
2017年に出場した『キングオブコント』で9位という結果に終わって以来、芸人としての活動に限界を感じて、もがき苦しんだ3年間。「ちょうどその頃にコロナが流行り始めて、このまま消えるのかなって思っていた」というほしのディスコの名前は、YouTubeチャンネルの歌ってみた動画がきっかけで一気に知れ渡ることになる。
生きがいは、ネコとパチンコ
2015年にマセキ芸能社に所属。芸人仲間が一気に増えて、当時のプライベートは充実していたと語る。
「ライブとか仕事終わりにみんなでお酒を飲みに行くのが楽しみだったのに、2020年に歌の活動を始めてからは、喉のことを考えてお酒をやめて、芸人との交流がゼロになったんです。
どんどん孤独になっていって、“このままいったら本当にひとりで一生を終えるな……”って悲しい最期が想像できたりして。
それで、友達はいなくなったけど動物なら、と思って、もともと飼いたかったネコを3年前に家族として迎えました」
ほしのディスコが人以外に癒やしを求めた結果、ネコのほかにもうひとつ、たどり着いたのがパチンコだった。
「去年ハマって、本格的にやりだしたのは今年から。ストレスがたまったなとか、仕事頑張ったなっていうとき、いちばん近くにあるパチンコ屋さんに駆け込んでます。
落ち着くし、楽しいし、疲れも吹き飛ぶ。三四郎の小宮(浩信)さんにも“サウナよりととのいますよ”って言ってるけど、なかなかなびいてくれないんですよね(笑)。
絶対打つのは、リゼロ2(Re:ゼロから始める異世界生活 season2)。パチンコきっかけでアニメを見始めたくらい、すごく好きな台です。
細かい話なんですけど(笑)、負けててもすぐ取り返せる逆転劇がある台なので、そこにも魅力を感じてます」
今はコミュ障脱却のためのリハビリ中
最近はお酒を解禁。飲み会に誘われれば行くようにしているものの、人と会わなかった期間のブランクは大きく、コミュニケーション能力の低下を感じているという。
「仕事中は大丈夫なんですけど、オフの時にどれくらいスイッチをオンにしたらいいのかがわかんなくて。オフにしすぎると本当に何の味もしない人間なので、楽屋での過ごし方はいまだに難しいです。
“ずっと普通のこと言ってるな”とか“ボケたほうがいいのかな?”とか考えて、本番中より緊張するというか。で、“ダメだ、今日も飲みに誘われなかった……”って帰り道に落ち込んじゃう。
コミュニケーションが苦手な人向けの講習会とかあったら、参加したいくらい。今はコミュ障脱却のためにリハビリをしてる最中です(笑)」
さらに、コミュニケーションに関するこんな悩みも打ち明けてくれた。
「僕は後輩の方とタメ口でしゃべれないのが、ずっと悩みなんです。
19歳でお笑いの養成所に入ったときにまったく結果を出せなくて、同期にも敬語を使いだしたら、そこからわけがわかんなくなっちゃって。
とりあえず初めましてでおもしろそうな人だと思ったら年とか関係なく敬語でいく、みたいな(笑)。
今、令和ロマンとかに会ったら“くるまさん!”って感じかもしれないです」
平成元年生まれが最強の世代になれるように
時折自虐を交えながら場を盛り上げる姿は、サービス精神旺盛で気遣いの人そのもの。
コミュニケーションが苦手な様子は感じられないが、恋愛事情を尋ねると、10年前につき合っていた恋人と別れて以来、恋愛とは無縁とのこと。結婚願望についても聞いてみた。
「30過ぎて、どうやって新しい出会いを探したらいいかわかんなくて。
マッチングアプリはまだやったことないんですけど、さすがに“うわ、ほしのディスコいるわ~”ってなったら、エピソード作りのために会いにこられるんじゃないかっていう怖さもあって、なかなか一歩を踏み出せない状況がつづいてます。
それに、今はどうしても仕事が優先になってしまうので、お笑いか歌か、どちらかで成功しないと、恋愛とか結婚には進めないのかなっていう気がしてます。
その頃には渋さも出てるはずだから、似合うようになったスーツを着て婚活とかできるようになりたいなとは思ってるんですけど」
最後に「同世代の読者にエールをお願いしたい」と伝えると、心優しいほしのディスコらしい、こんなメッセージが。
「35歳というと、キャリアを積んでこのまま突き進むのか、新たなことを始めるのかの分岐点だと思うんです。どちらにしても、今までやってきたことは無駄じゃないので、それを武器に頑張っていただきたい。
そして、平成元年生まれの35歳が最強の世代なんだって思われるように、みんなで革命を起こしましょう!」
そう言ってから、照れたように自分自身にツッコんだ。
「出遅れてる僕がいちばん頑張れよっていう話なんですけどね(笑)」
取材・文/吉川由希子 撮影/井上たろう