「マツキヨココカラ」現地企業のM&Aも選択肢に 2031年に海外売上高1000億円へ

ドラッグストア大手のマツキヨココカラ&カンパニー<3088>が、海外事業の拡大手法を広げる。

これまでは現地企業との合弁や現地法人の設立、新規出店を通じて海外店舗網を広げてきたが、今後は合弁やフランチャイズに加え、現地有力企業のM&Aも選択肢とし、国・地域に応じて展開手法を使い分ける方針を明確にした。

同社は海外事業を「次の成長ドライバー」へと進化させる方針で、2031年3月期に海外事業売上高1000億円(2026年3月期の海外エリア41店舗の店舗売上高は188億8000万円)の実現を目指す。

「マツキヨココカラ」現地企業のM&Aも選択肢に 2031年に海外売上高1000億円へ

ASEANで事業基盤を拡大

マツキヨココカラ&カンパニーは2026年9月に発行した「統合報告書2026」で、海外展開の手段として現地有力企業とのM&Aを明記した。

タイや台湾など既進出地域ではドミナント化を進める一方、新規国への進出や多店舗展開では、合弁やフランチャイズ、現地有力企業とのM&Aなど、国・地域の特性に応じた手法を活用する。

2031年3月期を最終年度とする6年間の中期経営計画では、海外事業の具体策として「既存国における自社出店の拡大」を掲げており、現地有力企業のM&Aは進出手段として明記していなかった。

国内のドラッグストア市場は足元で拡大が続いており、経済産業省によると2025年の販売額は前年度比5.5%増の9兆4129億円だった。

一方、国内では人口減少が進み、ドラッグストア大手同士の経営統合など業界再編も加速している。

2025年12月にはツルハホールディングスとウエルシアホールディングスが経営統合し、ウエルシアホールディングスはツルハホールディングスの完全子会社となった。

マツキヨココカラ&カンパニーも、2021年にマツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合し、現在の体制となった。

マツキヨココカラ&カンパニーでは、大手による寡占が進んだことで、今後は規模の追求から独自の付加価値創出が競争優位を左右する局面に移ったとの認識を持つ。

一方、海外では重点地域とするASEAN(東南アジア諸国連合)で今後も年4~5%の堅調な経済成長が見込まれ、中間層の拡大に伴って消費市場も成長するとみている。

こうした情勢を踏まえ、国内市場の成長を取り込みながら、ASEANでの事業基盤の拡大を加速し、中長期の成長につなげることにした。

このため、店舗網の拡大に加えてITシステムや物流などの基盤にも経営資源を重点的に投じるほか、現地有力企業のM&Aも選択肢に加え、海外事業を「次の成長ドライバー」へと進化させる。

新規国進出と多店舗展開を加速

2026年3月末の海外店舗は100店舗で、内訳はタイ37店舗、台湾23店舗、ベトナム20店舗、香港18店舗、グアム1店舗、マレーシア1店舗となっている。

「マツキヨココカラ」現地企業のM&Aも選択肢に 2031年に海外売上高1000億円へ

有価証券報告書の地区別売上状況では、「海外エリア」41店舗の2026年3月期の店舗売上高を188億8000万円と開示している。

これまでの海外展開では、タイ、台湾、ベトナムで現地企業との合弁を活用して進出し、新規出店を重ねて店舗網を広げてきた。

タイでは2015年に現地のセントラルフードリテールと合弁会社を設立し、同年に海外1号店を開業した。

台湾では2018年に臺隆工業と合弁会社を発足した後、2019年に臺隆工業から株式を取得して100%子会社化した。

ベトナムでも2020年にロータス・フード・グループと合弁会社を設立し、同年に1号店を開業した。

香港では2019年に現地法人を設立し、2022年に1号店を開業した。

グアムでは2023年に現地法人を設立し、2024年に1号店を開業。マレーシアでも2025年に現地法人を設立し、同年に1号店を開業した。

こうした合弁や現地法人を通じた展開に加え、今後は現地有力企業のM&Aも選択肢とし、合弁やフランチャイズと使い分けながら新規国への進出と多店舗展開を進める。

国内では買収を重ね事業領域を拡大

同社は国内では2010年以降、ドラッグストアや調剤薬局を中心にM&Aを重ねてきた。

2010年にラブドラッグスを子会社化した後、2012年にはイタヤマ・メディコ、弘陽薬品、ダルマ薬局、モリスリテールに加え、杉浦薬品の子会社化も発表し、2013年には示野薬局を子会社化した。

2024年には化粧品メディア「LIPS」を運営するAppBrew、2026年にはオーガニック化粧品ブランドを展開するジョンマスターホールディングスを子会社化するなど、近年はドラッグストアや調剤薬局以外の周辺領域にも対象を広げている。

一方、2010年以降に適時開示したM&A関連案件を見る限り、海外で現地の既存ドラッグストア企業を買収し、進出や店舗網の拡大につなげた案件は確認できない。

今回、現地有力企業のM&Aを海外展開の手段として明記したことで、既存の店舗網や事業基盤を持つ現地企業を取り込む手法も選択肢に加わった。

同社の2026年3月期の売上高は前年度比5.3%増の1兆1174億4000万円、営業利益は同3.5%増の849億3500万円で、いずれも過去最高となった。

中期経営計画では2031年3月期に、オーガニック成長による売上高1兆3000億円を目指すほか、M&Aや提携による売上高の上積みも見込む。

現地有力企業のM&Aを選択肢に加えたことで、新規出店だけでなく、既存の店舗網や事業基盤を取り込む形での事業拡大も可能となり、海外事業は次の段階に入りそうだ。

「マツキヨココカラ」現地企業のM&Aも選択肢に 2031年に海外売上高1000億円へ
マツキヨココカラ&カンパニー関連の2010年以降の適時開示M&A

文:M&A Online記者 松本亮一

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