
「Re:ERA(リエラ)」と題されたコンセプチュアルなアルバムを引っ提げ、永瀬廉と髙橋海人2人体制初の3大ドームツアーを開催中のKing & Prince。2025年7月10日、東京ドームで『King & Prince LIVE TOUR 24-25 ~Re:ERA~ inDOME』を開催。
アルバムの世界観を感じるステージが開幕
開演を待ち望む55000人の期待に満ちた東京ドーム。星空が散りばめられたようなモニター画面の風景も相まって、白と黄色のペンライトがイルミネーションのようにも見える。18時ちょうどにオープニング映像が始まると、歓声が湧きあがった。
ロケット発射の直前のような映像が流れ、カウントダウンを経て、いよいよロケットが発射される。同時に、2人の顔がモニターに映ると、メインステージに黒地にスパンコールなど装飾が施された、宇宙を感じさせる衣装をまとった2人が登場。会場のボルテージは早くもマックスに。
1曲目はエレクトロな世界観の『LOVE HACKER』。高橋の心地よいラップで始まり、堂々とドームを見据えて立つ2人のオーラは圧巻。レーザーと映像を駆使した演出の中で、力強くも洗練されたダンスを披露した。「東京ドーム! 盛り上がろうぜ!」加工がかかったエレクトロな声のまま髙橋が言うと、歓声が上がる。「さあさあ手を挙げて! 行くよ!」と煽り、続くのはアルバムの表題曲でもある『WOW』。髙橋が描いたアルバムオリジナルキャラクターたちがモニターに映り、ダンサーも登場。
「行くぞー!」と永瀬の掛け声で始まった『moooove!!』では、背景の巨大モニターがカセットコンポに変わり、重厚感のあるサウンドと力強いダンスを見せる。
攻めのダンスナンバーで会場の熱を一気に高めると、高橋が「東京盛り上がってますか! たくさん愛し合う準備できてますか。……Tiara愛してます!」とアピール。永瀬も「永瀬廉です! 盛り上がってますか! 最後までよろしく」と挨拶。ファンは応えるように声援を送った。
『ROLLER COASTER』は左右に分かれそれぞれダンサーを従えて披露し、2人の高音のユニゾンもぴたっとはまっていた。ジャジーな前奏で『I MY ME MINE』へ。サンバのような明るさもあるメロディながら「君の愛、俺の愛 曖昧の愛はなし」と、ドキッとするような歌詞で、改めて楽曲の幅広さに驚かされる。
幕間の映像では2人が宇宙飛行士として登場。宇宙空間で歯ブラシを自撮りする永瀬に「宇宙でも歯ブラシ撮るんだ」と高橋がツッコむ場面も。
新旧織り交ぜたセットリストで魅せる

映像が終わると、白いファージャケットに赤いインナーを着た永瀬と、黄色と黒のブルゾンに白シャツとネクタイを着た高橋が登場。『Odyssey』で後半戦スタート。「外は雷が鳴っていますが雷に負けないように一緒に楽しみましょう!」と、雷をも演出の一部かのようにしながら、『Magic of love』へ。土星モチーフのトロッコに乗って、ドーム内を移動。ファンに手を振りながら「上の方のみんな、置いていかないよ!」「奥の方まで見えてるよ。楽しんで!」と声をかけた。
『one side love』で、再びダンサーが登場。高橋の甘さのある歌声と、永瀬の少し憂いを感じる声が楽曲の爽やかさと絶妙にマッチしている。ポップで可愛い『Life goes on』の前奏が始まると、歓声が。2人が向かい合ってたり背中合わせになったり、指を動かす特徴的な振り付けを見せた。『A little happiness』が流れると再びトロッコへ。会場に手を振り、ピースをする2人。
