
舞台『反乱のボヤージュ』が2025年5月6日(火・祝)から新橋演舞場で開幕。初日を前にした5日、同劇場で会見とゲネプロ(総通し舞台稽古)が行われた。

『反乱のボヤージュ』初日前会見より 左から)大内リオン、岡本圭人、石黒賢

『反乱のボヤージュ』初日前会見より 左から)鴻上尚史、大内リオン、岡本圭人
本作は、野沢尚による同名小説を原作として、鴻上尚史が脚本・演出を手掛けている。物語の舞台は、首都大学の学生寮「弦巻寮」。大学側は寮の取り壊しをもくろみ、元機動隊の名倉憲太朗(演:石黒賢)を舎監として送り込む。1年生の坂下薫平(演:岡本圭人)は、活動的な3年生の江藤麦太(演:大内リオン)をはじめとする学生たちや、口は悪いが料理の腕は確かな食堂担当の日高菊(演:南沢奈央)らと寮生活を満喫していたが、強行に廃寮を進める学長補佐の宅間玲一(演:益岡徹)からの要請を受けた名倉は、着任早々厳しい統制を始める。学生たちは、薫平の父親問題や寮生のストーカー事件など、自分たちが抱える問題に踏み込んでくる名倉に最初は反抗するが、徐々に打ち解けていき……。

『反乱のボヤージュ』ゲネプロより
主演の石黒賢は舞台経験が多い方ではないが、その理由を「(舞台は)やると面白いんですよ。やると面白いんですけど、すごく怖いです。(芝居をするという意味では)普段とやることは同じなんですが、『ごめんなさい!もう1回やらしてください!』と言うわけにはいかないから」と話す。その上で、「舞台というのは、お客さんが自分の時間をやりくりして劇場に足を運んでくださるものですから、お客さんの誠意に我々俳優は応えなくてはいけない。手前味噌になるかもしれませんが、すごく面白くいい出来になってますし、とても見やすい作品になっていると思います。舞台は敷居が高いなんて思わずに、気軽に劇場までお越しいただけたら」と語っていた。また、石黒とのセリフの応酬が多い岡本圭人については「演劇のことを彼はよく分かっている。

石黒賢


岡本は「本当に素晴らしい作品で、どんな方にも楽しんでいただけますが、個人的には自分と同世代の人や、今の学生たちに見てほしいです。なぜかというと、この作品は、若者たちがどうすればいいのかが分からないまま、どんどん先に進んでいくから。作品を見た後に、必ず何かを感じて、自分も自分の人生を生きようと思ってもらえる作品となっているので、この先どうやって生きていこうかな、ちょっと迷っているなという方にこそ来てほしいです」と作品をPR。同じ事務所に所属する大内リオンについての印象を問われると、岡本は「実際は僕の方が年上で先輩という立場ですが、この舞台の中ではリオンくんが自分よりも先輩役。先輩・後輩が逆転するのは舞台ならではですよね。稽古場で初めて会ったときが初対面だったんですけど、そこからの成長具合がもうライオンのよう(笑)。初日を迎えてからもどういう風になるのか楽しみ」と話す。

岡本圭人

一方の大内は岡本について「僕も先輩と一緒に舞台でお芝居をするのが初めてなので、最初は緊張したんですけど、何回かご飯に連れて行ってくださって!そこで関係性を築き上げれたと思っています」。

大内リオン


益岡徹は「若くて光り輝いてるような若者たちがいっぱい出ている中で私は、みんなが住んでいる寮をぶち壊そうとする悪い役です。でも、すべてを見終わると、とても爽やかな気持ちになる作品。

益岡徹


南沢奈央は「20~30代の年の近いキャストが多く、休憩時間も仲良く話したり、芝居の意見交換をしたりと、和気藹々としていました」と稽古場の雰囲気を語った。

南沢奈央


作・演出の鴻上尚史は「野沢尚さんの傑作小説を、本当に素晴らしいキャストで、十分に手応えのある作品になったと思います。早くお客さんに見せたくてワクワクしております」と切り出した上で、「石黒さんのパブリックイメージは穏やかで優しくてという感じだと思うんですけど、みなさん、今回驚かれると思います。最初に出てきたときからまさに元機動隊員という強さがあって。学生たちを追い出してやると啖呵を切るんですけど、だんだん学生と近づいていく......。実に心温まり、面白く、切なく熱いドラマになっております」と述べた。

鴻上尚史

上演時間は1幕80分、休憩30分、2幕65分(予定)。青春のエネルギーや葛藤を描くだけでなく、世代を超えた対話や理解の重要性、若者の可能性を信じることの大切さが響く作品。石黒の円熟した芝居が光り、膨大なセリフ量を淀みなく話す岡本も頼もしい。東京公演は5月16日(金)まで。大阪公演は6月1日(日)~8日(日)まで、大阪松竹座。


取材・文・撮影:五月女菜穂
<公演情報>
『反乱のボヤージュ』
原作:野沢尚『反乱のボヤージュ』(集英社刊)
脚本・演出:鴻上尚史
【キャスト】
名倉憲太朗:石黒賢
坂下薫平:岡本圭人
江藤麦太:大内リオン
司馬英雄:小日向星一
本多真純:駒井蓮
葛山天:小松準弥
田北奈生子:谷口めぐ
沖田:前田隆太朗
茂庭章吾:財津優太郎
立花:渡辺芳博
神楽:葉山昴
久慈刑事:加藤虎ノ介
日高菊:南沢奈央
宅間玲一:益岡徹
【東京公演】
日程:2025年5月6日(火・休) ~5月16日(金)
会場:新橋演舞場
【大阪公演】
日程:2025年6月1日(日) ~6月8日(日)
会場:大阪松竹座
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2557782(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2557782&afid=P66)
公式サイト:
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202505_enbujo/