〈相模原23歳教諭・逆ハラ〉「校長先生謝ってください」新人教諭が教室で校長を大声で叱責、泣き出す児童も…「先生はいじめをうけた」と言い訳
〈相模原23歳教諭・逆ハラ〉「校長先生謝ってください」新人教諭が教室で校長を大声で叱責、泣き出す児童も…「先生はいじめをうけた」と言い訳

「自分はクラスの子どもを守る責任がある!」神奈川県相模原市の市立小学校で、新人男性教諭A(23歳)が児童の目の前で男性校長(61歳)を冒頭の言葉で叱責し、児童を困惑させ泣かせるという信じ難い事案が起きた。 

相模原市の教育委員会はこの新人教諭に減給1ヶ月の処分を下した。

いったいどんな経緯だったのか、市教委の教職員課に問い合わせると、驚きの事実がわかった。 

「その怒声に驚いた児童が泣き出してしまった」 

男性教諭A(23歳)は相模原市立の小学校が初任校で、教師歴2年目の新人だった。受け持ちクラスは3年生。1年目は新人なりに教諭としての大変な仕事をこなしていたようだが、今年4月から6月にかけて職場の秩序を乱すだけでなく児童や保護者を不安にさせる事件を起こした。

今回の減給1カ月の処分を受けたきっかけとなったのが、今年5月15日のことである。相模原市の教職員課の担当者は言う。

「Aは前日の5月14日に担当クラスで紛失物があり、その対応への助言を男性校長に求めたそうです。しかし校長はそのとき、別の作業で忙しく対応できなかったと。その翌日15日朝からAが校長に『なぜ昨日、対応してくれなかったのか』といった話し合いをしたところ、授業開始前の『朝の会』の時間を過ぎてしまったようなんです。

そこでAは『朝の会の時間を過ぎたのは自分のせいではない。児童の前で謝罪してほしい』と校長に言ったそうです」

校長はAの提案を受け入れ、授業を始める前にAの担当クラスに行き、児童たちにわかりやすく「朝の会が遅れた経緯」と「遅れて悪かった旨」を伝えたという。

しかし、Aは校長の説明などが気に入らなかったようだ。そして児童の目の前で大声で校長を叱責したという。

教職員課の担当者は言う。

「Aと校長からの聞き取りによれば、Aは校長に対し『ハッキリ言ってください! 自分はクラスの子どもを守る責任がある!』と大声で怒鳴りました。興奮がおさまらず、それ以外の言葉でも校長を叱責したそうです。

Aは気づかなかったようですが、校長はその怒声に驚いた児童が泣き出してしまったのを見たようで、いったんAを廊下に出るよう促し『いかなる理由があっても児童の前であのような大声を出してはいけない』と諭し、その後はその日の授業が通常通りに行なわれたようです」

「追い詰められていたゆえにした発言だった」 

校長はこの件を市教委に伝えると、市教委はAを呼び出し「指導」をした。もちろん校長もAとは別日に呼び出され、市教委から「管理監督責任」に関する指導が行なわれた。しかし、これにて一件落着とはいかなかったという。

「Aは体調不良ということで病院の診断書を取りました。そして校長に傷病休暇を求め、市教委にも『6月6日から1ヶ月の傷病休暇を取得する旨の報告』が受理されました。担任が児童に休む旨を伝えることはごく自然なことですが、6月3日、Aは次のような説明を児童らにしたのです」

「先生が来週から休むのはいじめられたことが原因。いじめた先生の話は聞かないように。この話は誰にも話さないように」

児童らは先生とのこの約束を守ったのだろう。しばらくの間、この一件はクラス内だけの秘め事とされた。しかしAの休暇中に当該クラスの児童の保護者が子どもからその話を聞き、市教委と学校に匿名で報告して、一連の事態が発覚した。

担当者は続ける。

「まずAが復帰する前の7月上旬に当該クラスの保護者会を開き、職員と校長が保護者に謝罪しました。そしてAの復帰後に事実確認を行なったところ、これを認めたそうです。その際に『追い詰められていたゆえにした発言だった』ことや『不適切な発言をしたことへの自覚と申し訳なさ』については話をしていました」

Aは傷病休暇明けは通常出勤をしていたようだが、同クラスの担任からは外れているという。担当者によれば「担任は持っていませんが、他のクラスのサポートなどを行なっていてフルタイムで働いている」という。 

年配教諭からの「指摘」を「いじめ」と捉えた新人教諭

Aはなぜこのような事態を引き起こしてしまったのか。教職員課の担当者によれば、こんな理由があったそうだ。

「8月21日に発表した『教職員の処分について』(という文書)には、A以外にももう一人、『職場の秩序を乱す行為に関係した教職員1名を文書訓告』とされた40代の男性教諭Bがいます。この者はAと同じ市立小に今年から異動してきました。実はAはBの影響も多少受けていたようです」

なんでもBは異動早々から「これまで自分がいた学校でのルールはこうだった」「なぜそのルールに改善しないのか」といった意見を繰り返し伝え、校長らが「学校それぞれでルールは違う」旨を説明しても納得しなかったのだという。

「Bは複数名の教諭を前にこのような意見を繰り返し、Aもその姿を見ていたようです。それも影響してか、Aは5月に校長を叱責する前の4月10日、校長の発言中に笑ったような表情をしたと他の年配教諭から指摘されたことを『いじめ』と捉え、翌11日に校長に『(指摘をしてきた)教諭からの言葉に傷ついた』旨の相談をしました。

その日に市教委にも校長から報告が来ていました」

これに対し、市教委の担当者は「いじめではなく教師間の指導」だと判断。さらに4月下旬にAと校長を呼び出した。

「その際、Aには『傷ついたことは気持ちの問題だし、申し訳ない。しかし年配教諭からの指摘はいじめではない。困ったことがあったらなんでも相談してください』という話をしました。私から見ても人格者である校長とは『風通しの良い職場にする』ということも話し合いました」

担当者はその際のAの様子について「表向きは納得したように見えました。心の底でどう考えていたかはわかりませんが、今後改善が見られるだろうと期待しました」と振り返る。

しかし、Aは改善するどころか児童や保護者を不安にさせる事態を起こしてしまった。

たしかに、初任校でいきなり学級を担当することは新人教師にとって負担が大きく、早期退職の原因との声もある。しかし、どんな職場であれ新人時代は覚えることも多く、負担が大きいのは致し方ない面もある。

「風通しの良い職場」でありながら、より良い教師の育成、そしてなによりも子どもたちにとって良い環境作りに励んでほしいものである。

※「集英社オンライン」では、今回の記事をはじめ教育現場に関連した事件、トラブルについての情報を募集しています。

下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(旧Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

編集部おすすめ