
埼玉県吉川市のリサイクル会社の敷地内で4月18日、ドラム缶の中から遺体が見つかる事件があり、県警が死体遺棄事件として捜査を始めた。遺体は高齢女性で死後長期間経過しているとみられ、服を着てブルーシートで覆われていた。
「人の足が見える」と110番通報が…
遺体発見に至る複雑な経緯を社会部デスクがこう解説する。
「ドラム缶は所沢市内のトランクルームの施錠したコンテナボックス内にあったもので、料金が未払いだったために管理会社が撤去を依頼してリサイクル会社が4月17日に回収しています。
翌18日、中身を確認しようとフタを開けた同社の担当者から『人の足が見える』と110番通報があり、事件が発覚しました。ドラム缶は他の荷物とともに2月時点でコンテナボックス内にあったことが確認されており、県警は遺体の身元確認を急ぐとともに、トランクルームの契約状況やドラム缶が持ち込まれた経緯を調べています」
トランクルームは西武新宿線の新所沢駅から車で10分程度の距離の県道126号線沿いにあり、周囲にはファミレス、コンビニがあるほか、背後には名産の「狭山茶」の茶畑も広がっている。
ドラム缶が見つかったリサイクル会社はJR武蔵野線吉川駅から約2キロの、工業団地の一角にある。周囲は金属加工工場などをはじめ様々な工場が建ち並んでいる。
リサイクル会社の関係者は、取材にこう証言した。
「ドラム缶のフタを開けるところを見たわけでもありませんが、午後3時から4時ごろに遺体を発見して警察に通報したということでした。最初は制服警官が来られて、その後は鑑識の人など大勢来ていました」
規制線が広範囲に張られ、周囲の事業所に迷惑をかけないよう誘導に務めた関係者は、いつもと違う異臭に気づいた。
「状況についてはあまりわかりませんが、なんとも形容しがたい臭いはしていました。強烈とまではいきませんがなんだか臭いなという感じでしたね。ドラム缶から遺体が出たというので、それは驚きましたよ。
今まで働いてきてこんなことは初めてですし、犯罪がらみのものなんて出たことありませんでしたから。遺体を発見した従業員には当日に『対応お疲れ様でした』とメールしました。何時間も警察の対応をしていてそれが大変だったようなので」
近くの工場に勤める男性従業員も異臭に辟易したようだ。
「遺体が発見された日もいつも通りの1日って感じでしたが、夕方前くらいにリサイクル会社に警察が出入りするのが見えて何かあったのかって思いました。最初に駆けつけたのは制服警官2人でしたけど、そうこうするうちにパトカーで次々警察が到着してって感じで。
警察官の1人に何かあったのか尋ねたら『ドラム缶の中から遺体らしきものが発見された』と言うので驚きましたが、そういえば周辺にまとわりつくような臭いが漂っていることに気づきました。ドラム缶のフタを開けたことで臭いが漏れ出したんだと思います。
敷地内から少し離れていても、生ゴミというか何か生き物が腐ったような臭いが漂ってきました。今まで嗅いだことない臭いで、一発で『うわ、臭っ』てなるというか。説明できない臭いです。
その後は警察官がドラム缶と思われる銀のカバーをかけられた物の撮影などをしていましたが、途中からはブルーシートが張られたので中は見えなくなりました。途中で帰ったので最後までは見ていませんけど、リサイクル会社もある意味被害者というかこんな事になって大変だなって思います」
「職人さんが道具をしまっていたり、バイクやスキーの道具を入れたり」
一方、長期間ドラム缶を保管していたトランクルームの近くに住む男性は、取材にこう語った。
「報道を見て遺体の入っていたドラム缶の事件だと知りました。ただ、普段トランクルームの近くで作業をすることもありましたが、臭いなどもまったくしなかったので異変には気づきませんでした。
いつもジロジロ観察しているわけではないので、全員を知っているわけじゃありませんが、あそこの利用者は趣味とか仕事関係の人が多いっぽいですね。職人さんが道具をしまっていたり、男性がバイクやスキーの道具を入れたりするのを見かけたことがあります。地元の人っていうよりは車で来れる範囲の人が使っているんじゃないですか」
“回収”された遺体ははたして誰なのか。なぜ亡くなり、ドラム缶に放り込まれていたのか。
「放置されたドラム缶はビニールなどで密閉はしていたものの、コンクリートなどが流し込まれたとかもなく、遺体はむき出しで逆さまの状態でした。処分に困り慌ててコンテナに放置した可能性もある。目立った外傷もない」
謎だらけの事件の捜査はまだ始まったばかりだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班