資を行った場合の収支をシミュレーションしてみましょう。
●基本情報
物件価格や融資額などについては以下の通りです。
- 物件価格:5,000万円
- 融資額:4,500万円
- 自己資金:500万円
●収支
家賃収入や不動産投資にかかる費用は以下の通りです。
- 家賃収入(月額)20万円
- 年間家賃収入:12ヶ月 × 20万円 = 240万円
- 空室率:5%
- 諸経費率:15%(固定資産税、管理費、修繕積立費など)
●ローン返済
ローン返済は、以下の条件で月々の返済額を計算すると、約13.7万円になります。年間の返済額は約165万円です。
- ローン金利:年率1.5%
- 返済期間:35年
●手取りシミュレーション
収支を踏まえて、年間の手取りを計算すると次の通りになります。
- 年間収入:240万円
- 年間支出:240万円 ×(空室率 5% + 諸経費率 15%)+ ローン返済額 165万円 = 213万円
- 年間の手取り:240万円 - 213万円 = 27万円
年収500万円の方が5,000万円の物件を購入して不動産投資を行った場合、年間の手取りは約27万円となります。ただし、実際のシミュレーションではローンの金利や家賃収入、支出などの具体的な数字によって結果は異なりますので、参考程度にしてください。
■【限定eBook 無料プレゼント!】
「賢く納税する人」は、どうやって節約しているのか?
「税金、安くならないかな……」と少しでも考えたことがある方はぜひ読んでみてください。
「税理士が解説!」税金について賢くなろう!サラリーマンのための“賢税”のススメ
(提供:manabu不動産投資)
- コラムに関する注意事項 -
本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。
外部執筆者の方に本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。
本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。