
不動産の賃貸管理、借上社宅管理、海外赴任支援からなるリロケーション事業を主力とするリログループ<8876>が、M&Aを加速する。
今後日本では、人手不足による福利厚生のアウトソーシング需要の拡大や、後継者不足に伴う賃貸管理、観光での事業承継ニーズの増大などが進行すると分析しており、この課題解決の手段の一つとしてM&Aを活用することにした。
同社では「日本の大転換に必要な課題解決カンパニーになる」としている。
賃貸管理や観光で事業承継を
リログループは、賃貸不動産の管理や仲介などを手がける賃貸管理事業や、会員企業の従業員にさまざまなコンテンツを提供する福利厚生代行サービスなどの福利厚生事業、ホテル運営事業や別荘のタイムシェア事業を手がける観光事業などを展開している。
M&Aに関しては、これら事業の周辺領域や、ITやDX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)などの技術やノウハウの獲得が可能な案件などを対象にする。
とくに、オーナーに代わって賃貸不動産の管理などを行う賃貸管理事業では、事業承継に関連するM&Aを強化するほか、観光事業でも後継者問題を抱えるホテルや旅館の再生にM&Aの手法を用いる。
さらに、同社が保有するノウハウや顧客層を活用して新たな事業領域へ進出する際にもM&Aを活用する計画だ。
M&Aなどの戦略投資に300億円
同社では中期経営計画を「オリンピック作戦」と称して展開しており、2012年3月期~2015年3月期の「第一次オリンピック作戦」では、M&A件数が12件で、投資額は56億円だった。
これが「第二次オリンピック作戦」(2016年3月期~2019年3月期)では21件、108億円、「第三次オリンピック作戦」(2020年3月期~2025年3月期)では20件、223億円と徐々に拡大している。
現「第四次オリンピック作戦」では、2026年3月期から2029年3月期までの4年間にM&Aなどの戦略投資に300億円を投じるとしている。
すでに2025年4月に詳細は非公表だが、キャン・ドゥ山手の子会社化に踏み切っており、件数は第三次オリンピック作戦の20件を上回ることが予想される。
また、新規事業に関しては、事業部門の枠を超えた連携などを通じて開発に取り組む。
海外赴任支援事業と福利厚生事業の連携では、中小企業向け出張手配・精算BPO(外部委託)サービスなどが、賃貸管理事業と福利厚生事業では、不動産業者BPOサービスなどが見込めるとしており、こうした取り組みの中でM&Aの出番もありそうだ。

安定した収益を生むストックビジネスに強み
リログループは賃貸管理、借上社宅管理、海外赴任支援、福利厚生、観光といった多様な事業を展開することで、安定した収益を生むストックビジネスを構築しているのが強み。
2025年3月期は、賃貸管理事業で管理戸数が前年度を上回ったほか借上社宅管理事業でも管理戸数が前年度を上回り、ストック基盤が拡大。
さらに福利厚生代行サービスの会員数が増え、ホテルの稼働率が好調に推移したことなどから、売上高は1429億800万円(前年度比7.8%増)、営業利益304億3700万円(同10.2%増)の増収営業増益となった。
今後M&Aを加速させるなどの取り組みを展開し、2029年3月期には売上高2000億円(2025年3月期比39.9%増)、営業利益500億円(同64.2%増)を目指す。
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文:M&A Online記者 松本亮一
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