『HOTTER & HOTTER』ではガラッと雰囲気が変わり、暗転して2人の背景は赤い色に。スモークに包まれながらシックで大人っぽい表情を2人で見せた。高橋のソロ曲『POPSTAR in the KINGDOM』はゴリゴリのダンスナンバーだ。一面黄色いペンライトが広がる。ダンサーを従えセンターで歌い踊る高橋からは王者の風格を感じた。勢いそのままにシティポップ調の楽曲『SPOTLIGHT』は、モニターにレトロなテレビゲーム風の画面が映る遊び心も。アルバムの明確なコンセプトが伝わり、会場が一体感に包まれた。
幕間の映像では、高橋と永瀬が扮する「城之内くん」と「たけやん」がおしゃべり。
歌い終わると、そのまま「城之内」と「たけやん」としてMCを続ける。たけやんが、駄菓子屋で売っている昔懐かしのピーピー笛で“笛占い”を披露して盛り上げた。城之内1人になると、「永瀬くんのいいところや好きなところ言えるよって人いますか。はい、あなた!」と会場のファンに声をかけ、「顔」「スタイル」「ほくろ」などの回答にツッコミを入れながら、「楽しいなこのコーナー」とご満悦だった。
衣装チェンジした高橋が登場し、「ヤッホ。海人です~」とゆるっと話し始めると、ドーム内にも響くくらいの雷の音が。「雷すごいね!キンプリのライブ集中できてない人!」と驚きながらファンに呼びかけると、勢いで手を上げかけるファンに、「帰れ~。一回帰って出直してこいよ~」とニコニコしながら毒舌。永瀬も登場すると、高橋が「雷を演出にしますから。
「2ヶ月空いてドームに帰ってきましたよ」と永瀬が言うと、「新鮮だね、東京ドームに帰ってくるのは」と高橋。「みなさんの歓声がイヤモニ超えても聞こえてきて、でも雷に負けてますからね」と上げて落とす永瀬。すると、高橋が「ビジュいいよ、最近廉の顔好きなんだよね」と伝え、「海人もお変わりなく。よくも悪くもいつも通り」「おい、褒められてないよ!」と息のあった掛け合いで会場を和ませた。
ベストフレンドがサプライズ登場!?

©︎ 2025 Disney
そして、8月6日にリリースされる新曲『What We Got ~奇跡はきみと~』を披露。この曲はミッキー&フレンズとのコラボレーション楽曲で、ステージ中央からミッキーマウスが登場。どよめきと割れんばかりの歓声が響き渡った。
ミッキーとともに花道を進み、ミッキーをセンターに肩に手をおいて歌って踊るKing & Princeの2人。熱量は最高潮に。曲が終わり「僕らのベストフレンド! ミッキーマウス!」と改めて永瀬がミッキーを紹介。「今日は招待してくれてありがとう。みんな楽しんでる?」と挨拶。
ミッキーが去った後、「ミッキーのおかげで盛り上がったよね」と永瀬。「だって、ここに来てくれたんだよ!?」と興奮冷めない高橋。「よかったなあ」と2人がハグをすると、東京ドーム中から叫び声が。ここで、楽曲誕生の舞台裏がディズニープラスで8月1日から公開されること、MVのフルバージョンも見られることも発表された。(※『King & Prince: What We Got ~奇跡はきみと~』ディズニープラスにて8月1日(金)より世界同時独占配信開始)「キンプリのファンで良かったよなあ、みんな」「余韻がすごいな」と永瀬がつぶやくと、「一回帰って寝たいわ」と高橋はニコニコ言って会場を笑わせた。
King & Princeらしさ全開の後半戦
「前半はアルバムの世界観を詰め込みましたけど、後半はキンプリらしさを感じる楽曲を詰め込んだので楽しんでください!」と高橋。バラード『話をしようよ』では、アコースティックギターの音色と共に、ロッキングチェアーに座りながら歌う。心地良いユニゾンを聴かせながら、永瀬の隣に高橋が座ろうとすると永瀬が逃げる展開に。アウトロで高橋が永瀬の膝の上にちょこんと座ると、悲鳴のような歓声が上がるのも無理はない。
