
1972年にサハラ砂漠と出会って以降、世界各地の過酷ともいえる風土と、その土地で深い信仰心を支えに生きる人々を撮り続けてきた写真家・野町和嘉(のまち かずよし)の50年にわたる足跡をたどる大規模展が、7月5日(土)から8月31日(日)まで、東京の世田谷美術館で開催される。
1946年に高知県で生まれた野町は、写真家を志して上京。

野町和嘉《巨大砂丘麓の放牧。アルジェリア》1972年 © Kazuyoshi Nomachi
同展は、その野町の活動の足跡を、「サハラ」「ナイル」「エチオピア」「グレート・リフト・ヴァレー」「メッカとメディナ」「チベット」「アンデス」の7つのテーマのもと、代表作でたどるものだ。アフリカ、ユーラシア、南北アメリカ大陸へと、撮影のフィールドを広げつつ、一貫して人々の信仰と暮らしを追ってきた野町の活動の集大成を見せる展観となる。

野町和嘉《ディンカ族牧畜民。スーダン》1981年 © Kazuyoshi Nomachi
見どころのひとつは、野町の写真を通じ、「もう見ることのできない世界」が見られること。野町がアフリカ大陸奥地まで分け入った1970年代から80年代は、人々の暮らしは穏やかで安全だったというが、のちの政情不安や紛争により、今では入国できない国々も少なくない。また2000年以降のデジタル・テクノロジーの発展や携帯電話の普及により、各地の暮らしは平準化されてきた。
<開催概要>
『野町和嘉―人間の大地』
会期:2025年7月5日(土)~8月31日(日)
会場:世田谷美術館
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜(7月21日、8月11日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)
料金:一般1,400円、65歳以上1,200円、大高800円、中小500円
公式サイト:
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00225