意外と安定収入!パッと見てわかるアパート経営の基礎知識
意外と安定収入!パッと見てわかるアパート経営の基礎知識
アパート経営について メリット:安定的な家賃収入、相続税の節税効果、生命保険の効果、定年後の老後資金
デメリット:空室で家賃収入減、大規模修繕費の発生、売却しづらい、災害で倒壊・損壊の可能性初期費用の目安
中古物件の取得費用が数千万~数億円程度
不動産取得税は固定資産税評価額×税率(3%)
印紙税は物件価格1,000万円超~5,000万円:1万円
登記費用は土地の売買で税率2%、建物の売買:税率2%
仲介手数料:(物件価格が400万以上の場合)物件価格×3%+6万円(+消費税10%)
ローンの諸経費:物件価格の5~10%程度
など想定される収入:
家賃
管理費・共益費が家賃の5~10%程度
礼金が家賃の1~2ヵ月分程度
更新料が家賃の1~2ヵ月分程度(2年おきの更新が多い)
など


本コラムでは、「アパート経営を始めてみたい」と考えている人に向けて、アパート経営のメリット・デメリット、基礎知識、初期費用の目安、想定される収入などについて解説する。

■アパート経営とは?

アパート経営とは、不動産投資の一種で、所有するアパートの部屋を賃貸し、その入居者から家賃等をもらう不動産事業だ。

株式や投資信託への投資と同じく、アパート経営も資産運用(資産形成)の選択肢の1つに挙げられることが多い。しかし、物件を建設・購入したあとも継続的なメンテナンスやマーケティング、キャッシュフローを念頭に置いた資金計画などが必要で、「経営」という言葉が付いているように、「事業」としての要素が強い。

アパート経営する方法には、主に3つの方法がある。

・もともと所有している土地にアパートを建設して経営する方法(新築)
・新たに購入した土地にアパートを建設して経営する方法(新築)
・すでに建設されているアパートを土地ごと購入して経営する方法(中古)

アパート経営を開始するために必要な資格はないため、必要資金の有無を除けば、原則として誰でも事業を開始することができる。

●マンション経営・株式投資との違い

・マンション経営(一棟マンション)との違い

アパート経営
(木造・2階建以下)マンション経営
(RC造・3階建以上)物件価格物件価格を抑えやすい物件価格が高い建築コスト安い高い

同じ不動産投資でもアパート経営は物件価格を抑えやすい。なぜならアパートは、マンションと比べて階数が少ないからだ。また1平方メートルあたりの単価で比べると、アパート(木造)はマンション(RC造)よりも建築コストが安い。

・株式投資との違い

アパート経営株式投資価格変動少ない頻繁収益安定しやすい変動幅が大きい融資受けられる受けられない運用外部に委託できる自身で運用

アパート経営は、価格変動が少ないのが特徴だ。株価は、頻繁に上下動するのに対し家賃収入および不動産価格は値動きが少ない。またアパート経営は、融資を受けられるのも特徴の一つだ。株式投資の場合、投資のための資金を金融機関が融資してくれることはない。

また株式投資は、マーケット動向をこまめにチェックし続けなければならないが、アパート経営は管理のうえでかかる手間を外部委託することも可能だ。

■アパート経営の4つのメリット

アパート経営の主なメリット1.安定的に家賃収入を得られる2.相続税の節税効果が期待できる3.生命保険の効果がある4.定年後の老後資金になる

●安定的に家賃収入を得られる

アパート経営では、空室や家賃滞納が発生しない限り毎月決まった家賃収入を得られる点がメリットだ。安定性がある資産運用のため、老後資金づくりやビジネスパーソンの副業などとして人気がある。

特にアパート経営は、所有する部屋数が多いため、その一部で空室が発生しても家賃収入が途切れる可能性は少ない。仮に10部屋を所有していて、そのうち1室が空室になっても空室率は10%である。なお日本賃貸住宅管理協会によると、全国の入居率は下表のように発表されている。

<2021年度の入居率>

入居率全国96.2%首都圏97.8%関西圏95.9%その他92.7%出典:(公財)日本賃貸住宅管理協会「第26回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

●相続税の節税効果が期待できる

富裕層にとってのアパート経営のメリットは、相続税の節税効果が期待できることだ。相続税は、財産の評価額によって税率が決まってくるが、財産を現金よりも不動産で所有していたほうが評価額は低くなる。その目安は、次の通りだ。

