「私たちも窮屈」なんでもハラスメント化時代に若者の本音「あまりに騒ぎすぎることは将来の自分たちを苦しめる」と語るワケ
「私たちも窮屈」なんでもハラスメント化時代に若者の本音「あまりに騒ぎすぎることは将来の自分たちを苦しめる」と語るワケ

「夢ハラ」「WILLハラ」「ジタハラ」――次々と生み出される新種のハラスメント。ハラスメントに過敏な世の中へと変化した今、「なんでもハラスメント化」に疑問を呈するZ世代もいる。

「夢ハラ」「WILLハラ」「ジタハラ」などZ世代の若者の間で認知されているさまざまな新種のハラスメント。

#1では「引継ぎハラスメント」などさまざまな新種ハラスメントを紹介したが、Z世代の社会人であるカナさん(仮名・24)とユカリさん(仮名・25)は昨今の「なんでもハラスメント化」時代についてどう考えているのか聞いてみた。

ハラスメントに過敏すぎると、自分たちの首を絞めることになるんじゃないか

カナ 正直ハラスメントに過敏すぎる節はあると思う。例えば「夢ハラ」とか「WILLハラ」とか言われているけれど、それって上司が接点の少ない私たちの世代となんとかコミュニケーションしようと話を振ってくれているんじゃないかとも思うし。

ユカリ なんでもハラスメントにしてたら会話のネタがなくなるよね。

カナ あと、些細なことをハラスメントって主張し続けていると、本当に深刻なハラスメントに遭ったときに、真剣に取り扱ってもらえなくなるリスクもありそうだなって。

なんでもハラスメント化するモンスター社員がいたら、周りの人も距離置くだろうし、仕事もしづらくなるよね。

そういうイタくて、嫌われるような社会人にはなりたくないかな。

ユカリ たしかに。嫌なことされたからすぐにハラスメントとして認知するんじゃなくて、なぜ相手がその行為や言動をしたのか意図をくみ取ることは大事かも。

私もなんでもハラスメント化する現状は少し窮屈に感じる。自分が後輩とどう仲よくなったらいいか模索するなかで、例えば「ランチに一緒に行こう」って誘うことすらハラスメントになっちゃうのかなって考えちゃうし。そうなると何にもできなくなっちゃう。

ハラスメントになるかならないかは上司と部下の関係性が重要

――では、今後Z世代が部下たちを指導する立場になった際に、どういったことに気を付けようと考えていますか。

ユカリ まずは後輩や部下の人となりを観察して、様子を見てみる。自分が上司の立場ならそうするかな。その人の仕事のやり方とかコミュニケーションの取り方を学んでから、信頼関係を深めれば、おたがい仕事もやりやすくなるんじゃないかな。

カナ やっぱり世代が違うと信頼を深めることにも一苦労するだろうなっていうのは想像がつくね。私も仕事場では上司・部下の関係なく、いかに信頼関係を築いていけるのかは大事なことだと思うな。

信頼関係があれば業務に対して、上司も部下も正直に意見をぶつけ合うことができるだろうし。

私は自分の上司と仕事のことでバチバチにぶつかり合うんだけど、「部下なのに言うこと聞かないなんて生意気だ」とか「失礼だぞ」って注意されたことない。

その上司はきっと年上とか自分が上司であるっていうことにこだわった変なプライドを持っていないから、私と同じ立場で意見を言い合ってくれるんだよね。真剣に意見を聞いて受け止めてくれるからこそ、私も安心して意見を言える。

ユカリ そういう上司と部下の関係性って理想かも。まさにそれが信頼関係だよね。

そのほうがおたがい変な気を遣わずに、我慢することもなく、仕事の質も上げられる気がする。メリットが多いね。

カナ 自分が上の世代になったら、信頼関係を築けるまでは、なるべく懇切丁寧に指導するし、怒ったり、否定したりしないように注意したい。すぐハラスメントって言われたら嫌だし…。

ユカリ 私たちも若いうちはなんでもすぐにハラスメントって言わないように気を付けなきゃかもね(笑)。

――Z世代の彼らも上司に歩み寄っていきたい気持ちはあるのだ。

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio 写真/shutterstock