2025年上期、最も多くのM&Aを手がけた上場企業は?

上場企業がかかわるM&Aがハイペースで推移中だ。2025年上期のM&Aは660件(適時開示ベース)と前年を8.7%、53件上回り、年間件数も2年連続の最多更新が早くも“当確”となっている。

では、この半年間に最も多くのM&Aを手がけた企業はどこだったのか?

7社に1社がM&Aを手がける

上期の全660件(買い手と売り手の双方が発表したケースは買い手側でカウント)のうち、このうち、1社で複数(2件以上)のM&Aを発表した上場企業は81社(前年85社)で、件数にして190件(同196件)。1件は470社(同411社)だった。

合計すると551社で、前年496社より55社増え、全上場企業の7社に1社がM&Aに取り組んだことになる。

2025年上期、最も多くのM&Aを手がけた上場企業は?
適時開示ベース、2025年は上期(1~6月)時点

GENDが9件、3年連続の年間首位も

件数トップは「GiGO」ブランドのゲームセンター運営を中心にアミューズメント事業を展開するGENDA。9件のM&Aを発表し、いずれも買収案件だった。内容はアミューズメント施設関連7件(うち米国3件)、カラオケ関連1件、展示会・イベント関連1件。

2025年上期、最も多くのM&Aを手がけた上場企業は?
GENDが展開するアミューズメント施設「GiGO」の看板(東京・神楽坂)

GENDAとして最大案件となったのが北米で100店舗を超えるゲームセンターと約2000カ所のミニロケ(スタッフの常駐しないゲームコーナー)を展開するPLAYERS ONEグループの買収。同グループの米国持ち株会社を約260億円で傘下に収めた。

GENDAは下期に入った後も、映画情報サイト「映画.com」の運営会社の買収を発表(7月23日)しており、これを加えれば、今年のM&Aは早くも10件。年間件数でも3年連続でトップを確保する公算が大きくなっている。

同社は「総合エンタメ」企業を旗印に掲げる。2023年7月に東証グロース市場に上場後、年末までの半年間で10件のM&Aを発表し、注目を集めた。

この中には独立系映画配給大手のギャガ(東京都港区)などの買収が含まれ、同年の年間トップの座をソフトウエアテスト事業のSHIFTと分け合った。翌2024年も年間11件のM&Aを手がけ、首位を保った。

2位は“新顔”のユカリアなど3社の5件

2025年上期の2位はオートバックスセブン、日本創発グループ、ユカリアの3社が5件で並んだ。カー用品販売のオートバック、印刷サービスの日本創発は積極なM&Aで知られ、例年、上位に名前を連ねる“常連。オートバックスは前年の年間6件をすでに上回った。

これに対し、病院など医療経営支援を手がけるユカリアは昨年12月に東証グロース市場に上場したばかりの“新顔”だが、不動産コンサルティング会社や介護事業などの買収を矢継ぎ早に手がけた。

同社は東証スタンダード市場への上場子会社(2016年に上場)として、コンタクトレンズ製造・販売のシンシアを持つ。

4件はスマホ向けサービスや不動産賃貸を手がけるTHE WHY HOW DO COMPANY、リース大手の芙蓉総合リースの2社。THE WHY HOW DO COMPANYは前年、年間5件のM&Aに取り組み、4件が売却案件だったが、今年も4件中2件が売却案件で、産業廃棄物処理事業などからの撤退を決めた。

3件はスマートフォン情報サイト運営のAppBank、自動車内外装部品製造のイクヨ、リサイクル大手の大栄環境など8社あった。

◎2025年:上場企業別のM&A件数(適時開示ベース)

件数 社名 9件 GENDA 5件 オートバックスセブン、日本創発グループ、ユカリア 4件 THE WHY HOW DO COMPANY、芙蓉総合リース 3件 AppBank、アジャイルメディア・ネットワーク、イクヨ、エフ・コード、
ジェイドグループ、スペースマーケット、大栄環境、メディカル一光グループ 2件 NTT、アインホールディングス、アマダ、亀田製菓、石油資源開発など67社 1件 470社

文:M&A Online

関連記事はこちら
【2025年上期M&A】7年連続増の660件、豊田自動織機「非公開化」で半期で12兆円超え
2025年の海外M&A、上期として2年連続100件を突破|対米買収は増勢を保つ

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
M&A速報、コラムを日々配信!
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

編集部おすすめ