
トークショーで登場し、ファンの呼びかけに応える菊地孝平
児島ボートのGⅡモーターボート大賞の最終日の6日、トップレーサー菊地孝平(46)=静岡・82期・A1=のトークショーが場内であり、ボートレース界随一の理論家の一言に、ファン一同がうなる一幕があった。
菊地といえばというわけで、代名詞のスタート(S)に関する話が振られたところから菊地が熱弁。
「以前は勝ちたくてSを行っていたらフライング(F)ばっかり。どうすればFをせずに高精度のSが行けるかを常に考えていたことが、徐々に形になってきているのでは」と自己分析。
ただ、昨年末のグランプリでFを犯し、今年一年はSG出場停止中であることから「まあ、この立場で言えることじゃないですけど」と自らオチまでつける巧みなトークを展開した。
菊地は続けて、「S勘がいい選手は動体視力がいい」という一般論を、「動体視力とは思っていない」とばっさり否定。「それよりも『空間認識能力』」と強調すると、会場からは「ほぉ~」とうなる一言が一斉に漏れ、全員が大いに納得。
国立大(岩手大)出身でもある理論家の菊地はさらに、身ぶり手ぶりを交えて、「何秒前にこの位置に空中線(水面の上部に旗とともに張られたロープ)がこう見えたらFだとかいうのを、いかに見極められるか」と持論の根拠を分かりやすく示した。
その説明を全員が聞き入る様子は、塾か教室か講演会か。水上で先制力に優れた菊地は、陸上での〝先生力〟にも優れていた。

〝仮想の空中線〟を指し示しながら説明する菊地孝平