ミネベアミツミは1日、センサーメーカーの芝浦電子に対するTOB(株式公開買い付け)について、買付価格を1株4500円から5500円に引き上げると発表した。これを受け、2日からTOBを始める。

芝浦電子をめぐっては同意なき買収を提案している台湾電子部品大手のヤゲオ(YAGEO)がミネベアミツミ側を上回る1株5400円でのTOBを5月7日から開始する予定となっており、友好的な買収者「ホワイトナイト」の立場にあるミネベアミツミの対応が注目されていた。

ヤゲオは2月初め、芝浦電子の完全子会社化を目的とする買収提案を発表した。芝浦電子の賛同を得たうえで、5月7日からTOBを始めると予告した。

これに対抗する形で、ミネベアミツミが芝浦電子の買収に名乗りを上げたのは4月10日。買付価格は1株4500円で、ヤゲオの4300円を200円上回る金額を提示した。芝浦電子は同日、ミネベアミツミのTOBに賛同する一方、意見表明を留保してきたヤゲオのTOBに反対を表明した。

当初、ミネベアミツミは4月23日からTOBを始める予定を示していたが、これを前にヤゲオが買付価格を1100円引き上げて5400円とした。ミネベアミツミはTOB開始を延期し、買付価格の引き上げに向けた検討を進めていた。

ミネベアミツミによる芝浦電子株の買付期間は5月2日~6月2日の20営業日。買付代金は最大825億円で、全株式の取得を目指す。

当面の焦点となるのは大型連休明け7日からのTOB開始を控えるヤゲオの出方。TOBの成立を期すためには買付価格の再引き上げが不可欠となるからだ。

1日の芝浦電子株の終値は5890円。市場価格はミネベアミツミ、ヤゲオが提示した買付価格を400~500円程度上回る高値圏で推移しているため、両社ともTOB成立が見通しづらい情勢にあり、争奪戦の行方は混とんとしている。

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