
ソロ歌手としてCDデビューをした当時から、現在のタレント・YouTubeにいたるまで、常に活躍めざましいミキティこと藤本美貴。2022~2023年にデビュー20周年記念ライブもおこない話題に。後編では夫・庄司智春のことやこれからのことについて語ってもらった。(前後編の後編)
大盛りあがりの20周年ライブ!
――20周年記念で2022年10月、2023年3月と2回もライブをやられましたね。がっつりライブをやられて、どう感じましたか?
やっぱりライブはすごく楽しいな、歌うの好きだなって思います。振り付けをごちゃごちゃ言う人も、「こう歌え」って言う人もいないし(笑)。
「久々の曲歌ったら、お客さん喜んでくれるかな」「この曲とこの曲だったら、どっちがいいかな」とか考えながら曲を決めたり、あとはバンドでのライブだと、オケとは違ったこともできたりするのが、すごく楽しいです。
――20周年のライブは、ゲストも豪華でした。
ゲストは全部私任せです(笑)。とりあえず出てほしい人、みんなにオファーしました。ごっちん(後藤真希)はちょこちょこライブやっていますし、自分もゲストで出たりしたので「ライブやるとき呼ぶわ」と言ってたんです。今は事務所違うけど、声をかけたら本当に出てくれて。安心感もあるし、お互いの信頼もあるし、いまはすごくいい関係性ですね。

――Every Little Thingの伊藤(一郎)さんは意外でした。
伊藤さんは、YouTubeで私が庄司さんと「Time goes by」を歌った動画を見てくださって。ダメ元で聞いてみたら、出てくれるっていうことになって! 本当にありがたかったですね。
【Time goes by】ミキティが14歳の頃オーディションで歌った歌を歌ってみた【Every Little Thing】
――今後またライブがあるとしたら、呼びたい人はいますか?
同期だったしげさん(道重さゆみ)ですかね。彼女もライブ活動してるんで、なかなかタイミングがあわなくて。あとはモーニング娘。の現役か、現役に近い子か、まったく接点がない子も呼びたいですね。
庄司さんとのスクープに…!?

――20周年ライブには、庄司(智治)さんも出られましたね。
去年のライブの2公演目に飛び入りで出てくれたのですが(笑)、今年のライブには、事前にオファーして出てもらいました。「ママタレはいっぱいいるけど、その中で歌える人なんてなかなかいないし、もったいない。歌ったほうがいいよ」と、いつも言ってくれるんです。自分が私の歌う場を奪った…という責任も感じてると思いますけど、「歌える環境があって、歌わせてくれるんだったらやりなよ」と、言ってくれますね。
――庄司さんとのことをスクープされてモーニング娘。を脱退して、結婚したわけですが、その当時、ヲタの人たちも「庄司ならいいか」くらいの感じでしたよね。
なんなんでしょうね。誰だったらだめなんだよって(笑)。謎ですよね。じゃあ逆に私がバッキバキの金持ちと結婚してたら、「金目的だよ」とか言われてたんですかね(笑)。
――当時、モーニング娘。よりも庄司さんを選んだ…ということですよね。
そうですね。「スクープされました。別れるの? 別れないの? どうするんだ」って本当に聞かれたんですよ。「別れるっていう選択肢はないですね。別れません」って答えて(笑)。
改めて庄司さんと別れるのか考えたときに、別れた後のことが想像できなかったんです。結婚して身を固めたいわけじゃなかったんですが、もうこれは1回結婚して、別れるとしたら離婚ですねみたいな(笑)。
――庄司さんのどこに惹かれたんですか。
やっぱり私のことを一番に考えてくれる人は、他にいないっていうところじゃないですかね。あと優しいし、真面目で真っ直ぐ、誠実でストイックというところですかね。
――そういうところが、ファンにも伝わってたんじゃないですか?
そうかもしれないですね。いまでも、真っ直ぐな人です。
いまのライブは「みんな楽しんでって!」
――現在のライブで、アイドル時代と変わったことはありますか?
アイドル時代は「こういう私を見てほしい」とか、「こういう風に見せたい」というのがあったんですけど、今となっては「みんな楽しんでいって」っていうのが一番大きいですね。
ファンのみなさんがなんかもう、ファミリーみたいな感じで。
別に格好つけようなんて思わないし、曲にあわせてしっとりとかカッコよくとかはあるけど、可愛く思われたいとか素敵に思われたいっていうのはもう全然なくて。お客さんと一緒に楽しむっていうこと以外は、極論どうでもいいんですよ。
――今はライブする時、自分はアイドルだと思ってはいない…?
アイドルとは思っていないです。私が歌うだけ。アイドルだとか歌手だとか、思ってないです。歌っている顔とかもまったく気にならない。だからすごく、単純に楽しいです。

