〈神戸・24歳女性刺殺〉「詐欺よりもっと悪いことやってます」3年前にも女性をストーカー・殺人未遂を事件を起こしていた“谷やん”はクマが出る道で菓子を食べているところを逮捕「なぜ奥多摩に?」
〈神戸・24歳女性刺殺〉「詐欺よりもっと悪いことやってます」3年前にも女性をストーカー・殺人未遂を事件を起こしていた“谷やん”はクマが出る道で菓子を食べているところを逮捕「なぜ奥多摩に?」

神戸市のマンションで会社員の女性(24)を殺害したとして殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)。被害女性とは面識がなかったが、その勤務先までつけまわしていた疑いがあることが防犯カメラの記録などからわかった。

また、東京都西部の山村地域で逮捕された時はスナック菓子を食べながらさまようように歩き続けていたとみられ、兵庫県警の捜査本部は事件前後も含めた行動の全容解明を急いでいる。

女性の勤務先近所の防犯カメラにも谷本容疑者が映っていた

8月20日に神戸市中央区の自宅マンションで刃物で刺され殺害された損害保険会社に勤める女性の遺族は、谷本容疑者逮捕の翌日の23日、

「犯人が逮捕されたと聞き、ひとまず安堵しています。懸命な捜査に感謝いたします。引き続き、今後の捜査を見守りたいと思います。家族一同、悲しみに暮れ、混乱した状態が続いていますが、せめて安らかに送り出したいとの思いでおります。」

との悲痛なコメントを発表した。

女性は20日夕に勤務先を出た後、阪神電車に乗って神戸三宮駅で下車、南東方向に10分ほど歩いて自宅マンションに到着。

オートロックの玄関から入った際、谷本容疑者が真後ろについて侵入し、同じエレベーターに乗り込んで女性の腹部などを刃物で複数回刺したとみられている。

「エレベーター内の監視カメラの映像を1階エントランスのモニターで見た他の住民が、女性が男に羽交い締めされているのに気づき午後7時20分ごろに110番しました。

駆け付けた警察官が、女性の部屋がある6階のエレベーター前で女性が倒れているのを見つけましたが、失血がひどく助かりませんでした」(在阪記者)

男が午後8時台に新神戸駅を出る新幹線で東京方面へ向かったことをつかんだ県警は、翌21日に男を東京都新宿区の運送会社に勤める谷本容疑者と断定し、非公開の指名手配をかけている。

これに基づき警視庁の捜査員が22日、JR青梅線の終着駅である奥多摩駅で谷本容疑者が降りたことをつかみ、奥多摩町内で身柄を確保した。

その夜から取り調べを始めた兵庫県警は24日朝に谷本容疑者を送検。これまでの調べで容疑者と女性の間に面識があったことは浮かんでいない。動機につながる犯行前の行動について在阪記者が話す。

「防犯カメラの解析で谷本容疑者は女性と同じ阪神電車から降り、マンションまでつけていたことがわかってきました。どこから尾行を始めたのかははっきりしませんが、女性の勤務先近所の防犯カメラにも谷本容疑者が映っていたとの情報があり、会社を出るところからつけていた可能性もあります」(同記者)

滞在したホテルが、3年前の事件現場からも近かった

追跡時間は50分以上にわたったとの報道もある。想像するだけで恐ろしいが、さらに不気味な事実が出てきた。

「谷本容疑者は17日から盆休みで、そのころ神戸に来たとみられますが、犯行現場のマンションのすぐ近くのホテルに泊まっていたんです」(在阪記者)

谷本容疑者は大阪出身で、2023年に運送会社に入社時に提出した履歴書には2006年に専修学校を中退し、飲食店勤務を経て2011年から2022年12月まで神戸市内の建築会社に勤めたと書いてある。

しかし同容疑者は2022年5月、面識もなくストーカーをしてつきまとった女性が住む神戸市中央区のマンションの部屋に押し入り、女性の首を絞めて軽傷を負わせた殺人未遂容疑で逮捕されている。建築会社勤務が同年12月まで続いたという記述は虚偽とみられる。

殺人未遂事件の約1年後に「昔ヤンチャしてて悪い仲間と関係を絶ちたいので東京に来た」と偽って運送会社に就職した谷本容疑者。“谷やん”と呼ばれそれなりに職場になじんでいた様子だが、休みを取って滞在したホテルが、3年前の事件現場からも近かったことは何を意味するのか。

女性をマンションで襲った前回のストーカー殺人未遂事件と似た犯行に注目する捜査本部は、谷本容疑者が滞在するホテル周辺でストーカー行為の新たな標的を捜し、目を付けた被害女性を会社まで追跡していた可能性も視野に入れているとみられる。

「なぜ奥多摩へ行ったのか、思いつくことはないです」

いっぽう20日夜に東京へ向かった谷本容疑者は、その夜も翌21日も勤務先の運送会社の寮に戻っていない。そして22日にJR奥多摩駅で下車したとの情報を得た警視庁は捜査員を送るが、身柄を確保したのは奥多摩駅から直線距離でも5キロ以上離れた国道の脇だったという。当時の様子を目撃者が語る。

「夕方4時すぎに帰ってきたらアルファードが道の真ん中に車線を塞ぐように斜めに停まっていたんですよ。

家の外にいた家族には『大声を出していた男が警察に取り押さえられてる』と言われました。男が何を言っているかはわからず叫んでいる感じだったそうです。

見に行くと捜査員が5人いて、容疑者が腰を下ろし背中をフェンスに押し付けられていました。周りを刈り上げたマッシュヘアで、ところどころ毛先が茶髪でした。その時はもうぐったりした様子で捜査員も落ち着いていました」(近所の男性)

間もなく覆面パトカーが5、6台さらに到着し、捜査員は計10人ほどになったという。

「刑事さんに『なんの犯人ですか? 詐欺ですか?』と尋ねたら、『全国指名手配犯で詐欺よりももっと悪いことをした。テレビ見たらわかりますよ』と言われました。あと『関西から来た』とも言われましたよ」(同)

捕り物のさなかに家族が外にいたら人質に取られていたかもしれないと振り返ったこの男性は、容疑者のおかしな行動も証言した。

「周辺にお菓子が散らばっていました。食べながら歩いてきたのだと思います。それも警察が掃除してくれました。ここら辺はクマとか猿が出るような場所で、車は通りますが歩いている人はすごく少ないです。

容疑者は奥多摩駅から徒歩で来たと警察は話していましたが、1時間半以上かかる場所ですから相当な距離を歩いたんだと思いますよ」(男性)

谷本容疑者が勤めた運送会社の社長は、「うちの会社は(配送で)奥多摩はまったく行かない。なぜ奥多摩へ行ったのか、思いつくことはないです」と話す。

以前事件を起こした神戸で女性を刺し、職場に戻らず土地勘のない山村をさまよっていた谷本容疑者。自らの行動を説明することがあるのだろうか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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