米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるペガサス・テック・ベンチャーズ(日本法人は東京都品川区)が主催するピッチコンテスト(事業計画の短いプレゼンテーション)「スタートアップワールドカップ2025」の九州予選が、2025年5月23日に熊本城ホール(熊本市)で開催され、トイメディカル(熊本市)が優勝した。
食を楽しんでほしいとの思いで事業を継続
トイメディカルは食事に含まれる塩分の吸収を抑える塩分オフセット技術を活用し、味を変えずに塩分吸収を抑制する技術を持つ企業。
同社の竹下英徳代表取締役は「この事業は友人が人工透析になり、ラーメンが食べられない、何とかしてほしいというところから始まった。
同社は2025年7月18日に開催される「スタートアップワールドカップ2025の東京予選と、2025年8月22日に開催される同東北予選の優勝企業とともに、2025年10月17日に米国サンフランシスコで開催される、優勝投資賞金100万ドル(約1億4000万円)が贈られる世界決勝大会に出場する。
同決勝大会には世界130ほどの国と地域の予選を勝ち抜いたスタートアップが参加する予定で、500人の投資家、1000社のスタートアップを含むおよそ3000人の参加が見込まれている。
2位にJCCL(福岡市)、3位にPuREC(島根県出雲市)
九州予選は昨年に続く2回目で、100社を超える応募の中から書類審査で絞り込まれた10社が登壇。会場とオンライン合わせておよそ2000人が熱のこもったピッチを見守った。
トイメディカルに次ぐ2位には、省エネ型のCO₂吸収材料、CO₂回収モジュール、CO₂回収装置の開発を手がけるJCCL(福岡市)が、3位にはヒト骨髄液由来の超高純度間葉系幹細胞「REC」を活用し、低ホスファターゼ症や脊柱管狭窄症など骨、軟骨形成不全の細胞治療法を開発しているPuREC(島根県出雲市)が選ばれた。
堀江貴文氏は「もう学校なんか行っている場合じゃない」
ピッチコンテスとの前に、SNS media&consultingファウンダーの堀江貴文氏が、開催地の熊本市の大西一史市長と対談。
この中で堀江氏は「50代になると体力がなくなり、体力がなくなるとやる気がなくなり、スタートアップなんかできなくなる。体力がない人でも10代、20代はがんばれるので、スタートアップをやるのだったら10代、20代が最適。もう学校なんか行っている場合じゃない。僕もできることなら戻りたい」と若者に向けて起業を促す言葉を投げかけた。
田村淳氏は「リジェクション(拒絶)した方がいい」
また、結果発表の前には、お笑いタレントの田村淳氏が主催者のペガサス・テック・ベンチャーズ創業者でCEO(最高経営責任者)のアニス・ウッザマン氏と対談。
田村氏は、ピッチコンテストについて「サービスの良さを伝えるのも重要だと思うが、なぜ自分はこんなことをやりたいのかという夢を1番強く語らないと、投資家やサービスを受ける人に刺さらない」とアドバイス。
そのうえで「日本は行動を起こそうとしている人を止めてくる人が多い。そういう人は思い切ってリジェクション(拒絶)した方がいい。僕はリジェクションと書いたキャップを作ったぐらい。この人は自分の人生には関係ない人だと思って、より自分の道を照らしてくれる人とのつながりに時間を使った方がいい。そうすると次の道を探し始めるので、退路を断つみたいな感じになる」と結んだ。
スタートアップワールドカップは、2017年にスタートし今回が7回目。日本予選では全予選応募企業を対象に、特別賞として遊技機やゲームを手がけるセガサミーホールディングス<6460>と、通販のジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)、ベンチャー投資事業を手がけるALHD(東京都品川区)の3社が、それぞれ1社に5000万円ずつを投資する。
文:M&A Online記者 松本亮一
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