  • 土地:購入額の8割程度
  • 建物:購入額の6~7割程度

加えて、相続発生時に所有するアパートを入居者へ貸していれば評価額が下がる。さらに一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」に該当する可能性があるため、土地評価額が50%(200㎡の部分まで)となる。

下図は、固定資産税評価額8,000万円の物件を相続したケースの相続税額をシミュレーションしたものだ。

なお、現金8,000万円を相続したケースでは、子どもへの相続税額が235万円となる(配偶者は0円)。

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●生命保険の効果がある

アパートを購入時に不動産投資ローン(アパートローン)を利用する場合は、団信(団体信用生命保険)への加入が融資条件になっているのが一般的だ。団信の加入により、生命保険と似たような効果が得られることもアパート経営のメリットである。

<団体信用生命保険の仕組み>

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団信の仕組みは、保険契約者が亡くなったり重度の障害などを抱えたりした場合、ローン残債を保険金で相殺できるというものだ。遺族には、ローン残債がないアパートが相続されるため、家賃収入や売却益で生活を支えることが期待できる。ただ、物件が築古などから売却先が見つからないといったケースもある。

●定年後の老後資金になる

現役時代にアパート経営を始めて定年までに不動産投資ローンを完済できれば、「家賃収入が老後資金になる」というメリットもある。近年、公的年金は実質的に支給額が下がったり、受給開始年齢が上がったりする懸念もあるが、家賃収入があることで不安を和らげることができるだろう。

これを実現するには、アパートの経営計画と返済計画を綿密に立てたうえで物件や借入額を検討することが重要だ。なおアパートを保有し続けるだけでなく「売却することで老後資金を作る」という考え方もできる。ただし、経年劣化などで資産価値が低下し、売却したいときにできないといったことがないよう定期的な修繕はしっかり行っておくのが賢明だ。

■アパート経営の4つのデメリット(リスク)と対応策

アパート経営の主なデメリット(リスク)1.空室で家賃収入が減るリスクがある2.大規模修繕費が必要になる3.区分マンションに比べて売却しづらい4.災害で建物が倒壊・損壊する可能性がある

●空室で家賃収入が減るリスクがある

アパート経営の「安定的に家賃収入を得られる」というメリットは、あくまでも想定していた家賃収入が得られた場合の話だ。

例えば、空室率が想定を超えてしまえば安定経営は難しくなる。

・対応策
安定経営を実現するには、物件購入時に以下のような効果的な対策を行うことが重要である。

・賃貸需要が高いエリアを選ぶ
・借り手が大勢いる市場(都市部の単身者など)を狙う
・入居者募集に強い不動産会社を選ぶ など

●大規模修繕費が必要になる

アパート経営では、物件の美観や性能を維持するために大規模修繕が10~15年程度の頻度で必要になる。アパートなどの一棟物件は経営規模が大きい分、修繕費もまとまった金額になり、その負担が重くなる点はデメリットだ。

・対応策
家賃収入によるキャッシュフローの一部を計画的に修繕費として積み立てていくことが不可欠である。また中古アパートを経営する場合は、これまでの修繕状況を把握し、「いつどれくらいの修繕費が必要か」を見積もったうえで購入することが大切だ。

●区分マンションに比べて売却しづらい

アパートは、区分マンションと比べると物件価格が高い。必然的に買い手が少ない傾向があるため、売却しづらいというデメリットがある(ただし規模・立地・築年数によってはアパートのほうが安いこともある)。

・対応策
適正な価格設定をしたうえで売却期間に余裕を持たせることだ。あわせて、どれくらいの売却益が出たら売るのか、出口戦略を具体的に立てておくと売却時期を判断しやすい。

●災害で建物が倒壊・損壊する可能性がある

アパート経営の家賃収入の大もとになるのは、建物だ。地震・台風・土砂崩れなどで建物が倒壊・損壊してしまえば家賃収入が得られなくなるというデメリットもある。

・対応策
事前にできる対応策は次の通りだ。ただし火災保険は、単に加入すればよいわけではない。「必要な補償が含まれているか(水災なども含む)」を精査したうえで加入しよう。

