SIの「パワーソリューションズ」プログラマティックM&AでAI搭載SaaSを拡充

システムの企画から運用までを一貫して提供するSI(システムインテグレーション)事業を手がけるパワーソリューションズ<4450>は、2027年12月期までの今後3年でIT企業2社のM&Aを行う方針だ。

中小規模の企業を継続的に買収するプログラマティックM&A戦略に沿った取り組みで、今後のM&Aによって人材獲得とAI(人工知能)を搭載したSaaS(必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるソフトウエア)事業の拡充を目指す。

同社はこれまでにシステムエンジニアリングサービスや、事務作業を自動化するRPA導入支援、DX(デジタルトランスフォーメーション)化支援などに関わるIT企業3社を傘下に収めており、今後のM&Aについては、同様分野のSaaS関連企業が候補になりそうだ。

リスキリングでDX人材にシフト

パワーソリューションズは、大手IT企業から提供される汎用的な業務パッケージなどでは、あと一歩、足りないと感じる「ラストワンマイル」の解決が強みの中堅ソフトウエア開発会社。

金融機関向けの業務コンサルティングやシステムの受託開発、運用保守をはじめ、クラウドサービスやRPA関連サービスなどを提供している。

M&Aについては、2021年に同社初となる、クラウド基盤構築や運用保守などのシステムエンジニアリングサービスを提供するエグゼクションを子会社化した。

過去3年間(2022年12月期~2024年12月期)では、2023年に人事、総務、経理、営業、製造、購買などの業務の改善や自動化につながるRPAの導入を支援するミニコンデジタルワーク(現OLDE)を、2024年にはDX化を支援するコンサルティングを手がけるイノベーティブ・ソリューションズの2社を傘下に収めた。

今後3年間については、過去3年間と同数程度のM&Aの実施を計画。SaaSを取り扱う企業のほか、M&Aで人材を獲得し、リスキリングによってDX人材にシフトさせる。

AIで技術的負債を極小化

DXの国内市場規模は、富士キメラ総研が2024年4月に発表した将来予測によると、2030年度に2022年度比2.3倍の8兆350億円に達する見込み。

この市場の拡大に伴ってIT人材の需要が高まり、経済産業省がまとめた資料ではIT人材は2030年に最大で約79万人が不足すると予測されている。

また現在、ソフトウエア開発では、他の部門では使うことがほとんどない製品を個別に開発しており、安易な解決策を選んだことで手直しにかかる技術的負債が生じているという。

AIによって、データ分析や、自動化、ソースコードの記述を可能な限り減らしたローコード開発、データ統合などを行い、個別に開発したシステムを活用できるようにすることで、技術的負債を極小化し、個別の開発スピードもアップするという。

パワーソリューションズがM&Aを活用して、人材獲得やAIを搭載したSaaS関連の事業を拡充するのは、こうした要因が背景にある。

パワーソリューションズの業績は好調で、2025年12月期は売上高72億9500万円(前年度比8.1%増)、営業利益5億7400万円(同7.7%増)と増収増益を予想する。

オーガニックな成長に加えてM&Aを活用し、2027年12月期には90億円、2030年12月期には150億円の売上高を見込んでいる。

SIの「パワーソリューションズ」プログラマティックM&AでAI搭載SaaSを拡充
パワーソリューションズの沿革と主なM&A

文:M&A Online記者 松本亮一

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