ハサミでも『菊一文字』とはこれいかに
「菊一文字」と言えば、国宝級の名刀。この名を一躍有名にしたのは、おそらく故司馬遼太郎氏が「燃えよ剣」や「新撰組血風録」で沖田総司愛用の刀と書いてからだと思われるが、どうもこれはフィクションであるらしい。


この「菊一文字」を、本の街神保町で発見した。
「菊一文字」があった、と言っても博物館があったわけではない。「菊一文字」という刃物屋さんを見つけたのだ。

「菊一文字」という硬派な名前の割には、ビクトリノックスやアーミーナイフ、ハサミまで扱う、普通の刃物屋さん。だが、そのたたずまいには「ただの刃物屋」ではない風格が感じられる。
「こんにちは〜」
とハサミを買うのにかこつけて、店主らしきおじさんにお話を伺う。
「あの〜、ここのお店のお名前の由来を教えていただきたいんですけれど〜」
すると、おじさんは、よくぞ聞いてくれましたとばかりに、名前の由来を書いたパンフレットを取りだし、説明してくれたのでありました。
「本店は京都にあるんですけれど〜」
話は長いので、三分クッキング風にはしょるが、この刃物店「菊一文字」は“店主が沖田総司のファンだから”とかいうミーハーな理由ではなく、どうやら本家本元菊一文字刀工の則宗の系列の刃物店であるようだ。おお!

ちなみに、「菊一文字」「菊一」「京菊一文字」「都菊一文字」及び左の英語表記は、株式会社菊一文字の登録商標だそうです。へぇ。
さあ! 私に石灯籠でも鉄板でも丸太でも持っていらっしゃい! この「菊一文字」の「子供用ハサミ」でまっぷたつにしてあげるわ! …いや、それは、本物の「菊一文字」でも無理だろう。(バーバラ☆アスカ)
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