・火災/地震保険に加入する
・ハザードマップなどを確認して危険なエリアの物件は買わない

■アパート経営に必要な初期費用

アパート経営を始めるとき「初期費用がいくらかかるか」は、ケースバイケースだ。「物件が新築か中古か」「アパートローンを利用するか」などで初期費用は変わってくる。

ここでは、中古アパートで経営を始めるときに必要な初期費用の目安を確認してみよう。主な項目と費用の目安は、次の通りだ。

項目費用の目安アパートの取得費用【例】
荒川区コンパクトな2階建:4,000万~5,000万円程度
豊島区広めの3階建:2億~2億5,000万円程度不動産取得税固定資産税評価額×税率(3%)印紙税【例】
物件価格1,000万円超~5,000万円:1万円(軽減税率適用あり)、2万円(本則税率)
物件価格1億円超~5億円: 6万円(軽減税率適用あり)、10万円(本則税率)
※契約金額が50万以上の場合は、軽減税率が適用されます。(諸条件あり)登記費用土地の売買:税率2%
建物の売買:税率2%アパートローン手数料借入額の1~3%各種保険料保険会社やプラン内容によって変動外注費内容による仲介手数料物件価格が400万以上の場合:物件価格×3%+6万円(+消費税10%)

アパートローンを利用する場合は、上記のほかに頭金も必要になるが目安は「物件価格の20%程度」である。

■どういった収入がいくらくらい入るのか?

アパート経営を始めるにあたって、「どういった収入がどれくらい入るのか」を把握したい人も多いだろう。主な収入は、毎月入ってくる家賃収入だ。

これに加えて、共用部の清掃費用や水道光熱費の名目で徴収される管理費・共益費、さらに礼金・更新料・敷地内の駐車場代なども収入に含まれる。

それぞれの目安は、次の通りだ。

項目収入の目安家賃【例】1室7万円×12室稼働
家賃収入=月に84万円管理費・共益費家賃の5~10%程度礼金家賃の1~2ヵ月分程度更新料家賃の1~2ヵ月分程度
(2年おきの更新が多い)駐車場代【例】1台あたり5,000円~数万円程度

■アパート経営を始めるための事前準備

ここからはアパート経営を始めるためのステップを解説する。なお、必ずしも以下の順番でステップを踏む必要はなく、各ステップの順番が入れ替わったり、同時並行で進んだりすることもある。

●目的を言語化する

まずは、アパート経営を始める目的を言語化しよう。「なぜアパート経営を行うか」という本来の目的を見失わないためだ。

アパート経営は、株式や投資信託への投資と異なり、時間も手間もかかるため、検討しているうちに「そもそもなぜアパート経営するのだっけ?」と本来の目的を忘れがちになる。目的をしっかりと言語化し、腹落ちさせることで、本来の目的を見失わず、モチベーションを維持することができる。

アパート経営を始める目的は人によってさまざまだが、一般的には以下のような理由が想定される。

・実物資産への資産分散
・インフレ(物価上昇)リスクのヘッジ
・安定したインカムゲイン(定期収入)の獲得
・本業以外の収入源の構築
・本業をリタイアしたあとの収入源の構築
・レバレッジ効果(借入による資金効率上昇)を活用した効率的な投資
・タックスコントロール(相続税、所得税など)

●知識をインプットする

次に、書籍やネット記事を読んで知識をインプットしよう。アパート経営に関する書籍は数多く出版されており、また無料のネット記事も多い。アパート経営に関する基本的な知識は、これらで十分に取得できるだろう。

知識をインプットすることで、それ以降の行動の効率性も上がる。

アパート経営は決して小さな額の買い物ではないため、このステップにはある程度の時間をかけたい。

なお、知識のインプットは不動産投資を始めてからも継続して行うようにしよう。

●セミナーやコミュニティに参加してみる

ある程度の知識をインプットできたら、セミナーに参加してみよう。アパート経営セミナーには、不動産会社(不動産業者)が主催しているセミナーや、非不動産会社(現役投資家やファイナンシャル・プランナーなど)が主催しているセミナーなどがあるので、主催者を確認したうえで参加しよう。

一般的に、不動産会社が主催する場合は、その不動産会社が紹介したい物件への誘導になっていることが多い。現役投資家やファイナンシャル・プランナーなどが主催するセミナーのほうが、相対的には中立的な内容になっていることが多いが、そのような主催者はセミナー参加者を不動産会社に紹介し、紹介料(成約料)をもらうことが目的のケースもある。

セミナーを開くということは、主催者側に何かしらのビジネスの意図があるということが多い。耳心地がよい話ばかりではなく、リスクやデメリットに関してもしっかりと確認しよう。

