
『銀河鉄道999』をはじめとする数々の名作を生み出し、漫画とアニメというふたつのフィールドで独自の世界観を表現し続けた松本零士(1938~2023)。その創作の旅路をたどる没後初の大規模展覧会が、6月20日(金)から9月7日(日)まで、東京・六本木ヒルズ森タワーの東京シティビューで開催される。
松本零士の創作活動は、北九州・小倉で漫画家を志した14 歳の頃の作品『虫の世界探険記』から始まる。夜行汽車で上京し、四畳半の下宿で漫画家としての第一歩を踏み出した当初は少女漫画も手がけていたが、極貧生活の経験から「個性」の大切さを描いた少年漫画『男おいどん』を発表。これが大ヒットし、1970年代には、子ども時代から抱いていたアニメーション制作の夢を『宇宙戦艦大和』によって実現。以後、『宇宙海賊 キャプテンハーロック』や『銀河鉄道999』もアニメ化され、大ブームを巻き起こした。

『虫の世界探険記』未発表 1952年 ©松本零士/零時社
同展は、その松本のデビュー前の作品から代表作の数々まで、300点以上の直筆原画をはじめ、初公開となる貴重な資料を一堂に展示するもの。実際に使用していた道具や書籍、インタビュー映像、思い出の品々も合わせて紹介し、漫画家としての歩みはもちろん、漫画だけに留まらない表現者としての松本の創作の軌跡を追っていく。

『宇宙海賊キャプテンハーロック』「プレイコミック」1977年4月14日号(秋田書店) ©松本零士/零時社
見どころのひとつは、エントランスの演出だ。地上52階に所在し、ビル群や東京タワー、東京湾などの景色を望む東京シティビューの大空間に、『銀河鉄道999』に登場する駅のプラットホームと銀河超特急999号のモニュメントが大型映像と音楽とともに出現。主人公の星野鉄郎とメーテルが旅立ったように、来場者もまた3つのゾーンに分けられた「創作の旅路」へと出発する。
貴重な原画や初期の創作ノート、直筆の絵コンテなどを通じて松本の創造力の源に迫るゾーン1から、生きることの尊さというテーマを一貫してもつ松本の作品が、どのように形づくられていったのかを探るゾーン2へ。そして、ゾーン3では、独創的かつ芸術的な表現力で知られる松本の世界観を堪能できるカラー原画が並ぶ。松本のアーティストとしての技術と力を実感するとともに、70年を超えるその創作活動が伝えるメッセージを読み解く貴重な機会となることだろう。
<開催概要>
『「銀河鉄道999」50周年プロジェクト 松本零士展 創作の旅路』
会期:2025年6月20日(金)~9月7日(日)
会場:東京シティビュー
時間:10:00~21:00(入館は20:00まで)
料金:オンラインチケット一般2,200円、大高1,600円、4歳~中学1,000円、65歳以上1,900円/当日窓口チケット一般2,400円、大高1,700円、4歳~中学生1,100円、65歳以上2,100円 ※日時指定制
公式サイト:
https://leiji-m-exh.jp/