不動産価格は暴落するのか?不動産の2025年問題や暴落すると言われる理由を解説
不動産価格は暴落するのか?不動産の2025年問題や暴落すると言われる理由を解説

近年、2025年に不動産価格が暴落するのではないかと不動産業界で話題になっています。しかし、本当に2025年に不動産価格は暴落するのでしょうか?

本コラムでは、こうした「2025年問題」の概要や価格暴落の可能性や、不動産購入を検討している方が取るべき対策について詳しく解説します。

不動産価格の行方を左右する要因を理解し、適切な判断を下すための指針として、この記事をお役立てください。

■不動産価格は現在上昇中、その理由は?

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(画像:PIXTA)

現在の日本の不動産市場では、特に都市部での価格が上昇しています。この現象は様々な要因が絡み合って生じていますが、なかでも注目すべき3つの主な要因について詳しく解説していきましょう。

  • 円安の影響により海外からの不動産購入が増加したため
  • 建築資材価格や人件費が上昇しているため
  • 低金利が不動産購入の意欲を後押ししているため

●円安の影響により海外からの不動産購入が増加したため

近年の円安傾向は、日本の不動産市場にも大きな影響を与えています。為替レートの変動により、外国通貨の購買力が相対的に高まり、海外投資家にとって日本の不動産がこれまで以上に魅力的な投資先となっています。

また、ヨーロッパやアメリカ、中国などといった各国の不動産市場との比較において利回りの面からも日本の不動産が選ばれやすくなっています。

日本の不動産市場の魅力は、単に価格や利回りだけではありません。政治的安定性、整備された法制度、高品質なインフラ、そして将来性のある技術投資など、多くの要素が海外投資家を引き付けています。特に、都市部の高級物件や収益不動産、さらには観光地の不動産なども注目を集めています。

●建築資材価格や人件費が上昇しているため

建築資材価格や人件費の上昇も、不動産価格が高騰している理由の1つになります。
日本は建築資材の多くを海外から輸入していますが、円安により資材の価格が急激に上昇しています。具体的には、木材や鉄鋼製品、アルミニウム、セメントなど。

様々な資材が影響を受けており、これが建設コスト全体を押し上げる要因となっています。

さらに、建設業界では慢性的な職人不足によって人件費が上昇。少子高齢化や建設業の厳しい労働環境、他業界との競争などが影響し、若い世代の労働力が減少しています。

こうした要因が相まって、建築資材価格と人件費が上昇し、不動産価格の上昇を引き起こしています。これらのコスト増は新築物件だけでなく、既存物件の改修やリノベーションにも影響しており、中古物件の価値も間接的に上昇し不動産市場全体の価格上昇を助長しています。

●低金利が不動産購入の意欲を後押ししているため

低金利により、住宅ローンの月々の返済額が抑えられるため、借り入れ可能な金額が増加しています。これにより、多くの人々がより高額な物件を購入することが可能となり、不動産市場全体の需要が増加しています。

また、低金利により銀行預金や国債などの安全資産の利回りが低下するため、投資家はより高いリターンを求めて不動産投資に目を向けるようになります。これにより、投資目的での不動産購入が増加し、市場全体の需要がさらに押し上げられます。

このように、住宅ローンの組みやすさと投資家の需要が相まって、不動産市場の需要が高まり、結果として不動産価格の上昇につながっています。特に都市部では、供給が限られているため、需要の増加が直接的に価格上昇を引き起こしています。

■2025年問題とは?不動産価格が暴落すると言われる理由

不動産価格は暴落するのか?不動産の2025年問題や暴落すると言われる理由を解説
不動産価格は暴落するのか?不動産の2025年問題や暴落すると言われる理由を解説

(画像:PIXTA)

それでは、なぜ不動産価格が暴落すると言われているのでしょうか。

それには、「2025年問題」を解説する必要があります。

2025年問題とは、第一次ベビーブームに生まれた世代が2025年になると後期高齢者になり、それによって経済全体に大きな影響を及ぼすと言われている問題です。この2025年問題は不動産市場にも影響を与えると考えられており、不動産価格が暴落するといわれる大きな要因となっています。

ここからは、2025年問題によってどのように不動産価格が暴落するか、以下の理由について解説します。

  • 少子高齢化によって需要が低くなるため
  • 地方から都市部に移住する人が増えるため
  • 空き家が増加しており供給数が増えるため

●少子高齢化によって需要が低くなるため

出生率の低下により、新たに住宅を購入する若年層の絶対数が減少しており、新規の住宅需要を直接的に低下させる要因となっています。同時に、高齢者のみの世帯や単身世帯が増加し大家族世帯は減少しているため、大型住宅の需要が低下し、小型住宅やマンションへの需要が上昇しています。

さらに、不動産の相続に伴い相続人は売却を選択するケースが多くなっていることから、市場の需給バランスを崩す一因となっています。高齢化に伴う社会保障費の増大は個人の財政を圧迫し、不動産投資や購入のための資金が減少する可能性もあります。

ただし、需要の変化は緩やかに進行しており、市場がある程度適応する時間があります。また、都市部や人気のある地域では依然として一定の需要が見込まれるため、全体的な市場崩壊には至らないとする考え方が一般的です。

●地方から都市部に移住する人が増えるため

地方から都市部への人口移動は、不動産市場に二極化をもたらしています。若年層の流出に加え高齢者も都市部へ移住する傾向が強まっており、これにより地方の人口減少が加速し、地方における不動産需要が急激に低下しています。