セミナーのあとに個別相談会が開かれて、営業担当者と1対1で会話できる場合もある。こちらも貴重な情報収集の場になるので、有効活用しよう。

アパート経営に関するコミュニティに参加してみることも有益だ。同じくアパート経営を志す人や、すでにアパート経営をしている人と知り合うことで、モチベーションを維持できたり、視座を高めたりすることができる。

特にアパート経営初心者の場合、高額な融資を受けることに及び腰になりがちだ。そこで、そのようなコミュニティにて、すでにアパート経営をしている人と触れ合うことで、「なんだ、自分にもできそうだな」と高額な融資を受けることに対する恐怖心を取り除くことができる。

もちろん、コミュニティ内の人がアパート経営で成功しているからといって、自分も成功する保証はないが、不動産会社の担当者とはまた違う情報やマインドセットを得ることができるだろう。

●ターゲットを明確にする

アパート経営を始める際に考えておきたいのが「ターゲットを明確にする」ことだ。これにより、安定経営がしやすくなる。例えば、近隣に複数の大学キャンパスがあるエリアでのアパート経営を考えるならターゲットを大学生に設定すると有利だ。建設または購入するアパートは、大学生に好まれるワンルームがよいだろう。

また、近隣に大きな病院や役所などが集まるエリアでアパート経営を始めたいならターゲットを職員に設定するのが得策だ。ファミリー層に好まれる2LDK~4LDKの物件を建設や購入すると賃貸ニーズを捉えて安定経営がしやすくなる。

●物件を探して問い合わせする

書籍、ネット記事、セミナー、コミュニティなどで知識をインプットしたり、マインドセットしたりしたら、いよいよ物件を探して問い合わせしてみよう。物件を探す方法には大きく分けて、自分で能動的に探す方法と、不動産会社から提案(メルマガなどの媒介物を含む)してもらう方法の2つがある。

前者の場合は、アパートを含めた投資用不動産の物件情報が集まっているウェブサイトがいくつかあるので、そのようなサイトを活用しよう。世の中の全ての物件が載っているわけではないが、そのようなサイトで閲覧し、気になったものがあれば、その物件を取り扱っている不動産会社に問い合わせすることができる。

不動産会社が主催するセミナーに参加した場合、営業担当者から物件を提案されることもあるだろう。これは後者に該当する。自分でサイトから問い合わせた物件が成約に至らず、後日問い合わせた不動産会社の担当者から、別の物件が提案されることもあるだろう。これも後者に該当する。

後者の場合は、有用な物件を提案してもらうために、担当者に「自分は購入意思が高く、購入が可能な属性である」と認識してもらうことが重要だ。一般的に、担当者も多くの購入希望者を抱えている。

また、不動産の特性上、ローンが通らない人はそもそも購入できないので、担当者としては「ローンが通る人」への営業活動が大前提となる。自分の属性やアパート経営の本気度をよく伝えたほうがよいだろう。

●収益シミュレーションしたうえで相場感を養う

問い合わせした物件はシミュレーションにかけてみて、購入に値する物件かどうか見定めよう。アパート経営は、基本的に長期視点で考えることが重要だ。具体的には、以下の事柄をあらかじめ試算するのが理想である。

・想定空室率を加味した家賃収入はいくらなのか
・そこから諸経費を引くといくら残るのか
・問題なく借入返済ができそうなのか
・各種税金を支払ったあとの手残りはどれくらいなのか、
・定期的な修繕をする資金は確保できるのか
・想定売却金額が残債を上回るのはいつくらいなのか など

想定が悲観的すぎてもいけないが、楽観的すぎてもいけない。たくさんの物件を見ていくことで、大体の相場感を養うことができる。自分のなかで合格ラインを決めて、物件を客観的に判断していこう。

また、購入候補の物件はできる限り現地を視察したい。現地視察も繰り返すうちに、確認すべきポイントが分かってくるはずだ。

●金融機関にいくらまで借りることができるか相談してみる

「これぞ」という物件に巡り会えたら、現金一括で購入する場合を除き、金融機関にいくらまで借りることができるか相談してみよう。不動産会社によっては、金融機関を紹介してくれたり、ファイナンスアレンジを支援してくれたりする場合もある。

