『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』サントリー美術館で パリ装飾美術館の万博出品作などガレの優品110件を公開
エミール・ガレ《蓋付コンポート》 1870年代 ポーラ美術館

2025年2月15日(土)より、サントリー美術館では、『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』を開催する。アール・ヌーヴォーの芸術家として知られるエミール・ガレ(1846-1904)とパリとの関係に焦点を当て、彼の創造性の展開を紹介する展覧会だ。

フランス北東部ロレーヌ地方の古都ナンシーに生まれたエミール・ガレは、ガラス、陶器、家具において独自の表現を確立し、商業的にも大成功をおさめた。そんな彼のブランドを世に知らしめ、国際舞台へと導いたのは、芸術性にあふれ、豊かな顧客が集う首都パリ、とりわけ当時頻繁に行われていたパリ万国博覧会だった。

『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』サントリー美術館で パリ装飾美術館の万博出品作などガレの優品110件を公開

エミール・ガレ 花器《鯉》 1878年 大一美術館

ガレが指揮をとって参加したパリ万博は1878年、1889年、1900年の3回。それぞれの回でガレは輝かしい賞を受賞しているが、真の意味で成功を収めたのは、1889年のパリ万博といえるだろう。この時ガレは、ガラス部門でグランプリ、陶器部門で金賞、3年前に着手したばかりの家具部門で銀賞を獲得し、名実ともに巨匠への道を駆け上っていく。とくに黒色ガラスを使い、悲しみ、生と死、闇などを表現した作品は、物語性や精神性において当時の時代的な嗜好と合致し、高く評価されたのだった。

『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』サントリー美術館で パリ装飾美術館の万博出品作などガレの優品110件を公開

エミール・ガレ 脚付杯《蜻蛉》1903–04年 サントリー美術館

同展では、ガレが参加したそれぞれの万博での出品作品を中心に、ガレの代理店を営んだデグペルス家伝来の資料や、ガレとパリ社交界とのつながりを示す作品など計110件を紹介する。また当時フランス世論を二分した「ドレフュス事件」とガレとの関係にも言及し、成功の裏側で精神的重圧にさいなまれていた彼の、内なる葛藤にも焦点を当てる。



<開催概要>
『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』



会期:2025年2月15日(土)~4月13日(日) ※会期中展示替えあり
会場:サントリー美術館
時間:10:00~18:00、金曜、3月19日(水)、4月12日(土)は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:火曜(4月8日は18:00まで開館)
料金:一般1,700円、大高1,000円
公式サイト:
https://www.suntory.co.jp/sma/

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