
宮城県岩沼市の海岸で35歳の女性保育士の遺体が見つかる事件があり、県警捜査1課と岩沼署は4月26日、女性の知人で同市土ヶ崎の職業不詳・佐藤蓮真容疑者(21)を死体遺棄容疑で逮捕したと発表した。県警は認否を明らかにしていない。
佐藤容疑者を応援していた由佳さん
佐藤容疑者は同月12日午後7時40分ごろから同8時45分ごろまでの間、同市下野郷の砂浜に保育士の行仕(ぎょうじ)由佳さん(35)=仙台市太白区=の遺体を遺棄した疑い。
行仕さんの遺体は13日午前に通行人が見つけて110番通報、胸や腹などに複数の刺し傷があり、司法解剖で失血死と判明。刺し傷の一つは心臓まで達して致命傷になったとみられ、捜査1課が殺人事件として岩沼署に捜査本部を設置していた。
「行仕さんは12日午後7時ごろに自宅を出たことがわかっており、約40分後に岩沼市内の防犯カメラに映っていたことも確認されています。押収した佐藤容疑者のスマホの履歴から、行仕さんが自宅を出る直前に通話した記録が残されており、2人は仙台市内で落ち合ってから車で岩沼市内に移動したとみられます。
捜査本部は認否を明らかにしていませんが、佐藤容疑者が行仕さんが殺害された経緯にも関与しているとみて、調べを進めています」(社会部事件担当デスク)
佐藤容疑者はプロのキックボクサーで、4月20日にも興業試合が組まれていた。
「佐藤容疑者は捜査本部が発表した犯行時間帯にも自身のスマホから友人らに電話をかけたり、出場する試合のチケットの代金の振り込み依頼をするメッセージを送信しています。 被害者の行仕さんも、元々は佐藤容疑者のキックボクシングの試合を観戦するなどして応援していたことがわかっており、捜査本部は2人の間に何らかのトラブルが発生したとみて調べを進めています」(同)
「隠れ家」とか「女性限定」という手書きのチラシが
凶悪事件を起こしたとされる佐藤容疑者とはどんな人物なのか。佐藤容疑者の自宅近くに住む男性は、彼がキックボクサーだったことも知らなかった。
「佐藤さんのお宅がここに引っ越してこられてからまだ5年くらいじゃないかな。私が知る限りはお母さん、今回事件を起こした息子さん、その上にお姉さんがいて、ふだん家にいるのは3人だったと思います。お父さんは見たことがないので、いるのかいないのかわかりません。あとは犬も飼っていますね。
最後に見かけたのは先月の頭くらいで、ちょうど家に帰ってくるところでした。
近くに住む女性は、佐藤容疑者一家の「家業」についてこう語った。
「こちらには7年前に来られたと記憶していますが、引っ越しのご挨拶もありませんでしたし、コロナの時期も挟んでいたので町内会の催しもしばらくなくて、詳しいことはわかりません。事件を起こしたという息子さんも見たことないんでよくわからないんですよ。
ただ、佐藤さんのお宅に関して印象に残っているのは、3、4年前に新聞の折込で入ってきたチラシですね。エステだったと記憶していますが、『隠れ家』とか『女性限定』という手書きの見出しのチラシが何度か入っていました。地図も書かれてなかったけど住所は佐藤さんのお宅でした。そのときも今も看板も何も出てないですし、結局やったのかやらなかったのかもわかりませんが、そういったお仕事をしてるのかと思った記憶があります。
ご近所の誰かとトラブルになるとかそういうことはまったくなかったです。テレビで速報が流れて、その1時間後くらいに事件のことでとマスコミの方がたくさん訪れて、それであそこの佐藤さんだったのかって知ってびっくりしましたね」
高校時代には陸上競技でも優秀な成績を修めていた
別の女性住民は佐藤容疑者の「父親」についてもおぼろげな情報を持っていた。
「私が聞いている話では、お母さんはエステ、そうそう、新聞の折込チラシで配ってたやつをやっていて、お父さんは出張でやる鍼師のようなことをやっているということでした。ただ、お父さんの姿はまったく見たことがないので、実際に何やっているのかはよくわかりません。
あのご一家が表立って誰かとトラブルを起こしたという話は聞いたことありませんが、昨年の夏頃には息子さんの友達がよく家に来ていたようで騒いで声がうるさかったという話は聞きました」
高校時代には陸上競技でも優秀な成績を修めていたという「アスリート」の佐藤容疑者。プロ格闘家としてデビューした若者と、35歳の保育士の女性の間に何があったのか、捜査本部の調べが待たれる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班