
TikTokの若い女性たちの間で「スイーツ丼」なるものが流行しているらしい。白米にお菓子やジュース、エナジードリンクなどをトッピングしたもので、見た目にはお世辞にもおいしそうとは思えないものばかりだが、なかには「意外とおいしい!」というコメントもちらほら。
まるで台湾スイーツ? 「しゃりもにグミ+豆乳+トマトジュースご飯」
今回TikTokで話題の5つのレシピを試してみたが、そのなかでも最もおいしく感じたものが、グミのお菓子「しゃりもに」ヨーグルト味と豆乳とトマトジュースを白米にトッピングした豪華三色丼だ。
作り方はいたってシンプル。温かい白米に「しゃりもに」をいくつか乗せ、その上から豆乳、トマトジュースをかければ完成だ。
ちなみに、このレシピの投稿動画のコメントでは「やってみたけどまじでうまいw見た目は箸進まないけどまじで食べるといけるw」と、実際に試してみた人の好評もあり、それらを信じて、思いきって一口……。
……!? 豆乳の優しい甘みとトマトジュースの酸味が中和し合っていて、意外とクセがない。そして不思議なことに、米粒が豆のような食感を醸し出しているではないか……!
これはまるで台湾のスイーツ“豆花(トウファ)”のような味わいで、感動モノだ。
そして問題の「しゃりもに」だが、グミのシャリシャリとした食感と、ヨーグルトの酸味が効いていて、こちらもいいアクセントになっている。
この丼に関しては、動画のコメント通り、見た目とは裏腹にお味はかなりイケる、という結果になった。
見た目のインパクトはピカイチ「プリン乗せご飯」
続いては、シンプルかつ見た目のインパクトが大きい、「プリン」をそのまま白米に乗せた「プリン乗せご飯」。
このレシピの投稿主は「プリンがご飯の甘さを引き立てて、これは完全にスイーツパラダイス! カラメルソースのアクセントも病みつきになりそう」とレポートしている。
動画では、プリンを崩してご飯と混ぜながら食べるというスタイルだったので、同じように食べてみた。
かなりグロテスクな見た目で食べるのを少し躊躇するが、そもそもスイーツ丼は見た目に騙されてはいけない。そんなもには怯まずいざチャレンジである。
ひと口食べた感じは“甘い茶碗蒸し”のような感じで、プリンの甘さによって白米が完全にスイーツと化している。それにしてもプリンと合わせてもイケてしまう白米のポテンシャル、恐るべし……。令和の米騒動を憂えてしまうほどだ。
そして動画投稿主のコメント通り、筆者のお口の中も見事スイーツパラダイス状態となった。
カラメルの香ばしさもアクセントとして申し分なかったことを付け加えておく。
スッキリ組み合わせ「メントス+コーラご飯」
お次は、メントスとコーラという、ともにスカッとした味わいの組み合わせ。しかし、ここからだんだんと味覚の限界を感じ始める。
白米の上にグレープ風味のメントスを数個乗せ、その上からコーラを注ぐ。シュワシュワと激しい音を立てながら、完成する。
このレシピの投稿主は、「炭酸がじゅわっと広がり、ご飯全体をさわやかな甘みが包んでいる。メントスの独特なザクっとした噛み応えが加わって、甘みと食感が絶妙にマッチ」と絶賛しているのだが‥‥。
ひと口食べると、まずご飯の熱で炭酸が抜け気味の生ぬるいコーラの風味が鼻を抜ける。続いてメントスを噛んでみれば、グレープのさわやかな風味が広がると同時に、メントス独特のネチャネチャとした食感と米の粒々感がごちゃ混ぜになって、口の中はカオス状態に。
食べ進めていくとだんだんと米粒がタピオカのように感じてきたのだが、ここまでいくつかスイーツ丼を食べて、筆者の味覚がおかしくなってきたのだろうか……。
結論、こちらはメントス、コーラ、米の個々の主張が激しく、一体感のあるおいしさは感じることができなかった。
ミントの爽快感と白米は、混ぜるなキケン!? 「ミンティア+チョコベビーご飯」
続く4品目は、爽快感でおなじみのタブレット「ミンティア」と子どもに人気の小粒のチョコレート菓子「チョコベビー」を白米にトッピングした一品だ。
見た目はかわいらしい色合いの“ふりかけ”のような感じで、なんとなくおいしそうな気もしてきた。
ミンティアを白米にかけて食べるレシピは投稿動画の数が多いため、「それほど話題ならば味も期待できるのではないか……」と勝手に思い込んでいた。
が、一口食べた瞬間、その期待は裏切られた……。
最初はチョコと米の味が口に広がったが、この組み合わせはクセもなく、まるでお餅とチョコを合わせたような食感と味わいで意外とイケる。
しかし、問題はミンティアだった。
噛んだ瞬間、強烈なさわやかさが口の中を襲い、普段白米を食べていて絶対感じないはずの不可思議な味わいに、食の好き嫌いのない筆者も思わずえずいてしまった……。清涼感のあるミンティアの柑橘系の香りがまた食欲を絶妙に減退させる。
どうやらミントの爽快感と白米は、禁忌の組み合わせのようだ……。
“限界メシ”の頂点か…「ミンティア+ヤクルトご飯」
そして、今回の実食ルポで見事ワースト1位に輝いた組み合わせが「ミンティア」と「ヤクルト」を合わせたスイーツ丼だ。
ミンティアを数粒乗せてヤクルトを上からたっぷりと注げば完成。
この直前に食べた「ミンティア+チョコベビー丼」のトラウマか、スプーンを持つ手がなかなか持ち上がらなかったが、勇気を振り絞る。
ひと口食べた瞬間、またしても吐き気が襲ってきた……。
はっきり言える、これはマズい!!
ホカホカのご飯の熱で温まったヤクルトは、なぜか味が薄いように感じた。
そしてやはりミンティアを噛んだとたん口の中が一瞬でミントになってしまい、ほのかに残ったヤクルトの味を瞬殺してしまっている。
しばらく口中にミント風味が漂い、口直しに用意しておいた辛い袋麺を食べてもその味わいさえわからなくなってしまった……。
――TikTokで話題のスイーツ丼のなかには、意外なおいしさを発見できるものもあったが、味覚を鈍感にさせるほどの“混ぜるなキケン”な組み合わせもあった。試す際は十分な注意と覚悟が必要だ。
取材・文/瑠璃光丸凪(A4studio)