さらに、最新アルバムから、緑黄色社会が作詞・作曲・演奏を手がけた『ボーイミーツガール』、永瀬のソロ曲『染み』と続く。Aえ! groupの正門となにわ男子西畑とのコラボ楽曲で、「この曲は大事な人たちと作った曲です」と紹介。永瀬は白いペンライトの光が広がる会場に視線を向けながら高らかに歌い上げた。
ここで、惑星モチーフの巨大なフロートが登場。ピアノのサウンドが流れると、惑星フロートからシックなスーツに身を包んだ2人がせり上がって登場。高橋は赤いスーツ、永瀬は黒いスーツで歌うのは、バラード曲『今君に伝えたいこと』。フロートは12mの高さまで上がり、上の方のお客さんの元まで声や姿を届けようとする2人の気持ちを感じた。感情を込めたしっとりとした歌声に会場は聴き入り、楽曲終わりには拍手も起こった。
ラストスパートの怒涛のメドレーでは、『名もなきエキストラ』や1stアルバム収録曲の『Hello!!ハルイロ』『Love Paradox』では手を振る振りを一緒に踊るファンの姿も見られた。同じく1stアルバムから『Super Duper Crazy』のイントロも大きな歓声だ。アップテンポでキャッチーな楽曲に、会場のボルテージはますます上がった。トロッコで移動しながら『ゴールデンアワー』を歌いあげ、バックステージに到着すると、『koi-wazurai』で、会場の一体感は最高潮に。ここで、赤いチェック模様にチェーンがあしらわれたロングジャケットを2人は羽織り、シックさの中にキュートさ、品も感じる、奇跡のような2人だと改めて感じさせた。
3月にリリースした『HEART』『なにもの』と、シングルカットされた楽曲が続く。再びトロッコでセンターステージへ移動し、『シンデレラガール』を華やかに歌い上げた。間奏後に2人が歌を止めると、会場は大合唱。にっこりほほえみ「最高!」「ありがとう!」とこれまでの軌跡をファンとともに味わった。
ここで終演かと思いきや、ライブ作りの過程の裏側を記録した映像が流れ、2人の名前と「King & Prince」の文字。突然映像がブツっと切れると、メインステージに重厚感ある扉が現れた。ゆっくりと開き『ツキヨミ』のイントロに会場からは歓声が上がった。グッと大人びた表情と激しいダンスは、2人の幅広さと強いエネルギーがこちらに流れ込んでくるようだ。激しい炎や火花と共に、最後まで変化の多いステージ構成で55000人を魅了し、本編は幕を閉じた。
特大気球に乗ってファンに感謝を届ける
アンコールでは、キャラクターで立体的に彩られた特大気球に乗って登場。『I Will...』を披露。会場をあっと驚かせた。「上の方見えてるよ~ありがとう!」とそれぞれ感謝を伝えながら、会場中のファンに手を振った。『恋降る月夜に君想ふ』でさらに上空へ。高さ28mまで浮かび上がり、3階席のファンにも姿を見せた。『Sha-la-laハジけるLove』で会場中に紙吹雪が舞うと、黄色と白のペンライトの色味とも相まって、会場中がきらめいた。最後は『君に届け』でフィナーレ。めいっぱい会場に愛と感謝を届けた。
「最後にみんなで一緒に我々の名前叫んでください」と2人がメインへ。「俺たちが!」「King & Prince!」と会場も答えるとテープが吹き出す。ステージの端から端まで歩きながら、何度言うかわからないくらい、「ありがとう」を名残惜しそうに繰り返した。「みなさん、本当に楽しい時間をありがとうございました」「また遊んでください! バイバイ!」「気をつけて帰ってね!」と爽やかな空気で包んだ。最後は高橋の「またね」で閉幕。
“伝えたい気持ち”を大切にする彼らのスタンスは、飾らない等身大さと磨かれたパフォーマンスが大きな魅力。世界的スターであるミッキーとステージに立つ2人は、歌やダンスだけでなく、「言葉」と「空気」で届ける表現者としての成熟を見せていた。
開演前の取材会もレポート!

