
結婚式場を運営するノバレーゼ<9160>が、2023年6月30日にスタンダード市場に上場します。同社は投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(東京都千代田区)によるTOB(株式公開買い付け)で、2016年11月に上場廃止となっていました。
ノバレーゼはコロナ禍で2020年12月期に29億4,700万円の純損失を計上したものの、翌期には黒字化を果たしました。非上場化する前はレストランなど、ウエディング以外の周辺事業を強化していましたが、結婚式場の運営に経営資源を集中して収益性を高めています。
この記事では以下の情報が得られます。
・非上場前する前と現在のノバレーゼの違い
・業績推移
再上場後の2023年12月の売上高は過去最高を見込む
ノバレーゼは2000年11月に設立されたワーカホリックが前身。もともとはレストランなどでの結婚式のプロデュース事業を行っていました。2003年9月に結婚式場「アマンダンテラス」をオープン。ゲストハウス型の結婚式場運営へと軸足を移しました。
2001年6月にテイクアンドギヴ・ニーズ<4331>が代官山に同タイプの結婚式場をオープンしていました。ノバレーゼとテイクアンドギヴ・ニーズは、貸切型の結婚式場を全国に広めるきっかけを作った会社として知られています。
ノバレーゼは2006年10月に株式を上場しました。都市型のゲストハウス「モノリス」を主力ブランドとして運営する他、広島市の旧料亭旅館三瀧荘をフルリニューアルした「三瀧荘」など、歴史的建造物を結婚式場として再生させるプロジェクトも手がけています。
潮目が大きく変化したのが、創業者・浅田剛治氏の引退。
ポラリスはこの買収に200億円程度を投じたと見られています。
ノバレーゼを手放した浅田剛治氏は2017年7月にハイパードライブ(東京都港区)を設立し、結婚式関連のシステム開発やレストラン運営などを行っています。
結婚式場運営会社はコロナ禍という激震に揺さぶられましたが、ノバレーゼは早い段階で立ち直っており、安定的に利益を出しています。
上場廃止前の2016年12月期の純利益率は5.8%でしたが、2022年12月期は9.6%まで上がっています。

2023年12月期は売上高を前期比16.8%増の201億1,400万円、純利益を同12.3%増の18億6,000万円と予想しています。売上高は過去最高で、利益率は前期と同水準をキープする見込みです。
レストラン特化型事業の韓国と中国の現地法人を整理
非上場化される前2015年12月期と再上場直前の2022年12月期の販売実績を比較すると、ブライダル事業の構成比率が高まっていることがわかります。婚礼プロデュース部門の売上構成比率は、2015年12月期が37.4%でしたが、2022年12月期は47.0%でした。10ポイント近く高まっています。
■2015年12月期販売実績

■2022年12月期販売実績

その一方で、レストラン特化型事業は8.0%から3.7%まで下がりました。
ノバレーゼはレストラン特化型事業を行っていた韓国のNOVARESE KOREA INC.を2019年7月に清算。中国の現地法人も2020年6月に売却しています。2015年12月末時点でレストラン特化型事業の店舗は3店舗ありましたが、2022年12月末にはそれがなくなっています。不採算部門を整理したものと考えられます。
その後はゲストハウスの出店を強化していました。2020年7月に「熊本モノリス」、10月に「大分モノリス」、2022年10月に再生施設の「葵庭園」、2023年4月に「アマンダンブルー青島」をオープンしています。
2023年7月にはアコーディア・ゴルフ(東京都品川区)が所有する1万平米の土地を借り受け、「KIRANAH RESORT沖縄 サザンチャペル」をオープンしました。このタイミングで国内のリゾートウエディング事業に本格参入するため、挙式や宿泊をセットにしたプランの販売を開始。100%子会社LURRA(東京都中央区)を設立して旅行業を展開しました。
ノバレーゼは、人口25万人から100万人の78都市への出店を強化し、同業他社の買収、店舗買収、居抜物件の賃貸など、多様な形態を見込むとしています。
今回の再上場においては、公募株はありません。
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