この移住の背景には、充実した医療・介護サービスへのアクセスや、公共交通機関の利便性を求める高齢者のニーズも関係しています。

地方では、これらのサービスや公共交通の維持が困難になりつつあり、この傾向をさらに加速させています。車の運転が困難になる高齢者にとって、公共交通機関が充実している都市部は魅力的です。一方で、都市部、特に利便性の高い地域では、こうした移住者の流入により一定の不動産需要が維持されています。

この人口移動の結果、地方の不動産価格が下落する一方で、都市部の一部地域では需要が維持される可能性があります。そのため、全体としては不動産市場が二極化していくことが考えられます。

●空き家が増加しており供給数が増えるため

高齢化と人口減少に伴い、空き家の数が増加しています。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 」によると、全国の空き家数は約900万戸(2023年時点)に達しており、これは総住宅数の13.8%に相当します。このような空き家の増加は、住宅供給が過剰になることを意味し、不動産価格の下落を引き起こすと考えられています。

しかし、空き家の増加は地域によって差があり、都市部や需要の高い地域では比較的少ない傾向にあります。また、政府や地方自治体による空き家対策も進められており、急激な価格暴落を防ぐ取り組みが行われているため、2025年に急落するとは基本的には考えにくいです。

■不動産価格は暴落するのか?不動産価格が暴落すると考えられるケース

不動産価格は暴落するのか?不動産の2025年問題や暴落すると言われる理由を解説
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現在不動産価格が上昇している中、不動産価格が暴落するとも言われていますが、リーマンショックのような大きな金融危機が起こらない限り、基本的に不動産価格が急落することは考えにくいでしょう。

むしろ円安や利回りなどを背景に海外からの投資需要が維持され、都市部の不動産を中心に引き続き投資が行われる可能性もあります。

ここでは、不動産価格が急落すると考えられる以下の3つのケースを解説します。

  • リーマンショックのような大きな金融危機が起こった場合
  • 日銀が金利を大きく引き上げた場合
  • 不動産取引に規制がかかった場合

●リーマンショックのような大きな金融危機が起こった場合

2008年のリーマンショックは世界的な金融危機を引き起こし、不動産価格に大きな影響を与えました。同様の金融危機が再び発生した場合、不動産市場も大きな打撃を受ける可能性があります。金融機関の貸し渋りや信用収縮が起こると、住宅ローンの供給が減少し、購入需要が低下します。

また、リーマンショック時には、多くの人々が住宅ローンの支払いが困難になり住宅を手放さざるを得ない状況に陥りました。このような状況が再び発生すると、不動産市場に大量の売り物件が出回り、価格が急落する可能性があります。

●日銀が金利を大きく引き上げた場合

2024年7月31日に、日銀は金融政策決定会合において0~0.1%としていた政策金利を0.25%に引き上げる決定をしました。こうした日本銀行(日銀)の金融政策も不動産価格に大きな影響を与えます。日銀が金利を引き上げると、住宅ローンの金利も上昇し、購入コストが増加します。これにより住宅購入者が減少し、価格が下落する可能性があります。特に、現在の低金利環境に依存している不動産市場にとって、金利上昇は大きなリスクとなります。

金利上昇は、住宅ローンを利用している人々にとって返済額の増加を意味するため、住宅購入を計画している人々が購入を躊躇し、市場全体の需要が減少します。結果として、不動産価格が下落することが考えられます。

●不動産取引に規制がかかった場合

政府が不動産取引に対する規制を強化した場合も、価格に影響を与えます。例えば、外国人投資家の購入制限や住宅ローン規制の強化などが考えられます。このような規制が導入されれば、需要が減少し価格が下落する可能性があります。特に、投資目的での不動産購入が減少することで、価格に大きな影響を与えるでしょう。

規制の強化は、投資家の心理にも影響を与えます。投資環境が厳しくなると感じた投資家は、他の市場に投資先を変更する可能性があります。これにより、日本の不動産市場から資金が流出し、価格が下落することが考えられます。

■リスクを軽減するために不動産購入前に行う投資戦略や対策

不動産価格が暴落した際にリスクを最小限に抑えるためにはどうしたら良いのでしょうか。ここではリスクを軽減するための以下の投資戦略や対策を解説します。

  • 人口動態や経済状況、政策の変化などの市場調査を怠らない
  • 無理のない返済計画でリスクに備える
  • 専門家のアドバイスを活用する

●人口動態や経済状況、政策の変化などの市場調査を怠らない

不動産投資を行う際には、常に市場の動向を把握することが重要です。

特に、人口動態や経済状況、政策の変化に注目し、将来的な価格動向を予測するための情報収集を怠らないようにしましょう。

例えば、少子高齢化が進行する中で、どの地域で住宅需要が減少し、どの地域で増加するのかを見極める必要があります。また、政府の政策変更や経済環境の変化が不動産市場に与える影響を予測するために、最新の情報を常に収集しましょう。

●無理のない返済計画でリスクに備える

不動産投資をする際には、キャッシュフローを試算して無理のない返済計画を立てることで、価格暴落時のリスクに備えましょう。

キャッシュフローを試算する場合には、借入予定金利のみで試算をするのではなく金利が上昇した場合も想定しシミュレーションをしておくことで、事前に金利が上昇した場合の返済額への影響を把握しておくことができます。

また、ローンの返済期間を長く設定することで、月々の返済額を抑え毎月の収支を良化することができます。ただし、返済期間が長くなるほど総返済額が増えることに加え、ローン残債が減少する速度も緩やかになる点に注意が必要です。一方で、ローン返済期間を短く設定してしまうと毎月のローン返済額が増加し毎月の収支は悪化してしまいます。自分に合ったライフプランや将来の収入見込みを考慮し、適切な返済期間を設定しましょう。

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