――これが、藤本美貴だ、と!
そうですね。いまライブに来てくれるお客さんは、昔から応援してくれている人もいれば、YouTubeとかで知って来てくれる人もいる。その両方が、藤本美貴を受け止めてくれるだろうと勝手に信頼して、私も楽しむっていう形ですね。
「登ってみてから考えろ!」
――ネットニュースにもなってましたが、庄司さんが藤本さんのモーニング娘。卒業コンサートをやってほしいと発言されていましたね。
「矢口真里を呼べ!」と言ってました(笑)。でも本当に卒業コンサートやるなら、矢口さんと一緒に武道館でやりたいです。みんなだいたい、武道館で卒業するじゃないですか(笑)。ガラガラでもいいから武道館でやりたい。誰も来なくてもいいから(笑)。

――ファンは、みんな見に行きたいと思ってますよ。
来てくれますかね。卒業コンサートしたところで、何も変わらないんですけれど(笑)。
――ソロで最初デビューしたときは、20年経って、こんなに芸能活動しているとは思ってなかったのではないですか?
思ってはいなかったですけど、何歳までっていうのも考えたことがないんです。歳をとったらどうしよう、とかも考えないまま、20年もやることができたのは、本当にありがたいです。ファンのみなさんにも、スタッフにも感謝しかないです。しかも脱退とかしながら(笑)。
意外にいろいろと大きな波があった20年でしたが、それでもやってこれた自分も褒めてあげたい。「がんばったな」って。
――自分としては、“がんばった”という感じなんですか。
“がんばった”ですね。いろいろあったけど、“がんばってきてよかった”という感じです。
――20年の間に、折れそうになったことはないんですか。
私は全然心が折れることがないんですよ。壁が高ければ高いほど、登らない選択肢はない。それは多分、芸能活動をやっていなくても、そうだったんじゃないかな? 壁があれば越えるだけ。
――そういう性格は、どこで培われたんですかね?
元々だと思うんですよね。基本的に、反骨心で生きているので。だからあまり平和すぎるのもよくないなって思います。今はこの平和な毎日に感謝しながら、あの大変だった頃を思い出してがんばる毎日です。
――そういう性格だからこそ、YouTubeでの悩み相談が支持されているんですかね。
みなさんが壁を越える応援をしたいという気持ちはありますね。「絶対越えられるから登れよ!」って応援したいんです。越えた時に絶対笑えるから、まず登ってみろよ。イヤでも登る前にやめるな、登ってみてから考えろと言いたい。
――出ました! 「登ってみてから考えろ!」。ミキティ名言です!
私はやらないで後悔するのは、ないですね。やってみて合わなかったらやめたらいい。悩んでも前に進むだけ。まあ、私は悩まないですけど(笑)。
これから先の藤本美貴は?
――20年やってこれたというのがよくわかりました! この先、藤本さんがやりたいことはありますか?
ライブを5年に1回じゃなくて、もうちょっと短いペースでやりたいですね。いまはまだ子どもが小さいので、子どもが無事で、家族が笑顔であるのをしばらくは優先して、自分なりに楽しんで仕事をする感じですね。
子どもが大きくなった時、やりたいことがあったらやろうかな? モチベーションのひとつとして“文句を言えるようにがんばる”っていうのがありますね。文句言った時に「お前が言うな」って言われないために、普段からがんばる(笑)。文句を言いたいわけじゃないけど、いつでも言いたいことを言える環境を整えておく。

――また名言出ました、「文句を言えるようにがんばる」。その心構えは、社会人でも学生でも、役立ちますね。
「藤本が言うならしょうがないよね」が、通用するようにしておけば、「これやりたい」と言えば、事務所がやらせてくれます(笑)。芸能生活21年目からも、この精神で、変わらずにがんばっていきたいですね!
取材・文/岩岡としえ 撮影/キンマサタカ