開演に先駆けて行われた囲み取材に、永瀬廉と髙橋海人が登場。ライブへの意気込みやお互いの印象について語った。
永瀬は開口一番「今気持ちが高まっていて。海人が『ぶちかまそうぜ』みたいなことを言いたかったんでしょうけど、『ぶちかま散弾銃だな』みたいな、早速意味のわからないことを言われて、もうすでにちょっと疲れてはいるんですけど」と切り出した。髙橋も「まだ始まってないのに疲れさせて申し訳ない」と返し、絶妙な掛け合いを見せた。
今回のツアーへの意気込みについて、永瀬は「ファンの皆様に幸せな時間を作って、今日から始まる3日間、全力で東京ドームをやり切りたい」とコメント。髙橋も「ファンのみんなはもちろん、仕事で一緒に頑張ってやってきてくれた皆さんにここまで大きくなったなって思っていただきたいのと同時に、これからもどんどん大きくなっていくんだろうなって思ってもらえるようなステージを廉と2人で作っていけたら」と決意を語った。
ツアーの演出について髙橋は「アルバムを背負っているライブなので、世界観を強く出したいです。でも、世界観とファンのみんなが求めてくれているアイドル像を共存させたい。それで2部構成にして、前半は『宇宙に2人が行く』っていうアルバムの世界観をギュッと詰め込んで世界観にひたってもらった後は、King & Princeらしい、みんなと楽しめるようなアイドルソングを詰め込んだ演出になっています。1回のライブで2本見たぐらいの満足感は届けられるんじゃないかな」と自信を見せた。
ミッキー&フレンズとのコラボレーションに反響も

新曲『What We Got ~奇跡はきみと~』について永瀬は「普段連絡を取らない人からも連絡が来る。『MVこっそり見せて』って言われたり。まあ、見せるわけないんですけど」と冗談めいて話し、「改めてすごいことに参加させてもらってるんだなっていう気持ちです」と反響の大きさを実感。
ミッキーマウスとチャレンジしたいことを聞かれると、永瀬は「実家に連れていきたい。母親の手料理を食べてもらって、畳の部屋で一緒に川の字で寝たい」と独特な回答。髙橋は「素敵ですね。俺も廉の実家行ったことないのにミッキーに先行かれるのはちょっと悔しい気持ちはあるけど」とこぼしつつ、「僕はなんか割となんか高所が苦手なんですよ。だからバンジージャンプとか、スカイダイビングをミッキーと一緒にやりたくて。ミッキーといれば克服できるんじゃないかなって」と、それぞれのベストフレンド像を語った。
2人体制になってからの変化について永瀬は「本当に海人がMCでよく喋るようになった。5人だとちょっといろんなキャラクターの子たちがいましたから、2人になって話す機会が増えた」と発見を明かすと、髙橋も「変化球担当だったなみたいなところから、ちゃんとキャッチボールはできるようになった」と応じた。
髙橋は永瀬について「改めて性格や得意分野が自分とは真反対だなって思う。自分がちょっと緊張してるときは廉が堂々としてるし、廉がちょっと緊張してるなってときは自分が堂々としてる。King & Princeが、プラマイゼロみたいな」と表現。すると永瀬が「いやいや、どっちがマイナスなん? どっちかマイナスやんそれ」とツッコミ。
髙橋が「あ、確かに。基準が間違えた。100を基準にすると? ん? わかんない!」と慌てる場面も。永瀬が「デコとボコみたいなね」と言い直すと、髙橋も「あ、そう、デコとボコみたいな。だから2人合わさったらウィークポイントがないっていうのも、今のキンプリのいいところなのかな」と2人の絆を語った。
最後に「奇跡」について聞かれると、永瀬はなんと「最近自分で俺髪の毛切ってるんですけど」と切り出し、作業用バサミで前髪を切っているという驚きのエピソードを披露。「こういう形になればいいなぁと思いながら切ると、その形になりますね。僕が起こした奇跡だなって」と真面目な顔で語った。一方、髙橋は「毎日が奇跡だと思ってるんで。このドームのライブをめがけて、二人体制になってからずっと廉と一緒に頑張ってきた。2人になったらやっぱパワーがすごいことになってるっていうのを皆さんに見せたいなって思ってます」と力強く締めくくった。

『King & Prince: What We Got ~奇跡はきみと~』はディズニープラスにて8月1日(金)より世界同時独占配信開始
https://www.universal-music.co.jp/king-and-prince/
取材・文/かたおか由衣