物件によっては、頭金を何割か入れることが求められる場合もある。金融機関から提示された条件(頭金の有無、頭金の割合、借入金利、借入期間など)をもとに、改めてシミュレーションをかけて、合格ラインを超えているのであれば、正式に購入手続きを進めよう。

■事前に知っておきたい基礎知識

●管理方法について

アパート経営を始める前に知っておきたい基礎知識がいくつかある。例えば、アパートの管理には自主管理、管理委託、サブリース3つの種類があることは押さえておきたい。管理の手間を省きたいなら「委託」または「サブリース」、収益性にこだわるなら「自主管理」を選択しよう。

管理方法概要費用の相場自主管理物件管理をオーナー自身で行う費用なし管理委託物件管理を管理会社に外部委託する家賃の5%程度を管理会社に支払うサブリース管理会社などがオーナーからアパート丸ごと借り上げる(転貸する)満室時の80~90%の賃料がオーナーに支払われる

サブリース契約については家賃収入が保証される反面、一度契約するとオーナーからの解約は容易ではない点に注意が必要だ。そのため、売却をする際サブリース契約を継続した状態で売却をすることになる。この場合、売却時に買い手が見つからないリスクもある。管理方法についても慎重に決める必要がある。

●確定申告について

サラリーマンの場合、基本的には自ら確定申告する必要はあまりない。だがアパート経営を始めると毎年確定申告が必要になるため、経費計上や青色申告などの知識が求められる。

<確定申告が必要なケース>

判断基準概要1 給与以外の課税される所得があるその年に課税される所得がある人は確定申告が必要2 給与以外の所得金額が20万円超アパート経営や副業などの所得総額が20万円超なら確定申告の必要3 給与以外の所得金額が20万円以下でも右記に当てはまる・年収2,000万円超 公的年金などの総支給額が年400万円超 医療費控除、住宅ローン控除などを受ける4 損益通算で節税する不動産所得の計算上生じた損失分を給与所得などから控除することで、所得税が軽減され還付金を受け取れる

給与以外の所得金額が20万円以下で③のケースに当てはまらない場合でも、住民税の申告のために確定申告するのが賢明だろう。

●関連資格について

なお事前に専門的な知識を身につけたいなら、関連する資格を取得するのも1つの方法だ。

資格概要宅地建物取引士不動産取引の重要事項説明を行うファイナンシャル・プランナー家計管理などの相談に応じるお金の専門家賃貸不動産経営管理士賃貸住宅管理に関する知識や技能を持つ専門家簿記検定帳簿作成やキャッシュフローの把握、確定申告などに役立つ資格マンション管理士マンション管理組合の管理者や区分所有者から相談があった場合、助言・指導を行う不動産鑑定士不動産の適正な価値を評価する国家資格税理士確定申告書の作成や税務相談に応じる税金の専門家相続診断士顧客の相続に関する診断を行うホームインスペクター住宅の建物部分の価値を診断する住宅ローンアドバイザー住宅ローンについてアドバイスを行う不動産実務検定不動産運用の実践知識を学べる講座サブリース建物取扱主任者サブリースについてのコンサルティングを行う土地活用プランナー土地活用のプランニングを行う公認不動産コンサルティングマスター不動産の有効活用や投資について、コンサルティングを行う

資格取得は関連する知識が豊富になる一方で、資格取得が目的になってしまうと時間や費用をかけ過ぎてしまうことも。

■アパート経営が儲からないといわれる理由

儲からないと言われる理由対応策人口減少社会が進んでいるから人口が安定しているエリアを選択すれば安定経営をしやすくなる素人にアパート経営は難しいから信頼できる専門家(仲介会社、管理会社、税理士など)に相談する
※最低限の基本知識は学んでおくべき多額のローンを背負うことになるから事前に綿密な返済計画を立てておく

アパート経営を始めたいと考える人を不安にさせる否定意見についても確認したい。アパート経営は儲からないという意見の理由の一つが、「人口減少社会が進んでいるから」である。たしかに対象エリアの人口と空室率には、関連性がある。逆にいえば、人口が安定しているエリアを選択すれば安定経営をしやすくなるということだ。

「素人にアパート経営は難しい」との意見もある。これについては、信頼できる専門家(仲介会社、管理会社、税理士など)によるチームを組成することで不動産の専門知識がなくても安定経営が可能だ。ただしオーナーであればアパート経営に必要な基本知識は得ておきたい。

また「多額のローンを背負うことになるから」との意見もあるが、借入額・金利・返済期間などを適切に設定すれば直接的な失敗原因にはなりにくいだろう。

■アパート経営に役立つ統計データ

アパート経営の成功には、賃貸ニーズのあるエリア選びが欠かせない。ただし賃貸ニーズを数値化した公的なデータはないため、対象エリアの統計データをチェックすることで賃貸ニーズを間接的に把握することも大切である。

●賃貸ニーズにかかわる「人口推計」

将来人口が安定(微減も含む)または増加しているエリアは、アパートを借りたい層が一定以上いると考えられる(下記は東京都の人口推移)。

意外と安定収入!パッと見てわかるアパート経営の基礎知識
意外と安定収入!パッと見てわかるアパート経営の基礎知識

(資料)「『未来の東京』戦略 附属資料」(東京都政策企画局)、「国勢調査」(総務省)、「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)等より作成
(備考)2025年以降の東京都の人口は東京都政策企画局による推計
出典:東京都「未来の東京」戦略 付属資料 「東京の将来人口(令和5年1月)」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

●家賃動向にかかわる「地価公示価格」

地価が上昇しているエリアは、家賃が安定・上昇していたり売却差益を確保しやすかったりする傾向がある(下記は東京都の地価公示価格の推移)。

年度地価公示価格
(平方メートル当たり/住宅地)令和5(2023)年度45万2,100円令和4(2022)年度43万7,700円令和3(2021)年度43万2,000円令和2(2020)年度43万2,300円平成31(2019)年度41万5,200円出典:東京都財務局「地価公示価格(東京都分)」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

●家賃相場にかかわる「平均家賃の推移」

対象エリアの平均家賃の推移を見ることで、長いスパンで対象エリアの家賃が上がっているのか下がっているのかを確認できる(下記は東京都における1ヵ月あたりの平均家賃の推移)。

対象年1ヵ月あたり家賃2016~2018年8万7,000円2011~2015年8万5,069円2001~2010年8万992円1991~2000年7万2,456円※家賃0円を含まない1ヵ月あたり家賃
出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査結果」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

■アパート経営に関するQ&A

●Q.アパートオーナーの平均収入はいくらか?

アパートオーナーを含めた不動産所得者の平均所得金額は500万円台前半から半ばだ。国税庁の調査によると、2019~2021年までの不動産所得者の平均所得金額は次の通りである。ここからローンを組んでいる場合はローンの返済や修繕費用の支払い等が行われるため、すべてが収入となるわけではない。

年平均所得金額2011年511万7,000円2016年512万1,000円2019年520万8,000円2020年540万円2021年542万7,000円出典:国税庁※この先は外部サイトに遷移します。「申告所得税標本調査結果(令和3年分)」より株式会社ZUU作成

●Q.アパート経営は儲かるか?

アパート経営は、短期間で大きな儲けを得る手法ではない。ただ適切な事前準備と対応策を行ったうえでアパート経営をすれば、株式投資を上回るような利回り(例:プライム市場の配当利回り:2%台)を確保して儲けることが可能だ。

●Q.アパート経営何年で元を取れる?

一般的にアパート経営で元を取れる期間は、10年程度が目安といわれる。具体的な期間については、物件価格や利回り、空室率、経費、借入条件などで変わる。少なくとも数十年経営しても元を取れない計画は慎重に考えたほうがよいだろう。

●Q.アパート1棟建てるのにいくらかかる?

建設費用は、床面積や構造などによって変わってくる。国土交通省の「建築着工統計調査(2022年度-34表)」※この先は外部サイトに遷移します。を参考にすると、木造アパート(共同住宅)建築費の1㎡あたりの工事予定額は17万円だ。仮に延べ床面積が250㎡のアパートであれば4,250万円となる。

●Q.1億円の物件の家賃収入はいくら?

年間家賃収入の簡易な計算式は、「物件価格×利回り」となる。仮にアパートの物件価格が1億円、利回りが7%なら家賃収入は700万円(1億円×7%)だ。ここから経費や税金などを差し引くと手残りとなる。

●Q.アパート経営の成功率は?

アパート経営の成功率は、一般的に株式投資の成功率と同程度の1割ほどといわれている。オーナーが基本知識を身につけ、空室リスクの少ないアパートを購入し、信頼できる管理会社に管理を委託すれば、この成功率を高めることも可能だろう。

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(提供:manabu不動産投資)

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